表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1042/1397

同一人物の筈なのに、何故か別の人間として存在している世界【15】

「ともかく、さっさと打開策を教えろ! 時間はないぞ!」


「……わかりましたよ……やれやれ、リダさんはせっかちさんですね……胸以外は魅力的なお嬢さんをしていると言うのに」


「私は胸も魅力的だ!」


 ああ、もう!

 また、ツッコミ入れちゃったよ!


 マジでコイツらの相手をしているのが嫌になるのだがっっ⁉︎


 ……もう良い!

 ここからは、私のモノローグ調で話すことにする!


 元々、コイツから聞いた話は長かったしな?

 色々と細かく説明を付けた解説なんぞもしていたりもするので……結局、全ての内容を聞き終わるのに一時間近く掛かってしまった。


 もちろん、そこには私の精神を無駄に削り落とす様なボケの連続があり……更にアリンがアシストすると言う、奇跡のボケ・コンボも発生していたりもして……まぁ、無駄に長くなっていたのだ!


 そうじゃなかったのなら、モノローグ調にする必要もない程度で済む話だったんだけどな!

 本当、真面目に勘弁してくんないかなぁ……もうっっ!


 ……はぁはぁ。


 と、ともかく。


 パラレルから聞いた話を聞く限りだと……こうだ。


 今、私達の前へと降って湧いた様に出現していたドラゴンは……なんと混沌龍カオス・ドラゴンらしい。


 混沌龍カオス・ドラゴンは、密かにみかん本編にも出て来た伝説の龍だ。


 他の世界の場合、色々と伝承が異なっている為、これは飽くまでもこの世界における混沌龍であると思ってくれるとありがたい……と、まずは前置きをしておこう。


 さて、その上で述べると……混沌龍カオス・ドラゴンとは、その世界の終末に出現する、終焉のドラゴン。


 その世界に存在している秩序の力が完全に崩壊し……修復不可能な状態になってしまうと出現する。

 言うなれば、世界の終わりを意味する龍……と言う事になるな?


 ………。


 何で、こんな龍が出て来てるんだよ……オイ!


 さっきも述べたが、混沌龍はその世界の終末に出現し、世界の全てを破壊する。


 そして、一度世界の全てを混沌へと変えてしまうのだ。


 しかし、この行為は世界のリセットを意味している。


 完全に秩序が崩壊し、修復不可能になってしまった世界を地ならしをする形で整地し、真っさらさらな状態で新しい世界を……秩序を再構築する為に行う行為でもある。

 破壊と誕生は、常に表裏一体なのだ。


 形ある物はいつか必ず壊れる。

 残念ながら、これは世界も同じなのだ。


 しかしながら、世界の場合は少し異なり……破壊の後には新しい創造が生まれる仕組みになっている。

 秩序が崩壊した世界は、言うなれば寿命が尽きた世界であるに他ならない。

 寿命が尽きた世界は、一度完全に崩壊……破壊された後に、新しい世界を再構築する形で新たに生まれ変わるのだ。


 こう言った側面もある為、混沌龍カオス・ドラゴンが出現した場合、旧世界の終焉を意味すると同時に、新世界の始まりをも意味しているのだ。


 混沌は、秩序ある世界にとって脅威であり……害にすらなり得る。

 しかし、それは寿命の尽きた古い世界を破壊し、新たな誕生へと繋がって行くプレリュードでもあった。


 ……と、まぁ。


 こんな感じの混沌龍ではあるのだが……当たり前ながら、普通の条件では出現しない。


 ……出現する筈もない。

 

 そもそも、混沌龍と言う存在は、天地神明の頃から世界に存在している。

 みかん本編に出て来た、コーリヤマの混沌龍なんかが、その良い例だな?

 古い世界を破壊し、新世界を構築させる立役者になるのだから、世界が生まれる前に居ても、なんらおかしな事ではない……と言う事だ。


 そして、基本的に混沌龍は、恐ろしく穏やかだ。

 出現すれば、世界を混沌の渦に巻き込み、破壊の限りを尽くす龍であるが故に、色々と勘違いされてしまう傾向にあるのだが……実は、混沌龍その物の性質は恐ろしく穏やかだ。


 なんなら『極めて温厚で、のんびりした温和な性質を持っている』と表現しても尚、足りないまでに温柔おんじゅうな性格と言える。

 それだけ、ビックリする程に穏やかな……穏やか過ぎる性質の持ち主だ。


 よって、元来の混沌龍カオス・ドラゴンは、世界の終わりを意味する秩序の崩壊が始まらない限り、その世界へと『混沌龍として』出現する事は絶無と述べて相違ない。


 所が、今回は何故か出現してしまった。


 どうしてなのか?

 もしかして、この世界の寿命は既に尽き……混沌龍カオス・ドラゴンが出現してしまうまでに末期な状態だったとでも言うのか?


 極論からして、答えはノーだ。


 この世界の秩序はまだまだ安定して保たれているし、根本的に混沌龍カオス・ドラゴンが出現する様な条件など、塵も芥も成立して居ない。


 この状態で混沌龍を出現させる条件は……無条件で世界を崩壊させる必要性がある時。


 例えば? 並行世界が無駄に増えすぎてしまい、管理する事が出来ず……他の並行世界に多大なる悪影響が生まれた場合は、秩序崩壊が始まりそうな世界をピックアップして、意図的に破壊してしまう時がある……らしい。


 最後に『らしい』と言う言葉を付けたのは他でもない。

 こんな話は、私も初めて聞いたからだ。


 並行世界の管理者とは言え……自分達の意思だけで、その世界に居る人間の意思をガン無視してやってると言うのは、聞いてて余り嬉しくはない話ではあるな? 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ