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リダさん、死闘の果てに!【2】

「......およ?」


『いや、およじゃないし! その台詞が完全にみかんだしっ!』


「良く分かりませんが、貴女は他の宇宙から飛んで来た筈なのに、私の世界を存じているのですねぇ......不思議な方です」


 お前には負けるから!

 私は再び猛然とがなり立てたくなった。


 けれど、だ?

 この夢の通りであるのなら......そして、この夢が私の過去を忠実に描いているとするのなら、


『なぁ、みかん? お前はどうしてこんな所で隠者みたいな真似してるんだ?』


 この夢は、言ってみればそのまま現実として起こった過去だ。

 夢なんだけど、リアルでもあるんだ。

 ああ......もう、ややこしいなぁ!


「さっきから、誰と勘違いしてるのか?......ん?」


 そこまで答えた時、みかんにしか見えない女はある答えに達したらしく、思い付いた感じの顔になって私へと述べた。


「......ああ、もしかしたら私の分身と勘違いしているのかな?」


『分身......だと?』


 非常識な事を平然と言って来る、みかん激似の女がいた。


「私の分身とはしばらく会っていないのですよ......全く、たまにはオリジナルでもあるわたしの顔を見に来ても良いと思うのですが......人間の時間で言うと、かれこれ三千年は会っていない気がします」


 桁が違うぞおいっ!

 

『気長なんてレベルじゃないな......』


「私にとって、時間と言う概念はないに等しいですから」

 

 呆れた私を前に、みかんの親らしい女はニッコリと笑った。

 ......てか、いつまでもおかしな呼び方は良くないか。

 もしかしたら、みかんの親かも知れない人だし。


 ......いや、人なのかどうかは怪しいけど。


『あんたの名前を聞いても良いかい?』


「ありません」


 ......は?

 

 ポカンとなる私を前に、名前がないと言う女はふと軽く考えてから再びこうと私に答えた。


「元来、名前を持つ必要もない存在だったので......とは言え、それだと呼ぶのが大変ですかねぇ。じゃあ、私の事は『宇宙意思』とでも呼んで下さい。大体の人は私の事をこう呼ぶので」


『宇宙意思......?』 


 いよいよ、おかしな状態になってしまった。

 そもそも、宇宙意思ってなんだよ?

 もう、ちんぷんかんぷん過ぎて、どんな問い掛けをしようかすら迷っていた時、宇宙意思は答えた。


「宇宙は、半永久的に長い長い時間を掛けて広がって行く......その時間は悠久と述べても過言ではないです。貴女がやって来た宇宙も比較的新しい方ではありますが、それでも百三十六億年は経過してます」


『規模が宇宙だからな......』


 文字通り天文学的な数値と述べて良いだろう。

 大抵は比喩で使う言葉だが、今回に関して言えば比喩ですらない。

 

「ここにある宇宙も、そこまで古い宇宙ではないのですが......しかし、ザックリ言って百億年は貴女のいた宇宙よりも古い宇宙です」


 本当にザックリしてるなっ!

 百億年とか、もう星の寿命一個分とかそう言うレベルだぞ!


「それだけの長い長い......気の遠くなる程の悠久の時を経ると、極めて希に突然変異の様な意思が、宇宙から生まれる時があります。五億年に一回程度でしょうかね?」


 鍾乳洞が可愛く見える時間だな......。


「生まれた意思に名前はありません。親もいません。強いて言えば宇宙が親です」


『壮大過ぎる親だな』


「そうですね......でも、正確には親ではないのです。宇宙は私であり、私は宇宙の一部。永い時間を経過した事で意思が生まれた、宇宙の意思。それが私です」


『良く分からないけど......つまり、アンタは宇宙から生まれた精霊みたいな物か?』


 私が知る限り、自然の中で勝手に生まれて来る精霊がいる。

 この手の精霊は、もはや自然その物だけに、下手な魔神や神よりも厄介な存在だ。


 例えば、災害の様な存在だったり、災害その物だったり。

 とにかく、精霊と呼称して良いのかすら悩む様な強大な存在だ。


 精霊ではないが、混沌龍カオスドラゴンとかもそうだな。

 あれは、混沌が親だ。


 これの宇宙版なのかな? とか、曖昧ながらも予測した。


「精霊ではないのですが、似た様な物ですかね。宇宙で勝手に生まれて来たのですから」


『なるほどねぇ......』


 世の中ってのは、本当に私の想像も付かない様な神秘が平然と存在しているんだなぁ......。


 まぁ、一応の納得が行った所で、次の話でもしようか。

 恐らく、この話をしていたらキリがない。


『ところで、私は何故ここにいる? アンタの目的はなんだ?』


「貴女は、勝手にここへと引き寄せられて来ました。そこに私の意思はありません。また、私の目的もありません。そもそも宇宙空間で目的もなく自然に生まれて来ただけですから......ああ、そうそう。こないだ趣味で始めた箱庭にでも住みます? 見た所、霊体の様ですし。暇潰し程度にはなると思うのですが」


『なんだそれは?』


「これです」


 にこやかに答えた宇宙意思は、右手をスゥ......と掲げて見せた。

 すると、フォログラフィーの様な映像が浮かんで来る。


 ......って、この世界は、私がいる世界!?

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