全てが異なるのに、周りに居るメンバーだけ全て同じ(一部誤差あり)の世界【17】
「ともかく! 今はそんな事であれこれ言っている場合じゃないだろ? さっさと話をするぞ!」
「……そ、そうな? 地味にツッコミ甲斐のある様な事をして来るから、妙に話が逸れてしまったけど……そろそろ話をしようか」
少し強引ではあったが、私なりに話を本筋に戻そうとすると、リガーも軽く相づちを打って来た。
全く……軽く話をするだけの筈だと言うのに、どうしてこうも余計なロスタイムが出てしまうと言うのか……?
何にせよ、ここからが本題だ。
「……それで? この世界からの脱出方法とかを見付けてはいるのか?」
「全然」
……オイッ!
「だが、俺としてはお前なら、この世界から脱出する方法を見付けられると期待はしているんだ」
……しかも、他人任せかよ⁉︎
そんなの、私が聞きたいよっ!
「お前は、俺がいた並行世界から元の世界に戻って来ただろう?……そうなれば、お前はこの世界から別の世界に向かう方法を知っている筈だ」
だが、続けて答えたリガーの言葉を耳にして、私は少しばかり考えた。
「……ふむぅ……なるほど。お前が私に対して期待している意味は分かった……が、私もあれは単なる偶然と言うか、奇跡的な物に過ぎなかったんだ。お前が期待している様な物なんかじゃない。それだけは確かだと思うぞ?」
私は真顔でリガーへと答えた。
実際問題、私が自分の世界に戻れたのは、自分の力などではない。
これだけは間違いないのだ。
しかし、それでもリガーは答えた。
「仮にそれが奇跡であっても……偶然に過ぎない事であったとしても『この世界で同じ事をしてみるだけの価値はある』んじゃないのか?」
……うむぅ。
リガーの言葉を耳にし、私は少し唸り声を上げた。
きっと、コイツは気付いたのだろう。
一見すると、全くの異世界に見えるこの世界も……実は、自分達の知っている世界と共通している部分が多く存在している。
逆に言うと、この世界もまた……私やリガーの知る世界と精通する部分が多く存在していると言う事に繋がるのだ。
そうなれば……ダメ元であったとしてもやって見る……と言うのも、一つの選択肢だろう。
正直、真面目にダメ元だと思っているけどな? 私は。
けれど……でも。
もし、この街にある商店街に、占い師が居たら?
私が知る限り、この学校の近所にある商店街の一角にひっそりと佇んでいた、実に胡散臭い占い師が、並行世界を管理する物……パラレルだった。
そして、パラレルは私の姿を見るなり『あなたは、この世界の人間ではありませんね?』と、いきなり言って来た。
……思えば、かなり突飛でもない事を言って来た物だと思えてならない。
あんなのが、この世界でも同じ占い師をしているとも思えない。
けれど、やりもしない内から考えるのは間違っている。
「……取り敢えず、行ってはみようか」
「何か、特殊な場所でもあるのか?」
「いや、場所だけを見れば、別段そこまで特殊な場所って所でもない。この学校から直ぐの所にある商店街だ」
「確かに、特殊な所には思えないな? 本当にそこで間違いないのか?」
少し怪訝な顔をして言うリガーに、私は肩を竦めてから口を動かした。
「そこで間違っているのかどうかまでは、私も保証は出来ない……が、私はその商店街の片隅で占い師をしていた、いかにも胡散臭い男に声を掛けられた」
「……それで? ソイツに元の世界へと戻して貰えた……と?」
私の言葉を耳にして、リガーは眉をこれでもかと言うばかりに捻ってみせた。
きっと、リガーからすれば、
「……良く、そんな得体の知れない奴の言う事を素直に聞く事が出来たな……?」
全く以てごもっともな考えを頭の中に浮かべているんだろうなぁ……と思っていたら、間もなく口にしていた。
実際、反論は出来ないな。
「私もさ? 最初は怪し過ぎたから、テキトーにあしらう感じで、逃げる様にソイツから離れたのさ?……だけど、ソイツは私の学園寮までやって来てな?……で、自分の素性を明かされた上で、元の世界に帰してやると言って来たんだ」
その時のパラレルが、結構なイケメンだったから、つい信じてしまった事に関しては黙って置こう。
「なるほど? ちなみに、パラレルってヤツは男だったのか? もし、そうであるのなら……お前の事だから、外見が格好良かったから大丈夫!……とか、考えたんじゃないのか?」
ギクゥッッ!
「そ、そんな事あるか! 私が外見だけでコロッ! っと騙される様な人間に見えるのか?」
「見えるから言ってるんじゃないか」
まさかの即答っ⁉︎
私は、しれっと答えたリガーの言葉に、大きな衝撃を受けた。




