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全てが異なるのに、周りに居るメンバーだけ全て同じ(一部誤差あり)の世界【13】

 この世界のユニクスはまともな人間だと言う事だけは分かった。


 そして、私とは余り友好的ではない模様だ。

 まぁ、これはこれで寂しくはあるな。


 ………。


 いや、変態行為が寂しいって言う意味ではないぞ!


 ただ、今のユニクスは挨拶するだけ……って関係の様子だからな?

 冷静に考えれば、ユニクスは一個上の先輩だし? 特にクラスで会う事も無ければ、部活とかでも一緒になると言う訳でもない。

 

 言うなれば、ユニクスとの接点なんて無いに等しい状態な訳だ。

 そうなのだから、私の世界にいるユニクスの方が異常と言える。


 ……ふむ。


「じゃあ、ユニクスは普通に男が好きって事で良いのかな?」


「あははっ! 本当に変な事ばかり言うね? リダ? 普通に考えて、女子が女子を好きになるなんて無いに決まってるでしょう?」


「そうそう! ルミの言う通り! 特にあのユニクス姉だよ? 普通に男を選び放題の優等生だよ? 美人なのに成績優秀! 品行方正! この上、スポーツ万能の陽キャだったりするんだから! これで、女子を好きになるなんて……どうしてそうなったの? って、私はマジで思うよ!」


 本当に、どうしてそうなるんだろうな……?

 笑って話している二人の話を耳にし、私は顔で笑いつつ……心の中では遠い目になって胸中でぼやきを入れた。


 本当……ここで素直に笑えたのなら、私も気が楽だったんだけどなぁ……。

 でも、私の知るユニクスは、超ド級のレズ勇者なんだよなぁ……。


 内心でのみ、ぼやきを入れていた私がいた頃、


「……あ、ここに居たのか、リダ?」


 リガーの声が、私の耳に転がって来る。


「……? 私に用事でもあったのか?」


 リガーの言葉を耳にして、私はキョトンとした顔になって声を返した。

 

 すると、リガーは真顔になって私へと声を返してみせる。


「用事って程でもなかったんだが……なんつーか、これからの事を色々と話したいな……と」


「……なるほど」


 リガーの言葉を耳にして、私は軽く相づちを打った。

 ヤツが言う『これからの事』とは、この世界からの脱出についてを意味しているのだろう。


 私的には、今の所……この世界から自分の世界へと戻る方法なんぞ、そのヒントすら見出す事が出来ない状態だったりもするんだが……この調子だと、リガーのヤツは何かを掴んだのかも知れない。


「分かった……で? それは、今すぐの方が良いのか?」


 リガーに言われた私は、それとなくベンチから腰を浮かそうとしたのだが、


「あ、いや……別に急ぎって訳じゃないんだ。ルミやフラウの二人と話をしているのなら、別にそのままでも構わないさ……と言うか、放課後とかでも全然構わないよ、俺は」


 間もなく、ベンチから立ち上がろうとした私を軽く制しする感じで声を返して来た。


「……そうか? こう言うのは早い方が良いと思うんだが?」


「言う程、大切な事じゃないと言うか……今、ここでお前を連れて行くと、お前が『後々大変な事』になるんじゃないかな……と、俺なりに思ってな?」


「……は?」


 何だ、それは?


 リガーの言葉に、ポカンとした顔になった頃……ヤツは『周りを見ろ』って感じのジェスチャーをして来た。


 ……?


 コイツは何がしたいんだろう?


 不思議に思いながらも、私は周りを見て……ビミョーに驚く。


 その瞬間に、私は気付いたのだ。

 ルミとフラウの二人が、私にとって全く嬉しくない熱意を、これまた不本意なまでの勢いで猛烈に向けていた事に!


「……ルミ、フラウ。お前ら……何か、強烈な勘違いをしてないか?」


 私は眉を捩らせた状態で言うと、


「今の状態を、どう勘違いしろって言うの? リガー君とは『今後の事を真剣に考える仲』なんでしょう? もう、勘違いする様な状態なんて、欠片もないじゃないの!」


 フラウが瞳をキュピーンッッ☆ っと輝かせた状態で叫んで来た。


 もう、まさに『私は恋に恋してます!』って感じの台詞だった。


「まさか、あのリダがねぇ……私達陰キャ腐女子三人衆の中で、一番の闇と業を背負っていた筈のリダが、三人の中で誰よりも早く彼氏をゲットするなんて……世の中って、分かんないね!」


「私は、お前の台詞が分からないよ! ルミッッ!」


 そこから、フラウと同じぐらい高揚感で一杯になっていたルミが、超絶元気にグッジョブした状態で、私へと意味不明な台詞を臆面もなく叫んで来た。


 何なの、お前らっ⁉︎


 バカなの?

 夢観ゆめみる腐女子なのっ⁉︎

 恋に恋する恋愛脳なのっ⁉︎


 まぁ、確かに……私も少しばかり紛らわしい事をしているとは思うが。


「……良いか? お前ら? 私とリガーは、お前ら二人が考えている様な関係にはならん。何故なら、リガーは……」


 ……そこまで言った私の口が止まった。

 理由は簡素な物だ。


 リガーと私の二人が恋人の関係にはならない理由を、そっくりそのままルミやフラウの二人に言う事が出来なかったからだ。

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