全てが異なるのに、周りに居るメンバーだけ全て同じ(一部誤差あり)の世界【11】
まだまだ手探りな部分が多い状況ながら、少しずつ打開策に向けて動こう……思った私は、見た目も色々と変わってしまったリガーと一緒に、この世界から元に戻る方法を色々と調べて行こうと、かなり曖昧ながらも考える様になって行くのだった。
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学校内で行われているカリキュラムは……驚いた事に、ほぼ一緒であった。
もう、ね?
何が違うと言うのなら、主要教科が少し違うだけ……程度の代物だ。
何と言うか、進学校だけあって試験科目になっているんだろう主要科目に使われている授業時間が長いと言う所を抜かせば、大きく異なる箇所なんてないんじゃないのか? と、真面目に思ったね?
強いて言うのなら、歴史の時間だけは私が知るソレとは大きく異なっていたので、色々と興味深い授業内容だった。
トウキの歴史を語ってはいる模様だが、何と言うか私の知る歴史とアレコレ異なっていたのだ。
ただ、私の知る歴史と大元の部分で合致しているので……もしかしたら、ここもまた並行世界の一種なのかな? と言う、仮定の様な物を予測する私もいた。
例えば、この世界でも百年程度前に世界戦争が起こっているし、他の地域で起こっている主な出来事は、根本的には同じ様な事をしている。
だが、結果が違っていたり、私の知らない要素が加わっていたり……逆に欠落していたりと、様々だ。
ここから考えると、違う過去を歩んだ結果、私の知る世界以上に文明が発展する道へと進んだ顛末に、今の様な世界へと繋がっているんじゃないのだろうか?……そうと、私は予測していた。
……ま、憶測だけで物を判断しては行けないし、これが確実にそうだと言う根拠もない。
飽くまでも歴史の授業で聞き齧った代物を元に予測しているだけなんだからな?
何にせよ、私にとって新鮮な情報を提供してくれたのは、この歴史の授業だけであった。
他は、限りなく皆無だな。
強いて言えば数学や物理・化学系の授業が、私の予測以上に高度な授業をしていたが……まぁ、だからどうした? と言った所だろうか?
別段、そこまで難しい内容でもない。
何なら、前の世界でも同じ程度の勉強はしていたからなぁ……。
代わり映えのない授業内容過ぎて、私の眼に重りが付いた様な気持ちになって一杯だった。
よりによって、この世界の私が座っている席も、黒板の真前と言える特等席だ。
くそ……早く席替えが来ないかな。
眠気眼を擦りながら……それでもどうにかノートに授業内容を書き写して行く私がいた。
見れば、隣の席にいたリガーも同じ様な事をしている。
それは、真面目にノートを取っていると言う基本的な部分も含めての話ではあるんだが……しっかりと、眼が降りて来そうな状態になっている所まで一緒だ。
こう言う所を見ると……ああ、なるほど確かにコイツは私なんだなぁ……と、珍妙な納得の仕方をしてしまうよ。
こんな所が似ていても、ちっとも嬉しくはない話なんだけどな!
何にせよ、授業に関して言うのなら、取り立て授業を受けるまでもない内容ばかりだった……とだけ、述べて置こうか。
そんなこんなで、昼休みになって行く。
昼休みも一緒だ。
……まぁ、何処の学校だって昼休みはあるだろうし、そこに大きな差異があるとも思わない。
けれど……何と言うか、この学校。
私が前の世界で通っていた、冒険者アカデミーと限りなく一緒なのだ。
類似すると言うレベルではない。
建物の作りはおろか、その内装まで一緒なのだ。
あっちの世界では良く行った中庭のベンチまである。
ここまで一緒だと……まるで、元々の世界に居るかの様な錯覚さえ抱いてしまう。
実際の所は、私の知る世界でも何でもない世界ではあるんだけどな……。
何にせよ、私はフラウやルミの二人と一緒に、中庭にあるベンチで一緒に食事を取っていた。
どうやら、こう言う部分も私の記憶と同じ模様だ。
「そ〜言えばさ? リダがこないだDLした乙女ゲー! あれ、どうだった?」
……まぁ、会話の内容は、私の記憶に全く存在しない内容ばかりなんだけどな!
なんて事のない口調で、しれっと尋ねて来たのはルミだ。
爽やかな顔をして、乙女なゲームの話をして来るお姫様には、私も驚きを禁じ得ないのだが?
……ん? そう言えば。
「なぁ、ルミ? お前はルミ姫様なのか?」
ふと、気になった私は、それとなく尋ねてみる。
「……姫様とか、やめてくれない? 今の私はトウキに生きる、普通の女子高生なんだから!」
普通の女子高生は、中庭で陽気に乙女ゲーの話なんてしないと思うぞ?




