全てが異なるのに、周りに居るメンバーだけ全て同じ(一部誤差あり)の世界【10】
何でこんな所にいるのかなんて知らないし、私としてもリガーに色々と聞きたい事が山の様にある……あるんだけど、コイツが私の知るリガーであるとは限らない。
……と言うか、可能性からするのであれは、私の知らないリガーである方が高いだろう。
私からすれば、何でお前までこんな所にいるんだよ?……と、声を大にして言いたい位だ。
そもそも、お前は私じゃないか。
どうして、私が居る世界にお前が居るんだよ?
質量保存の法則に反していないのか?
……こんな事を考えた私が居たが、思えば一つ前の世界では私と一緒に同じ世界はおろか、同じ空間内にいた訳なのだから、質量保存の法則なんぞ、最初からあってない様な物だったなぁ……思えば。
……と、何とも素朴な事を考えていた頃、
「所で、リダ……お前、別の世界からやって来た人間……なんて事はないよな?」
……っ⁉︎
私は、思わず息を大きく吸ってしまう様な台詞を、リガーが口にして来た!
……え? いや、待て?
そんな台詞を、しれっと言って来ると言う事は……お前……?
「……もしかして、お前って『私の知っているリガー』なのか?」
唖然とした顔になって言う私がいた。
これまでがこれまでだった。
フラウやルミの二人が居たけど……この二人は間違いなくこの世界の住人だった。
アリンに至っては、根本的に年齢が違った。
それはおろか、カリンと言う妹までいる上に……私との続柄も妹になってしまっていて……もう、なにがなにやらサッパリだ。
簡素に言うのであれば……結局は、私にとって顔馴染みと言える存在であっても、この世界に住んでいる別世界の存在に過ぎなかったのだ。
……が、しかし。
ここに来て、本当の意味で私の知る存在が現れたと言う事になる。
……まぁ、リガーのヤツだって、結局は並行世界にいるもう一人の私であって、元を辿って行けば異世界の住人なのかも知れないが。
けれど、私と一緒にこの世界へとやって来た……と言う意味で言うのであれば、私と同じ境遇の持ち主である事に変わりはないのだ。
そうなれば……私にとって、今度こそ仲間と呼んでも差し支えない存在が、眼前に現れたと言う事になるのだ!
これは、私にとってかなりのアドバンテージになるんじゃないのだろうかっ⁉︎
「お前の知るリガーが、何を指して言っているのかは知らないが……恐らくはそうだ。お前が考えている事と同じで『どうやったら、この世界から抜け出せるかを考えて』はいるよ」
おおっ!
マジかっ⁉︎
どうしてお前だけ、私と同じ世界にやって来ているのかなんて分からないが、私にとっては思わぬ幸運だ!
この口振りだと、リガーもまた私と同じ境遇にいる人間だって事は確かではあるが……一人で考えるよりも全然マシだ!
やっぱり、何かしらの重大な問題が発生した場合であるのならば、一人で思い悩むよりも、誰か同じ情報を共有する事が出来る仲間が居てくれた方が、精神的にも楽になるし、私が思い付かない様な打開策を考える事だって出来るかも知れない。
まぁ、リガーはもう一人の私だけどなっ!
………。
そう考えると、リガーを一人と見なしても良い物なんだろうか?
コイツは、私と同一人物だけに、考えている事も一緒だし。
知恵を寄せ合うと言う意味だけで考慮するのなら、一人でいるも同然なんじゃ……?
い、いや!
ネガティブな事を考えるな、リダ・ドーンテンッ!
こう言う時こそ、ポジティブな思考を持つべきではないのかっ⁉︎
「なんて言うか、少し気が楽になったよ……私にも協力する事が可能な仲間が存在していたんだな」
「そうだな。実は俺も同じ様な事を考えてた。お前なら分かるかも知れないが、俺って……ほら、寂しがり屋だからさ?」
やっぱりお前も同じなのかよ!
そう言う所まで一緒だとは思わなかった!……と、考えた私ではあるが、コイツは私だ。
基本的に違いがあるのは性別ぐらいの物で、他はそこまで大きく変わる様な物などなかった。
私生活が地味にだらしないって事だけは、真逆と言って良いまでに違うんだけどなっ!
何にしても、これは朗報だ。
リガーだけが、あの良く分からないワーム・ホール様な所からやって来ていたと言うは意外だったが、大きな味方が一人生まれた事実だけは否めない。
……尤も、打開策なんて全く見出せないのだから、楽観的な思考なんて、全然持つ事が出来ないと言うのが現状だったりもするんだけどな……。
本当に、ここはどうした物かと思う。
現状、この世界に関して述べるのであれば、百年は文明が発展しているだろう異世界であると言う事だ。
ここだって、私なりの予測に過ぎず、何処まで当たっているのかすら定かではない。
この世界に付いては、もう少し色々と見て回る事で、どんな世界であるかをしっかりと認識しようかと思う。
……ま、様子見だな。




