全てが異なるのに、周りに居るメンバーだけ全て同じ(一部誤差あり)の世界【4】
どうでも良いが、私は記憶喪失ではないぞ?
そう思う私がいたのだが……恐らく、彼女にそう答えても信用しては貰えないだろう。
ここまで来て、私は一つ気付いたのだ。
ここが並行世界であるかどうかはともかく……この世界には『リダ・ドーンテン』が存在し、彼女達の姉をしていたと言う事だ。
簡素に言うのなら、私の視点で言えば完全なる異世界ながら……しかし、この異世界にもリダ・ドーンテンがちゃんと現存している訳だ。
しかし、そうなると……この世界でリダをしていた人物は何処に行ったのだろう?
私とリガーを交換させた要領と同じで、私が元来居る世界に送られてしまったのだろうか?
……うーむぅ。
私が思案に暮れている中、
「……やっぱり変だね? 記憶喪失ではないのなら、早くご飯食べて学校に行って欲しいと言うか……私も、登校の準備とかあるから、そろそろ起きて欲しいと言いたい所ではあるんだけど……本当に大丈夫?」
美少女が心配半分の目で私へと声を出して来た。
「大丈夫だぞ? 少なからず、脳神経外科のお世話になる様な状態ではない」
私はにこやかに答える。
……つか、どうして脳神経外科の診察券があるんだ?
しかも、なんでリダ・ドーンテンの名前の診察券があるんだよっ⁉︎
診察券ってのは、一回でも診察して貰わなければ発券される様な代物じゃないだろう?
私は、いつ脳神経外科のお世話になる様な事があったと言うんだ?
「……そ、そう? まぁ、それなら早くご飯食べちゃってよ? まだ時間に余裕はあるけど……お姉だって、いつもの調子で、アイライン程度は直して行くでしょ? それなら、割とカツカツになるから、早く起きてよ」
そして、しっかりと私の精神衛生上、好ましくない多感な部分をしれっと口にして来るのなっ⁉︎
……ぐむぅ。
こう言った台詞をナチュラルに言える時点で、やっぱりこの美少女も私の妹で確定だ。
どうして、私は二人の妹がいる世界にやって来ているのかは、サッパリ分かってないがっ!
つか、妹が二人もいる世界とか、面倒過ぎるんだがっ⁉︎
こう言うのってさ? 妹二人がいる世界ではなく、弟二人がいる世界とかになる物じゃないのかっ⁉︎
私の周囲って、無駄に女ばっかり居るから、むしろここは兄か弟を……出来れば弟所望(ショタ系でお願いします!)って感じなのだがっ⁉︎
いや、でも……頼れる兄貴も悪くないぞ?
兄が上に二人いて、家族の紅一点で妹に激甘な二人の兄!
……あれ? それも良いかも知れない!
……って、違うっ!
今はそんな事を考えている場合じゃないっ!
ふと、自分でも無意識の内に、おかしな妄想めいた事を考えていた頃……未だ身体から煙を燻らせていた巨乳予備軍の妹ことカリンが、むくりと立ち上がり……
「ああ、朝から酷い目にあった……つか、さ? アリン? お姉、普通だったし? 全然記憶喪失してないよ? 胸で爆破して来る時点で、私の知っている胸無し平子ちゃん……あ、おねーさま? マジで反省しますから、もう右手はやめて下さい! 土下座しますんで!」
……言うなり、素早く土下座してた。
きっとコイツは本気で反省してない。
私には分かる。
だって、コイツは私の妹だもの。
ハッキリ言って、今度はもっと凄いのをお見舞いしてやろうかと思った私ではあったんだが……しかし、このふざけた巨乳予備軍の口から転がって来た美少女の名前を耳にして、私は呆気に取られてしまった。
「………なぁ」
カリンが土下座する中……私はワンテンポ置いて、口を開いた。
このドーンテン一族にあるまじき胸元の持ち主が、さり気なく答えた名前に相違ないとするのなら、
「……お前の名前は、アリンと言うのか?」
「……やっぱり記憶喪失なの? お姉ちゃん? そんな『当たり前の事を』真顔で言って来るなんて」
……マジかよっ⁉︎
物凄く訝しい顔になって言う美少女……アリンの言葉を前に、私は瞳を大きく見開き……そして、まじまじと見据えた。
そして、合点が行った!
そうか! 間違いない!
この顔!
この髪質!
頭から足まで、まんま私ソックリなのは、間違いなく私の娘が成長した姿だからだ!
……そ、そうか。
アリンちゃんは成長すると、こんなにも可愛らしい子になるんだなぁ……。
そして、やっぱり胸は寂しいままなんだなぁ……。
く、ごめんよぅ。
私の娘なんかに生まれて来なければ、もう少しは立派になっていたかも知れないと言うのに……。
………。
……いや! 私、胸あるし!
と、ともかく!
この子がアリンだと言う事だけは理解出来た!
どうして、私の妹をしているのかは知らないけどなっっ!




