第2話 運命の出会い
とりあえずあの1話では足りなさすぎると思い続けて2話です。
でもやっぱり話が全然進んでいない。
「な、なんだお前は!寄るな変態!」
その子は怯えた顔で叫ぶ。
当然の反応であった。
「変態じゃないです!なんか気づいたらここにいて……!寒い!死ぬ!」
半泣きの俺は普段の面白みのない顔から更にブサイク顔になっていたことだろう。
だが、もう生きるために俺は必死だった。
「わ、わかった……とりあえず落ち着け。」
「売れ残りだが、これを羽織れ。その格好は色々と問題がある。」
理解してくれたのか、それとも下手に刺激するとヤバイやつだと思われたのか。
そう言って見るからにボロいがしっかりと厚みのあるストールのようなものを渡された。
俺は即座にそれを羽織り、生きることが出来る実感に酔いしれた。
「うぅ……ありがとうございます……」
「お前は見た目はへんた……変なやつだが、悪いヤツじゃなさそうだ、追い剥ぎでもない……むしろお前が追い剥ぎにあったかのようだな」
「自分でもよく分からなくて……もうどうしたらいいか……」
近くに小屋があると言われ、俺はただ天にもすがる気持ちで付いていくことにした。
5キロほど歩くと、森が見えた。
そばに1つの小さな小屋があるのが見える。
中は大人が4人寝転ぶのに精一杯の広さだったが風をしのぐことができ、灯りがあるのが今の俺には天国のような場所に思えた。
少しするとその子は俺に一杯の飲み物を渡してくれた。
お茶のように見えるが、匂いはやや強く、甘みがある。
「もしかしたら本当に追い剥ぎにあって殴られでもして頭がおかしくなってるのかもしれないな」
その子は俺の顔や体をジロジロと見つめる。
中性的ではあるが、確実に女の子であると分かった。
なぜならよく見るとおっぱいが大きかったからである。
「まあ、傷は無いようだが……細かいことはいいか、それに丁度いい」
少し考え込んだ表情を浮かべ、少女は俺の顔をまた見つめる。
「そういえば自己紹介がまだだったな、私はアイリだ。この近くの村で暮らしている」
そういって微笑むアイリはとても可愛らしく、さっきまでの絶望が嘘のようであった。
「俺は……えーと……相塚聡だけど……サトルでいいよ」
「分かった。サトル。よろしくな。」
そういって手を差し伸べてくれたアイリと俺は握手をした。
とても柔らかく、俺はついにやけてしまった。
何かアイリとの幸せな生活が始まるのではと安易な妄想までするほどに。
これから待ち受ける災難を知る由もなく。