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絶好調からの
「入るぞー」
夏期講習の最終日、教室のドアを開けた瞬間、ガタガタッと立花が自席へ戻るのが見えた。
飛び退いた跡には、耳まで真っ赤にして座る青子。
何か決定的な瞬間を見てしまったような気がして、
「あ…チョーク忘れたわ…」
咄嗟に職員室へ戻ってしまった。
我ながらわざとらしい言い訳だと思う。聡い2人にもきっとバレているだろう。それでも、あの空間に3人きりは俺の神経の方が焼き切れてしまう!
「そうか、青子…立花までも」
帰り道は少々複雑な気分だった。
翌日から青子は目に見えて浮かれていた。今までの男子は何だったんだというくらい、全身から好き好きオーラを発していた。
立花も、皆がいるところでは何でもないように装っていたが、行き帰りは青子と時間を合わせて遠回りしているようだった。
まぁ…どこまで行っているのか知らんが、成績も一緒に伸びるから、教師としては注意しにくいことこの上ない。しばらくは見守るとするか。
ただ、ひとつ気になることがあった。
そしてそれは、年が明けた頃にトラブルの種となる。