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月替わりの男達

青子はとにかく惚れっぽい。

身近な男という男にすぐ夢中になる。

男も好かれると嬉しいもんだから、すぐにくっつくだの付き合うだの浮いた話になる。


受験塾の講師などしていると、クラス内の恋模様は、季節の移り変わりよりも露骨に見えてきてしまう。

アイツとアイツがくっついた、あの子のお気に入りは今アイツか…


そして青子は席替えの度に好きな男子が変わるようだ。先月は無口な明智にひたすら喋りかけていたのに、今月は柿山と授業中も私語のし通しだ。1ヶ月かけてようやく慣れてきた明智が、最近ようやく青子に話しかけるようになってきたというのに、青子ときたらつれないものだ。


「ね、共っち」

「共谷先生、だ」

受験生ともなれば塾だって個人面談がある。青子の場合、成績に心配はないのでメンタルケアやガス抜きが目的だが。


「お前授業中、私語増えたぞ」一応教師らしく授業態度を注意するも、

「だって柿山楽しいんだもん」

青子はどこ吹く風。

「先月は明智を落とすとか言ってたくせに」

対抗して少しからかってみれば、青子はニッコリとこう言った。

「落ちたよ。だからもういいの」


そんなことをサラッと笑顔で言わないでくれ…。


結局、柿山ともその月限りだったが、翌月の佐原とはすこし続いたようだった。自習室で二人勉強していたり、帰り道のゲーセンに入ろうとしているところを注意したり、そんな場面に幾度か遭遇した。


雲行きが怪しくなったのは、夏期講習が始まってからだった。

「上ノ町教室から来た立花って子、理科も算数も一番って、凄いよね!しかも、細い!」

青子は頭のいい少年が好物だ。運動系より頭脳系、そして筋肉質より華奢系。

俺も立花が夏期講習を受けにこちら町の教室へやって来ることを聞いて最初に思ったのが

「青子が好きそう」だった。


だが立花は硬派を絵に描いたような男で、色々聞いている青子のことはおそらく警戒している。

今まで教室で敵なしの青子でもさすがに、今回は無謀な相手だろう。

と思っていたのだが…。


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