眠りの中で
外は薄暗く朝からずっと雨が振り続いていた...
大きな窓から外を眺める一人の男
瞳に輝きはなく涙は枯れ果てたように見える
そう、その夢はいつも同じ...
決して円満では無かった両親が珍しく2人で出かけた矢先、事故に遭遇。
二度と城に戻ることはなくなった
彼、マルフィースはそう、お母様を愛していた。
そしてお母様も...
そんな私もまた、彼を愛していた。
「お兄様......ガタッ」
物音に気づきゆっくりとこちらに目線が向く
「......」
何もなかったかのようにまた窓の外に目を向ける
「お兄様...いえ、マルフィース」
そっと背から抱きしめる
優しく、お母様のように、暖かく。
「.....っデイジー.....」
枯れ果てたかと思った涙がまた一筋
「マルフィース...涙を拭いて。
又貴方の笑顔を、太陽のような微笑みを私に見せて頂戴。」
頬をそっと撫で、涙を拭う。そのまま優しく口付けをした。
そして一晩中
彼は私を抱いて離さなかった。
お母様の名前を呼びながら
それでもいい。
彼が私を見てくれるのなら
嘘でも愛してくれるのなら
あんなに優しい瞳で見つめてくれるなんて...
もう他には何もいらないと、本当に心から思えた。
そして朝
彼の姿はどこにもなかった。