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ココカラハジマル。  作者: さば
3/4

夕食

いつもと同じ、そう同じ夕食

長いテーブルの端と端に座る私とお兄様

ミルキーが作った料理を黙々と食べる。

静かな部屋に銀食器のぶつかる音だけが響き渡る。



「どう?姫様!どうどう?おいしーいー?」


私の膝下でぴょんぴょんと飛び跳ねながら私の顔を覗き込む


「とっても美味しいわ。貴方はやっぱりこの国一の料理人ね。」


そして、この沈黙を破るのはいつも決まって貴方ね。

いつもと言っても毎日こんなに静かなわけではありませんのよ?

そう、お兄様が帰ってきた日の夕飯のときだけ…


頬をそっと涙が流れた


(いけない…また私ったら…)


とっさに涙を隠す。


「ひ、姫様…?」

「そ、そういえばお兄様!今回の旅はいかがでしたの?」


「ん?あぁ、凄く良い旅だったよ…初めて海というものを見た。

 青く果てしなく、そして広く寛大なものだった。」


「へぇ…海、かぁ…私も見てみたいわ!いつか私も連れて行って頂けるかしら?」


他愛のない話を続けた…

苦しい胸の痛みに耐えながら。

いつになったらこの痛みから解放されるのだろうか?

もしかしたらそんな日が来ることは、無いのかもしれないわね…


知らずとしてまた沈黙が続く。


デザートが運ばれる頃、私はいつも睡魔に負けてテーブルで眠ってしまう。

そしてダヴィが部屋まで運んでくれるらしい。

ふわふわと宙に浮いたように、温かい彼の腕に抱かれている感触を感じる。


「ん…おにぃ‥さま…」


頬にまた一筋の涙が流れていた


「…クソッ」


彼の腕にギュッと抱きしめられたような気がした



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