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ココカラハジマル。  作者: さば
2/4

日が沈む頃

遠く離れた地に旅をしていた兄が屋敷に帰ってきた。

だがどことなく悲しみに包まれている兄妹…

果たしてその訳とは…?


長い廊下が茜色に染まる頃、美しい自然の絵の具にも優る黄金の髪。

真っ白で透き通るようなドレスを身にまとい、宝石なんて必要ない、煌めいた目の輝き。


~~~♪


目には見えない花が宙を舞っているかのように、美しい歌声が響く。


ガシャン、キーーー


大きな門が開き、凛とした顔立ちの馬が引き連れ馬車が一台入ってきた。

屋敷の入口からレッドカーペットが敷かれ、丁度その前に馬車が停まる。

ゆっくりと扉が開き、スラリと長い脚が一歩、二歩と歩みをすすめる。


  お帰りなさいませマルフィース様   


「ただいま戻った。皆の者、長らくの留守を許してくれ。異変は無かっただろうか」


「そういえば、『お兄様ぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!』」


ーボフンッ


「おぉ可愛い妹よ…元気なのは良いがもう少し姫らしくできないのか?」

「もぉ!お兄様ったら久々に会えたと言うのにすーぐお説教ですの?」


頬を膨らませ上目遣いで兄を見つめる


「ははは、そうだなすまない。お前を見るとついいつもの癖だ。悪い。

   元気そうで何よりだ。少し痩せたか?愛しい妹よ会いたかったぞ。」


優しく微笑みながらそっと頭を撫でる


「うぅ会いたかったよぉお兄様ぁーすきすき!だいすきですーー//」


胸に顔を埋めギュッと抱きしめる。その頬には涙の筋がキラリと流れた。

しかしぽんぽんと頭を撫でると兄は早々に自室へ向かった。


「はぁ…お兄様……」


悲しそうな瞳でその背中を見つめ、ため息がひとつ悲しみと共に空気と混じり消えた。




日はすっかりと沈み、空には無数の星が散りばめられている。

その星たちに手を合わせ祈る。


「お兄様の心の鍵を…いつか解き放って自由を…そしてあの笑顔を、もう一度……

                                           お兄様………」


ーーートントントン


「姫様、夕飯の支度が整いました。」

「ええ、わかったわ。すぐに向かう」


「しっかりしなくては…」

頬をパチっと叩くと大きく深呼吸し、ドアノブへ手をかけた。


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