これから当たり前になるお昼
学校に着いて、いつも通りにやっすーと2人で過ごしていた。けれど、今日はいつもとは少し違った。その理由はというと、
「堤下さんって、案外お笑いとか好きなんだね!」
「そうだよ♪ドラマとかもよく見たりするし〜」
「どういうジャンルのドラマ好きなのー?」
「推理ドラマかな〜。自分が探偵や犯人になって考えてみるのが好きなんだよね〜」
「そうなの?!俺も推理ドラマが一番好きなんだ〜!でも、最近ネタが尽きてきてるのか、同じようなものばかりですぐ犯人分かるんだよな〜…。」
「探偵やってるもんね〜」
「俺のこと知ってるの!?」
「うん♪明形君は有名だもん♪」
刀華は女子の友達と喋る時と同じような喋り方で満面の笑みをやっすーに向ける。当然、やっすーの鼻の下は伸びっぱなしだ。
「そ、そうなんだ!知っててもらえて誇りに思うよ!探偵やってて良かったー!」
「これからも頑張ってね♪」
刀華が応援すると、やっすーは調子に乗って、どんな難事件も任せとけ!と豪語する。こいつをおだてちゃダメなんだけどな…。
「そんで、未来はどのジャンル好きなのー?」
「いきなりだな。」
普段と違うのはそう、刀華が輪の中にいるのだ。ちなみに今はお昼休みで昼飯を食ってる。俺の席を三角形の一角として考え、前にやっすー、斜め前に刀華という配置。周りの女子達は皆、
「刀華ちゃん、なんであの2人といるの?」
「きっと、明形に弱みを握られてしまったのよ!」
「明形に言いくるめられたんだわ!」
など、ほぼ100%、やっすーのなんらかの絡みが原因だと思われている。現に、先ほどまで俺は一言も喋っていないから、そう思われても仕方がないのだろう。
「好きなジャンルか…。」
「そうそう〜」
「俺の事は気にすんな。」
「なんだよ、隠すなよ!」
「笑うなよ?」
俺は睨む。
「お、おう!絶対笑わねぇ!」
俺は呆れつつ。
「…恋愛ドラマ。」
そうたった一言だけ簡潔に伝えた。
「おー…。未来にしては意外だね!」
「お前…あとで覚えとけよ。」
恋愛ドラマが好きで何が悪い。男でも女でもそうだろう。現実ではあり得ないからこその恋愛ドラマじゃないか。毎日推理オタクと一緒にいると、推理ドラマはなんとなく犯人が分かってしまうようになってしまったので、正直つまらない。やっすーも同じようなやつのレパートリーみたいなことを言っときながら、よく飽きないな。そんなことを思いつつ、どう報復してやろうかと考えていると、
「私は推理ドラマよりも恋愛ドラマの方が好きなんだ〜♪」
「え?!さっき、推理ドラマって言ってたよね?!」
「恥ずかしくてさ♪でも、推理ドラマが好きなのも本当だよ?ただ、順位の違いなだけ♪」
「そっかー。残念…。」
相当ダメージを食らったみたいだ。ざまぁない。さっきの俺のことをバカにしたようなリアクションをとるから、神がバチを与えたんだ。刀華が来たことによって、周りからは妬まれてたけど、華やかさと賑やかさが増した。妬まれる対象が俺ではなくやっすーに向いているため、俺は心地よくこの雰囲気に浸っていた。朝とか授業の時、一切話してないが、お昼休みに真っ先に俺らのところに来て、
「一緒に食べてもいいかな?」
と、訪ねて来た。きっと、俺の手当ての件で心を開いてくれたんだろう。俺とやっすーは快く受け入れて、今に至っている。明日の昼も一緒に食べたいなと思っていると、
「明日も一緒に食べてもいいかな?」
「も、もちろん!大歓迎さ!」
やっすーは大はしゃぎする。けれど、俺は少し気になったので訪ねた。
「俺も構わないけど、女の子達と食べなくていいの?」
刀華は、あ…。という顔をしたが、すぐ満面の笑みに戻し、
「私から話しておけばいいから、平気♪」
「そっか。ならいいんだけど。」
明形が、せっかくのお誘いダメにしようとしてどうするんだよ!とか騒いでいるが結局は来てくれるんだからいいじゃないか。
「じゃあ、明日のお昼ね♪」
と言いつつ、刀華は去っていく。
「はぁ、夢のような時間だったな〜。」
「明日もその夢のような時間来るんだぞ?」
「そうだよ!もっと面白い話のネタを持ってこなくちゃ!」
やっすーの面白い話とは結局は殺人事件の推理で終わるんだがな…。明日のお昼が荒れないように祈りつつ、俺は午後の授業も窓側の一番後ろの日当たりのいい席で机に突っ伏せて寝ることを決めた。
どうも〜、こんばんわ〜
srです!
インスピレーションどぅばどぅばで3話目書き終えました!
この調子で4話目も頑張っていきたいと思います!