「戦~虎牢関 呂布軍vs張飛軍~ 」
「あれが虎牢関か。確かに頑丈そうな関だ」
張飛は虎牢関を前で敵の軍勢を確認していた。
「確か軍師は、無理に攻めるなって言ってたな。あれを無理に攻めるなら、この軍勢じゃ足りねぇ」
すると、虎牢関の扉が開き、中から軍勢が出てきた。
その軍勢の先頭には、張飛、関羽、馬超と互角に渡りあった呂布の姿があった。
「あいつは……」
張飛は呂布の姿を見ると、以前の戦いを思い出した。
「呂布!! 俺と一騎打ちしろ!!」
「……お前……誰?」
「俺は木葉兄貴の義弟、張飛だ!!」
「……張……飛……?」
その名前を聞いた瞬間、呂布の雰囲気が変わった。
「張飛……張飛――!!」
呂布は感情をあらわにし、張飛に向かって一直線に向かってきた。
「おぉぉぉぉおぉぉぉぉ!!」
呂布の方天画戟と張飛の蛇矛が激しくぶつかり合った。
「張飛――!!」
「何をそんなに大声出してやがる!!」
数十合交え、勝負の行方は一向に見えてこなかった。
それほどに二人の実力は拮抗をしていた。
「何故、カーを殺した~!!」
「カー? 誰だ? そんな奴、俺は知らねえよ!!」
両軍の兵士達もその戦いを固唾を呑んで見守っていた。
すると、張飛軍の中から一騎、呂布と張飛に向かってきた。
「張飛将軍! そこまでにして下さい!」
「馬超!? 何故ここに!?」
「軍師様が張飛将軍にもしもの事があっては困ると、密かに将軍の軍にまぎれていけと」
「軍師が?」
馬超の乱入で呂布への注意がそれた。
「張飛――! カーの仇――!!」
「張飛将軍!?」
馬超は呂布の方天画戟が張飛に届く前に止めた。
「馬超!?」
「くっ……ちょ、張飛将軍……これ以上の戦いは無益です……」
馬超は呂布の攻撃を必死に止め、張飛に陳言した。
「軍師様もむやみに攻めずと……」
張飛は馬超の言葉を聞き、冷静さを取り戻した。
しかし、張飛とは対照的に呂布の感情は収まらなかった。
「はぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ!!」
「くっ!?」
「馬超!? はぁぁぁ!!」
体制を整えられていない馬超を襲った方天画戟を、張飛の蛇矛が止めた。
「馬超! 退くぞ!!」
そう言って、張飛は呂布の方天画戟を弾き返すと、素早く方向転換し、自軍に向かって馬を走らせた。
「あっ!? 待て!!」
呂布の赤兎の早さは、普通の馬の数倍早く、張飛と馬超に追い付こうとしていた。
だが、張飛軍から呂布に向けて矢が放たれた。
「くっ!?」
呂布は矢を弾き返したが、その間に張飛、馬超は自軍まで辿り着いた。
「うあぁぁぁぁぁぁぁ!!」
呂布は感情を吐き出すように声を上げた。
そして、一騎で張飛軍に飛びこんで行った。
その呂布の行動を見て、呂布軍も大将を守るために張飛軍に突撃を開始した。
「張飛――ー!!」
「何だってんだ!? だが、向かってくるなら、容赦はしねぇ!!」
張飛軍、呂布軍入り乱れの大混戦となった。
だが、多勢に無勢、張飛軍は押しに押された。
「張飛将軍! 兵は総崩れです! ここは一度退き、体制を整えましょう!!」
「くっ!? わかった。皆の者、退け、退け~!!」
張飛の掛け声をきっかけに、張飛軍は我先にと逃げ出した。