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「戦 〜黄巾賊 張角直属軍 壱〜」

 俺は身仕度を整えると玉の間へ向かった。

 俺が到着すると他の皆はすでに集まっていた。


「皆、おはよう。じゃあ早速始めようか」


 俺がそう言うと諸葛亮が一歩前に歩み出た。


「では、まず街の復興状況につきまして、ほぼ九割の状態まで復興しております。また、検問料を廃止したことにより、各地から商人が集まり、市は賑わいを見せております」

「今後もそこに関しては、諸葛亮に任せるよ。よろしく」


 諸葛亮は一礼をすると、一歩後ろに下がった。それと同時に今度は関羽が一歩前に歩み出た。


「続いて軍事について報告致します」

「申し上げます!!」


 関羽が喋ろうとした時、一人の兵士が息を切らして駆け込んで来た。


「急に入って来る奴があるかよ。今、兄貴達は大事な」


 張飛の言葉が終わる前に兵士は、息を切らせながら言った。


「申し上げます! 此所より北で、黄巾賊と官軍が戦闘を行っております」

「何だって!? 戦況は!?」

「只今、黄巾賊が優勢にございます! また、官軍の旗に孫の文字が書かれております!!」


 くっ! 立て続けに……旗に孫の字? まさか、孫堅の軍か!?

 しかし、孫堅の指揮する軍が黄巾賊に押されてるのはおかしい。兵力の差が激しいのか?


「兵力はどのくらいになる」

「黄巾賊約八千、官軍が約六千になります」


 兵力は黄巾賊の方が上か。しかし、差が二千なら、あの孫堅が黄巾賊の兵に劣るはずはないと思うが……

 俺の表情を見た諸葛亮が、まるで俺の気持ちがわかっているかの様に言った。


「あの孫堅の軍が、二千の兵力差で劣勢になるとは考えにくい。黄巾賊の兵についてわかることがあったら、詳しく話して下さい」

「はっ! 黄巾の兵は、まるで官軍の精鋭の様に一糸乱れぬ統率をとっておりました」


 その話を聞き、関羽が少し悩んで後、自身なさげに言った。


「兄者。私もはっきりとは聞いたことがないのですが、黄巾賊の中にも精鋭がいると噂を耳にしたことがあります。なんでも、張角直属の兵は黄巾賊の中で、個々の信念を強く抱いている者達だけ選抜した軍になると」


 なるほど、張角直属の兵か。

もし、今の関羽の話しが本当なら、孫堅軍は危ないかもしれない。何故なら、強く信念を抱いている者は、強く成長する。

そう、俺の目の前にいる仲間達の様に。


「諸葛亮! 官軍を助けに行くぞ!!」

「わかりました。すぐに出陣の用意を致します」






「猛徳!!」


 陣幕の中に声を荒げ、夏侯惇が入って来た。


「何かあったのか?」


 一方、夏侯惇とは反対に曹操は冷静な声で聞き返した。


「張角直属の黄巾賊達が、孫堅の軍と戦っている! そして今、例の木葉とか言う奴が城から出陣したらしい」

「ほぅ、それは面白い。すぐに出陣の準備をしろ! 二人の顔を拝みに行ってやるわ!」


 曹操は先ほどまでと打って変わって、声を上げて笑った。






 その頃、黄巾賊と戦っている孫堅は、相手の予想外の強さに頭を悩ませていた。


「まさか、黄巾の兵の中にあれ程統率が取れた部隊があるとは」


 そう、この事態は孫堅も予想外であった。

 目の前の黄巾賊は、まるで官軍の精鋭の様に訓練されている。


「父上!!」


 いきなり陣幕の中に入って来た息子に、孫堅は声を荒げた。


「騒がしいぞ! 何があったのだ!?」

「申し訳ございません。しかし、権が陣内に見当たらないので、見張りの兵士に聞いたところ、数人の供を連れ、近くの川へ水浴びに行ったとの事です」

「何だと!?」


 今、近くにはきっと敵の間者もいるであろう。もし、孫権がその者達に見つかれば命の危険があった。

 孫堅は急いで後を追いかける様に、数人の護衛と一緒に陣外に出た。


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