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美女が魔蟲  作者: 森山明
3/33

よろしくお願いします


間を開けてみました

試行錯誤していろいろやってみます

 何ら変わっていないが「蟲人」とはこれいかに。


 これのどこが「蟲」なのかと思いよく見ると、新しく「蟲度」というものが加えられていた。どうやら目盛りを左右に動かすだけで蟲っぽさを変えられるらしい。今はゼロになっている。キビちゃんによると獣人も同じ仕様だとか。能力へは反映されず完全に外見を決める工程だ。


目盛りのマックスは八十パーセントでそれ以上あげるとなると体の構造上の問題が発生するらしい。


とりあえずどんな種類の蟲かを知るべくマックスの八十パーセントへと目盛りを動かす。一瞬体が光ったかと思うとそこには私のようで私ではない何かが。


 髪はなぜか長くなっており肩にかかるほどの黒髪ぱっつんストレートが腰ほどまで伸びている。眉間からは翠の触角を生し、もとからが大きかった目はさらに大きくなり翠の複眼となっており、顔も心なしかシュッとしている。


女性としては身長高めでスレンダーという褒め言葉をもらうが言い換えればつるぺただ。大きくはなっていないらしい、大きくても肩が凝るというし男どもにジロジロ見られるというのでべつにいらないのだが……本当だよ。


背中には翠の薄い翅が肩甲骨のところから膝裏あたりまで伸びている。手や足には翠の筋が入り、肘から手の甲、膝から足の甲にかけて翠の棘が生えている。


もともと少し小麦色でギャルに見られがちだったので外見的には少し嫌いだったのだが、こうしてみるとありだなと思ってしまう。大きな複眼にあの長い翅はおそらくだが私の蟲はカマキリではないだろうか。カマキリ女ということか。おそろしい。


 私は自分で言うのもなんだが、結構美人な部類に入ると思う。鏡に映る自分の姿は美しい女性が、いや自分なんですが。


蟲ということで気持ち悪くなると思っていたのだが、ふむなかなかどうしてふつくしい、いや自分だけどね。


「あ、あの~フウカ様平気そうにしてますが虫とか苦手じゃないんですか」


 鏡の自分に見とれていると、少し頬を引きつらせたキビちゃんが話しかけてきた。虫苦手なのかな。


「平気ですよ~。むしろ好きですね。どうですか、結構いい感じじゃないかと思うんですが」


「そ、そうなんですか。う~ん、そうですね。その大きな複眼さえどうにかすれば、虫の苦手な人にも大丈夫だと思うのですが」


 ふむ、確かに白目の部分がないというは確かに怖い、というより不気味だ。ここは少し抑え目というか元のサイズに戻そうか。


「よし、これでどうかな、翠の瞳がいい感じだと思うんだけど」


「ほぁ~、瞳の大きさでそんなに変わるんですね。最初見た時から綺麗な人だな思っていましたけど、はぁ、理不尽というか、なんだか自信なくなっちゃいます」


「あはは、そんなことないですよって言いたいですけど、火の玉姿なんでどう言えばいいのか」


「うぅ、そうですね、私も仕事だということを忘れていました。コホン……では、外見はこれでよろしいですか」


「ええ、よし次はスキルかね」


 さて次はスキルなのだが、初期スキル枠は十枠あるのだが初期獲得可能スキル数は五つのみ。少ないなぁと愚痴をこぼしながら取得可能スキル一覧を見ていると、一番上に他と違う色で表されているものがある。


キビちゃんに聞いてみたところ種族スキルらしい。これをとらないという選択肢はない。とりあえずセットしてみることに。


スキル

 <鎌>

 <隠密>

 <奇襲>

 <二刀流>

 < >

 <×>

 <×>

 <×>

 <×>

 <×>


 <鎌>に<二刀流>かカマキリはほぼ間違いないだろう。武器スキルはアーツのようなものはない。勝手に体が動くというのは非常に不快らしい。魔法はアーツのようなものだけれど、魔法書で覚えていくらしい。<隠密>に<奇襲>は不意打ちしろってことね。あとひとつ何にしようか、戦闘系は十分というか最初でこれは非常に強力ではなかろうか。やはり生産系はほしいなそんなことを考えていると、ふと目につくスキルがひとつ、これにしよう。


スキル

 <鎌>

 <隠密>

 <奇襲>

 <二刀流>

 <防具(布)>

 <×>

 <×>

 <×>

 <×>

 <×>


「よし、これで完了と。魔法はいいや、自称戦士ということで。最後は加護か」


「はい、加護は種族やスキル、神の気分によって選択肢が変わります」


「神の気分……ですか」


「はい、神にも一柱ごとに一般のNPCよりも高度なAIが搭載されております。このキャラクターデザイン中の様子を見て各々神自身が加護を与えるかを決めます」


「へぇ、面白いですね。では早速見てみますか」

 

 加護の一覧を見るとひとつしかない。隣にいるキビちゃんも唖然としている。ひとつしかないのでとりあえずセットする。

 

加護

<蟲女神の偏愛>

 

 蟲女神の深すぎる愛ゆえに強力ではあるが、反面制約が厳しくなっている


 ・蟲系素材をもとに作られた武器、防具を装備すると効果五割増し


 ・自らが蟲系素材を用いて作成した生産品の効果三割増し


 ・蟲系素材をもとに作られた武器、防具以外を装備してしまうと壊れる。


 これはまたなんというか、愛されるのは万々歳なのだけれども、怖い。この数十分の間でよくこれだけ深くのめりこむことができるな。何かしたっけ。ていうか<偏愛>って何だ。

 

「キビちゃん、<偏愛>ってどういうこと、<加護>じゃないの」


「……ぅあ、はい。加護には種類がありまして、大抵はただの<加護>なのですが特に気に入ったプレイヤーの方には<愛>、<寵愛>、<偏愛>と強力なものになっていきますが、この<偏愛>は一番強力な効果を得る代償に縛りがあるのです」


「縛りか……三つめの部分だね。」

 

 確かに厳しいけれど、前二つの効果が極悪すぎる。自分で作って装備すればかなり戦力アップが見込めらる。そして五割増しのほうは本来の性能が五割増すのか、三割増した性能が五割増しとなるのか。それによっても変わってくるがそれは追々わかるだろう。まあ悩んでも仕方のないことだ。気になっていたんだがこれってステータス的なものは見れないのかね。

 

「ねえキビちゃん。これってステータスって見れないの」


「ステータスは加護をお決めになられたら見ることができますよ。ではフウカ様、キャラクターデザインを終了してステータス確認へ参りましょうか」


「ええ、よろしくどーぞ」

 

 目の前には薄い赤色のウィンドウが出現し鏡に映っていた自分の体が右回転している。とりあえずはステータスの確認だ。



キャラクター名

 <フウカ>


性別

 <女>


種族

 <蟲人(蟷螂)Lv.1>


種族特性

 <生命力自動回復(小)>

 <生命力・魔法力吸収(小)>

 <鎌系武器補正>

 <不意打ち時クリティカル率上昇>


ステータス   

 <生命力> 300

 <魔法力>  30

 <筋力 >  20

 <防御力>   9

 <智力 >   5

 <素早さ>   9

 <器用さ>  22

 <精神力>  10

 <運  >  25


スキル

 <鎌1>

 <二刀流1>

 <隠密1>

 <奇襲1>

 <防具(布)1>

 < >

 < >

 < >

 < >

 < >


加護

 <蟲女神の偏愛>


称号

 なし




「能力的には結構差があるのね」


「はい、蟲人には万能型はほとんどいません。生命力はトップクラスで、他の能力は蟲の種類に影響を受けます」


「へぇ、カマキリは筋力と器用さが突出してるわけね、素早さは低いし魔法は得意じゃないみたい。待ち伏せろってことなのかね」


「そこは今後の育て方次第ですよ」


「うむ、確かに。あとは称号とかもあるのね。てかさ、種族特性って何なの。」


「種族特性は各種族ごとに備わっているもので、希少種族は四つの特性を持っているのです」


「ほぉさすがは希少種族といったところね。でもこの<生命力・魔法力吸収(小)>ってどういう意味なの、回復とは違うわけ」


「はい、違います。回復は一秒ごとに少しずつ回復していくのですが、吸収は敵から吸い取ることで回復します。ですが蟲人の場合は敵から直接吸い取らなければならず……」


「それは敵を食べれば回復するってことかな」


「そうです、血のエフェクトは出ますしなにより、モンスターに齧り付かなければならないので」


「血って装備とか汚れたりするの」


「いえ、それはないのですが、数十秒口周りは汚れますね」


「ならオッケーだね、いいじゃないかこんな美女に噛まれるなんて羨ましい限りだよ」


「そ、そうですね、アッハハ……」


 なんだか引いてるキビちゃんは放っておいて、記入漏れや違和感がないかを確認する。うん、大丈夫だ。何度見ても美しい。


 というよりも時間を確認するともう午後五時三十分を過ぎていた、どんだけ熱中していたのか。仮登録をしてログアウトをし、トイレと夕飯を大急ぎで済ませるとサービス開始の五分前。


 では行こうか。


「それでは本登録いたします、よろしいですね」


「はい、よろしくどーぞ」


「かしこまりました。……登録完了。ではまもなくブレイブソウル~魔の巣窟~の世界。惑星グロウスへと転移されます。貴女の旅の安全を祈り、活躍を期待しております」


「ありがとうございます、ご期待に添えるように頑張りますよ」


「それでは時間です。良き旅を……」


 光に包まれ心地よい浮遊感を感じるのも束の間、足に土の感触が。目を開けるとそこには他プレイヤーの姿はなく、むしろ人っ子一人もいない。さびれた廃村であった。

 

「……なんじゃこりゃぁ」


 


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