戦争パート
K・・・多目的戦闘用強化人形『ライヴ』に乗っている珍しい女傭兵。本名は不明。機体名は「ヒーリング」
主任・・・Kと共に行動している技術者。元々いた企業でライヴ開発担当技術主任をしていたことからそのまま主任と呼ばれる。Kと同じく本名は不明。
アンダー・グラウンド・・・略称U.G.。とあるレジスタンスのリーダーをやっていたがライブを使った作戦行動中にKに襲われ命を落とす。機体名は「ヘルディック」
No.7・・・本名『セブンス・フロート』U.G.死亡後のレジスタンスに雇われたただの傭兵。機体名は「スレイトキャット」
「……はぁ……はぁ」
目の前のモニターには青と白を基調としたカラーリングの機体が倒れていた。右腕は肘から先がなく、胸部のコクピットには深々とブレードが突き刺さっていた。左肩には地球に盾が刺さっているエンブレム。
私はそれを見ながらコクピットの中で荒い息を吐いていた。疲れと溶けた緊張もあるが。やはり、何度経験してもこの黒いヘドロのようなドロドロとした感覚に襲われる“この感覚”は慣れるものではない。
「人殺し……か」
自分の手を見る。自慢じゃないが綺麗な方だとは思っている。が、それは自分が機体に乗っているからであって、自分の凶器が刃物とかだったらこの手は既に真っ赤に染め上がっているだろう。
「……お前の分は貰っておく。私は大喰いだからな」
☆☆☆☆☆☆☆
「お疲れ様。どうだったかな。レジスタンス【スコーピオン】のリーダー『アンダー・グラウンド』は?」
「……強かったよ」
「そうかい。まぁU.G.《アンダー・グラウンド》もかわいそうにねぇ。故郷の飢餓を救うために管理都の人口を減らすなんて、ファンタジーで大それた目標を掲げた組織なんて建てるから周りから目を付けられる。それにしても機体名のヘルディック《Heldtic》ってどういう意味だったんだろうね?」
「英語と旧ドイツ語を組み合わせた造語で“英雄と異端者”らしい。……その名の通りだな」
実際に聞いたわけじゃないけれど噂でそう聞いた。母国語だって完全に使えてるわけじゃないのに、旧ドイツ語なんて覚えてるはずがない。地獄耳とはよく言われるが、頭は悪い方だ。
「英雄にはなれなかったみたいだけどね。リーダーがいなくなって直に組織も崩壊するだろう。まっ、もし中途半端に残党が残ったとしても、僕たち『傭兵』にそういう依頼が来るだけだよ」
白衣を着たこの男、『主任』は笑いながら、モニタを見て機体の内部データを弄っていた。
「そうだな……じゃあ主任。あとは任せた。私は自分の部屋で少し横になるよ」
「了解した『K』けれどあまり熟睡しないでくれよ? 君は一度寝るとなかなか起きてくるのに時間がかるんだ」
だったら起こしに来てくれればいいじゃないかとチラッと思ったが、こいつはそんなやつじゃないしそんな関係でもない。
「……っと。そんなことを言っていたらもう次の依頼だよ。『サソリ』の連中が散らばって隠れられる前に叩いて潰せだってさ。リーダーが死んだばっかりだっていうのに相変わらず都の連中はやることが残酷だね」
「……やつらは作業用のワーカーを無理やり改造したものがほとんどじゃなかったのか?」
「やーそれがどうもやつらも傭兵を雇ったみたいでね。名前はNo.7。機体名は『ストレイキャット』だって。聞き覚えは?」
「ないな。別に傭兵全員が有名人というわけでもあるまい」
「そうだね」
主任は自分で聞いといて興味なさそうにそうとだけ答えると、モニタを見ながらいきなりくっくと笑った。
「『K』。やはり僕は君と組んで正解だったよ。君の“可能性”はやはり興味深い。特に窮地に陥れば陥るほどそれはさらに興味深いものになる!」
「そうか」
私は主任のいつもの呟きに、いつもと同じように返した。
「ならばご期待に応えてみせましょう。あがけるとこまであがいてみせます」
どうも作者です。ここまで読んだみなさんは察しが付いてると思いますがこの作品かなりACの影響を受けています。
続くかどうかは未定ですが、ここまで読んでいただきありがとうございました。




