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もう、部活なんてしたくない。
別に、先輩がうざいとか、同級生と仲たがいがあったとか、
そういうことじゃない。
部活は厳しい。でもそれはどこの高校でも同じこと。
高校に入学して、すぐに女子バレー部に入部した。
元々スポーツ推薦で入ったから入部する事は決まっていた。
私のほかにも4人。
さらに1人加わり、新入部員は6人。
3年生が引退して、1,2年だけの部活となった最近。
元々2年生は2人だけなので、レギュラーは全員だ。
そんな中、私はコート内の司令塔。いわゆるセッターをしている。
3年生がいた時は、2年生の1人の恵先輩がセッターをしていた。
だが、新体制でいくためにポジションを変えた。
私はセッターとしてこの高校に呼ばれたからセッターをやらなきゃ意味がない。
新体制となった7月の上旬。
休日の午前中。自校で練習試合を行うことになった。
もちろん私はセッターとして、コートに立った。
アップを済まし、スパイク、サーブ練習を行い、いよいよ練習試合が始まった。
しばらく試合をしている中、左足に違和感を覚えた。
ジャンプトスを上げた時にブチッという音が聞こえた気がした。
着地した瞬間、少しぐらついた。
だが問題ないと思い、プレーを続けた。
相手コートからボールが返ってきて、バックレフトの仔がレシーブした。
面が少しずれたのか、きれいに返って来ずライト側へ上がった。
すぐ追いかけようとして焦ってしまったため、後ろずたりになってしまった。
そして、左足を後ろに出したとき、バランスが崩れ私は倒れた。
その瞬間、左膝に鋭い痛みが走った。
何が何だかわからない。
チームメイトの1人が私を起こそうと手を出してくれた。
私はその手を借りて立とうとしたがうまく足に力が入らない。
立とうとしても左足が曲がらない。感覚がなかった。
先生方も駆けつけ、両脇から支えてもらう形で何とか立ち、
女のコーチの車で県立病院へ救急搬送された。
病院につくと、先生から連絡をもらったであろう母が待っていた。
それから3人で病院に入り、救急で診てもらったがあいにく専門の先生は休みのため、詳しくは診てもらえなかった。念のため、レントゲンをとってもらったが骨に別条はなかった。
とりあえず、腫れていたため、左膝を冷やしてもらって診察は終わった。
翌日、かかりつけの町医者で朝一番に診てもらいに行った。
昨日の出来事を話し、少々診てもらってから膝の靭帯をとるために、違う町医者に行ってとってきてくださいと言われ、医者でとったあと、またかかりつけの医者に戻って再診察してもらったところ、
靭帯が痛んでいると言われた。
様子をみてみようと言われ、診察は終わった。
その後、松葉杖を借りて、学校に行った。
放課後の部活には顔を出した。
しかし部活に参加できないため、正直見ているのが辛かった。
先生からはゆっくり治せと言われた。
でも、ゆっくりなんしてられなかった。
しばらく経って、もう一度町医者に行った。
怪我をしたときよりは痛みを感じないが、足が曲がらない。
医者の先生が言うには、膝がちゃんと曲がるようにならないと、この先の事は何とも言えないと言っていた。
でも、いつまで経っても足は曲がらなかった。
そんなこんなで、もう8月に入っていた。
松葉杖は外れたが、いまだに足は曲がらない。
まぁ、曲がらないといっても、90度までは曲がる。
しかしこれ以上が曲がらない。
未だに部活に参加できていない。
夏休みのため、合宿だって始まっている。
どんどん後れを取っている。
またしばらくして町医者に行ったとき、もう9月に入っていた。
大事な夏の練習を棒に振るってしまった。
いつまでたっても足が曲がらないため、整形外科の膝専門の先生を紹介してもらうことになった。
そして、その先生に診てもらった。
すると前十字靭帯が断裂、半月板の奥の方が損傷しているとの事だ。
町医者が言ってることとは全く違っていた。
こんなことならもっと早くにこの先生に診てもらえばよかった。
しかしこんなこと思ってももう遅い。
しかも、この先生によると部活に復帰するには手術しかないそうだ。
手術してもすぐに復帰できるわけではない。
手術後は、筋肉を戻さなければいけないし、歩けるようにリハビリもしなければいけない。
そんなこんなで結局復帰は半年後。つまり2年生になってからとなる。
正直耐えられなかった。
手術なんて人生初めてとなる。
他の人から見ればたかが膝の手術だ。臓器などの手術ではない。
しかし、手術は手術だ。怖いにきまってる。不安でしょうがない。
日程は今月の末。
もちろん入院することになった。
入院は2週間。
不安は消えないが、その日は徐々に近づいてくる。
手術の前日に病室に入室した。
手術前の人専用の個室だった。
その日の夕方。女子バレー部の同級生が私を元気づけようと来てくれた。
まさか来てくれると思ってなくて、嬉しくて涙が出た。
お菓子やケーキを持ってきてくれた。色紙も書いてくれた。
本当にうれしかった。
手術当日。
手術はお昼からのため病室のベットにいた。
すると、何件もLINEやTwitter、メールなどで応援メッセージが送られてきた。
ビックリした。でも、それと同時に嬉しさでまた涙が出てきた。
病室に看護婦さんが来て、一緒に手術室に向かった。
不安が消えたとは言えないが、みんなからのメッセージで少しばかり気が楽になっていた。
手術台に寝て、いろいろなものが貼られた。
注射も刺した。
しばらくすると眠気が来て、眼を閉じた瞬間眠っていた。
どれぐらいたったのだろう。
目を覚ました時にはもと居た病室のベットだった。
左足を見ると足を固定されていた。
動かしていないのにだいぶ痛い。
痛み止めが背中の管から入れられているらしいがよくわからない。
麻酔のためか、まだまだ全身がしびれている。
母がそばにいた。
時計を見せてもらったらもう5時を過ぎていた。
手術は5時間にもわたってしていたらしい。
母は夕飯の支度があるので、家に帰った。
1人ベットで寝た状態。
その夜は痛みが取れずあまり寝れなかった……。