第2話 初めての鍛冶
第2話 初めての鍛冶
「ここか」
翌日、掲示板で調べた情報を頼りに冒険者ギルド内の鍛冶場に来ていた。というのも自分は《鍛冶屋》スキルを取っている。そして昨日、骸骨たちの装備を変更していた際に鞭も装備可能になっていた。つまり自分のスキルを上げつつ骸骨用の剣と盾を作れるのではないかと考え、今日は一日鍛冶場に籠って剣や盾、鞭の先端に取り付ける錘のようなものを作成しようとやってきたのだ。
『この初心者鍛冶場では「初心者鍛冶セット」と素材となる鋼鉄のランク1、「鉄石」を無料で貰うことができる。もちろんここの素材で作ったものはNPCや他人に売ったり交換したりすることはできないっため装備しなくなったら廃棄するしかない。しかし素材が無料で貰えることと自分で装備する分を作るとなると最初の鍛冶作業にはうってつけである。』と掲示板に書いていた。まあ自分の目的は自分ではなく、あくまで骸骨の装備強化と《鍛冶屋》のSLvを上げることではあるが。
「3時間1000Gになりまーす」
中々高いな、と思いつつも昨日の骸骨との戦いで2500G稼いでいることもあるため現在は4500G手持ちに残っている。
「じゃあ9時間3000Gでお願いします」
「毎度有ー。奥の134号室になりまーす。素材と薪は無料ですのでご自由にご注文くださーい。途中でログアウトしても9時間以内ならば同じ部屋のまま自由にお使いいただけまーす。」
NPCにも色々設定があるのか、と思いながら134号室のキーと初心者鍛冶セットを受け取る。素材は部屋にあるパネルで注文するらしい。部屋に入ると炉と薪とタッチパネルがある。炉にはもうすでに火がついていて、少し部屋の中は熱い。とりあえず鉄石を100個ほど注文すると鉄石が100個入ったボックスが届けられた。とりあえず鉄石を炉にぶち込むが表面がほんのり赤みを帯びるだけでまったく溶けそうにもない。掲示板情報では『ハンマーで叩いては炉に戻し、叩いては戻しを繰り返して柔らかくする』との事であった。まあもちろんそんな面倒なことはするつもりはない。100個の素材を取り出すと炉に薪をすべて詰め込む。
「<ファイア><ファイア><ファイア><ファイア><ファイア>」
<ファイア>によって薪は勢いよく燃え、炉から発せられる熱量も半端じゃない暑さになった。見てるだけでも汗が噴き出してくる。さすがに暑すぎたか、と思い装備を解除し、インナー姿になって作業に取り掛かる。やはり<ファイア>によって強制的に温度を上げられた炉に鉄石を入れると赤くドロドロと溶け始めた。さて、本題はここからである。炉に入れて溶かした鉄石を初心者鍛冶セットの剣の型に流し込み、成型してひたすら叩く。鉄石を流しては折り込み、ハンマーで叩く。この作業を10分間無心で繰り返すことによってはじめての剣が完成する。
・下手くそな鉄石剣 ATK+1 耐久値10/50
この武器や鎧につく耐久値というのは戦闘をすることで徐々に減っていき、耐久値が0になるとすべての付加価値がなくなってしまう。さらにそのまま使い続けると壊れて復元することができなくなってしまうため、耐久値が高いもの = 優秀なものとも言われる。ちなみに初心者装備はすべての耐久値が∞であるため気にする必要がない。しかし弱い。全く使えない。ちなみに現在のNPC売りの最高の剣は
・丈夫なブロンズ剣 ATK+20 耐久値:100/120
である。これを上回る剣は容易に作れる(掲示板情報)らしいのでとにかく回数を重ねて《鍛冶屋》のSLvを上げていくしかない。ひたすら無心で<ファイア>を唱え、ハンマーを振り、剣を量産する。1本を作る速度も上がり、コツもわかってきた。どうやら叩くタイミングを一定のリズムで叩くことでATKの付加が高い剣ができるようだ。さらに鉄石の加えていく量を一定にすることで耐久値もより高いものが作成できるようである。我を忘れてひたすら剣を作ること5時間後やっと満足のいくものが作成できた。
・丈夫な鉄石剣 ATK+17 耐久値:100/100 *15
このぐらいの性能があれば骸骨軍団の戦力はかなり上がるだろう。ちなみに最後にククリのような形に成型した剣はこうなった
・丈夫なククリナイフ ATK+24 耐久値:120/150 *2
素晴らしい出来だ。これはムサシの二刀流を支えてくれる優秀な武器だと信じれる。とまあ剣は作成し終えたので盾と錘の作成をする。錘はただ鞭の先端に付けるだけなのでまずは盾から作成する。剣と同じ要領できれいな円になるように慎重にハンマーを打ち続け、3時間後できたものがこれである。
・丈夫な鉄石盾 DEF+15 耐久値:300/300 *10
もっと作成したかったがここで1つ思いついたので軍団を呼ぶ
「<コール> ムサシ、骸骨15匹。」
ムサシと骸骨15匹が工房に現れる。装備を付け替えてあげると若干喜んだようにも見えた。この骸骨たち以外に可愛い。さて、ここからが本題でる。付け替えた際に余った錆びた剣と錆びた盾を炉に入れて溶かせば鉱石がとれるんじゃないか、という商売を思いついたのだ。どうせもう使わないので全部炉に入れ溶かしてインゴットに生成する。すると綺麗なアイテムができた。
・鉄石のインゴット *15
イラン。結局素材はタダでもらえる鉄石だった。時間を無駄にしてしまった。残り40分しかないので急いで鞭に取り付ける錘の作成をする。この際、さっき作成した鉄石のインゴットを使って作成する。
・鉄石の錘 ATK+10 耐久値:800/800
鞭はATKが低いのでATK+10は大きな戦力アップである。しかしこのバカげた耐久値はおそらく鉄石を一度炉で熱して純度を高めてインゴットにしたため得られた数字だと思う。耐久値が鉱物の純度に影響を受けるという良い発見もできたところでアナウンスがなり工房の使用時間は終わった。工房からプライベートエリアに戻ろうとした時、声をかけられた。
「なあ兄ちゃん」
「はい?」
「さっき骸骨と一緒に鍛冶しておったよな」
あぁ見られちゃったか。
「えぇ、まあ。」
「その実力を見込んでお願いがあるんや、【森】エリアにいるスライムの体液をたくさん持ってきて欲しいんや。自分はユウ、《薬師》と《錬金術師》と《農家》のガチガチの生産プレイヤーなんでな。もちろんただとは言わないし報酬はちゃんと用意しておくつもりや」
いきなりあった人間にスキル構成すぐ伝えちゃうか。まぁ悪用したりなんかしようとは考えていないが
「いいけど、なんで俺?」
「骸骨使役しとるなんて半端な実力じゃないやろ、【森】ですらまだランク2,3なのに。」
なるほど、少し目立つことしてしまったかな。まあ明日は【森】へ行ってみるつもりだったし受けようか。
「わかりました、何個ほど集めればいいですか?」
「んー、10は欲しいけど大変だと思うから最低5ってとこかな。よし、フレンド登録しよ。素材が集まり次第連絡頂戴な」
大変?たかがスライムの体液なのにか・・・?
「集まったら連絡しますねー、じゃ」
「ほなまってるでー」
プライベートエリアへ戻り、本を見返す。やはりムサシが突出して能力が高い。ATK装備を2つつけていることもそうだがもしかしたら他にも理由があるのかも知れない。これは調べていく必要がありそうだ。ちなみに昨日の戦闘で得られた情報は2つある。1つはモンスターのHPは自然回復であり、敵に倒されても暫くすると自動で復活する、という点ともう1つはモンスターにも個性があり、好戦的な奴もいれば慎重な奴、堅実な奴もいる、という点である。これに関してはうまく見極めて装備を考えていく必要がありそうだ。うむ、楽しくなってきた。
明日の予定について考える。とりあえずログアウトしたら【森】についてできるだけ情報を手に入れて行くか。変な似非関西人みたいなやつに絡まれたしな。まぁ、生産職とのつながりを持つのは良いことだし頑張るか。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「主人公データ」
名前:ノナメ
スキル: 《死霊術SLv5》 《魔術・火SLv7》 《鞭術SLv8》 《覗きSLv12》 《鍛冶術SLv18》
初心者の鞭 ATK+1
初心者の服 DEF+1
初心者のズボン DEF+1
初心者のベルト DEF+1
初心者の靴 AGI+1
力(ATK)…物理攻撃力に影響1+1
防御(DEF)…物理、魔法の防御力に影響1+3
知力(INT)…魔法攻撃力に影響1
敏捷(AGI)…素早さ、器用さに影響1+1
HP…体力39
MP…能力使用に必要なマジックポイント29
称号
・不運…モンスターからの好感度アップ。モンスター遭遇率3倍。
他の作品を読んでてイケイケな厨二心がくすぐられて書いちゃってるため、色々ありますが評価あると嬉しいですね。野次でも感想でも罵りでも待ってますね。
9/12 一部改編




