第一章
また、新しい少女が連れてこられた。
もういいと言っている、カルトの前に、またいたいけな少女が。
少女の顔はとても綺麗で肌も白く服装を除けばとても美しかった。
服はとても、清潔とは言えない着古したものを身に着けていた。
「カルト。こちらは、リリス、リリスご挨拶なさい」
椅子に腰掛け、本を片手に、目だけで少女の顔を伺う。
「カルト様、私はリリスと申します。以後宜しくお願いします」
少女は、頭を下げた。
どうせ、またただ従順なつまらない少女であろう、そんな事を考えながら本を置き片手にワイングラスを傾け、口に含む。
血のような真紅の赤ワインを。
「リリス、頭を上げなさい。ターニャその少女をお風呂へ、ご飯もお上げ、そして身支度もね。それが、終わったら僕の部屋に一人で来るように、わかったい?リリス?」
「はい…かしこまりました。カルト様」
リリスは、カタカタと振るえながら賢明に立っている。
「では、カルト失礼」
ターニャは、そう言うと服をひるがえしながら、少女を抱え部屋を出て行った。
リリスは、緊張しながらもとても幸せだった。
ご飯にも、ありつける、綺麗なお洋服も着られる、私にはとてもすばらしい環境だった。
――そうよね…?
綺麗なドレスを身に着けた自分の姿を全身が映る大きな鏡でチェックする。
お風呂にも、入れてもらって数か月分のよごれはきれいさっぱり落ちた。
リリスの目には…まるで、さっきまでとは別人のような自分の姿が映っていた。
ターニャが何から何まで世話をしてくれた、髪も綺麗にとかしてくれて。
さらっと、流れる美しいストレートに――
鏡に向かって微笑んでみる。
うん、大丈夫ちゃんと笑える。
リリスちゃんは、元気と笑顔がとりえだからね――
そうよ、私のとりえは元気と笑顔。
自分の顔をつねったりひっぱったりして遊んでみる。
ぷっ…。おかしな顔。
こんな綺麗なドレスは、一度も着たことがないけど似合ってるのかな…?
おかしくないよね?
鏡の前で、ドレスの裾をひるがえしながらくるくると回る。
思ったより、似合ってる気がした。
そんな事を自分で思ってしまって、照れ笑いをした。
今まで食べてきたものとは比べ物にならないほど豪華な食事を食べ――
一人で部屋に来いって行ってたし…よーし、気合入れて行きますか!