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霧幻冬のヘキサグラム  作者: 宇野壱文
第3章 Scythe × Sword
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第九話 事変浮上――顔を出す

「言うことないな、こりゃ」

 膨れた腹をさすりながら旅館内を腹ごなしに歩く。この辺りの旬の味覚は秋の山菜であり、当然今はシーズンから外れてしまっているわけだが、それでも俺の舌は十二分に満たされていた。

 勘違いしてほしくないのだが、俺は外食に否定的なわけではない。嫌いなのはあくまでファミレスやファストフードといった出来合いのものを出す店であり、ちゃんとした料理店には金さえ許せばむしろ進んで足を運びたいくらいなのだ。大勢のお客と時間に追われながらも質のよい料理を提供する彼ら職業料理人を尊敬していると言っても良いだろう。

 そんな俺から見てもこの旅館の板前さんは合格点に達していたのだが……うーむ。その他のサービスも、特別不備があるとは思えなかったし。やっぱり、この不況だと苦しいのかねえ。

 なんでこのレベルの旅館が商店街の福引の景品に、しかも集団で、とか有り得ないことやってんだか。リピート効果狙うにしても、気前よ過ぎだろう。

『こおり、気付いた?』

 ゆらりと揺れた陽炎の扉。そこからレリの声だけ聞こえてくる。

「うん」

 頷く。何が、とか確認はしない。しなくとも何を示しているか確信している。この程度出来なきゃドライヴを高深度で数十分継続するなんて真似は出来やしない。

 卓球の後、明野と杏李先輩と連れ立って温泉街を巡り歩いたが、道行く人はほとんど地元住人のようで、観光客の姿はちらほらと散見する程度だった。まあ、シーズン外れだからだ、と言われればそれで解決する程度の疑念なのだが。この旅館の客が俺たちだけって理由もそんな所だろうし。

「……まあどうでもいいか。どうせ明日にゃ帰るんだしな」

『そだね。でも、出来ればもう一回露天風呂入りたいなー』

「あー、俺も」

『こおり、なんだかんだ言って楽しんでるよね。あれだけ拒否ってたクセに』

「もう一度同じことがあったとして、俺はまた拒否するよ。ただ、それはあくまで過去と未来であり、現在俺がここにいるという事実を否定するものではないんだから」

 この状況に至った後で「帰る」とか言うのも無意味極まりない。それに、俺が拒んでいたのは集団旅行であって温泉旅行ではない。来てしまった以上は、楽しむこと自体に問題などまったく存在しないのである。

「まあ、露天風呂は無理だろうけど」

 あんなことがあったんだし、壁の補修が済むまで閉めるに決まってる。

「というか、あの時何があったんだ?」

 男湯と女湯の境となる壁を崩した何か。俺は伏せていたし、“Ripple”を展開する前に女子連中に袋にされちまったし。あの一部始終を見ていたのはレリーフだけなのだ。

『詳しいことはぼくにもわかんない。こおりに向かって何か、殺気の塊みたいなものが飛んでいったから警告しただけだし』

「その警告がなきゃ俺が細切れにされてたかもな」

 大抵の現象に対して高い抵抗力を発揮できる俺の“Resist”だが、この『異質性』が効果を発揮しない攻撃法の一つが『斬撃』だ。何故刃物の類による攻撃に対し“耐性”が発揮されないかといえば、なんと言うべきかややこしいんだが……そもそもこの“耐性”ってヤツは、別に俺の肉体自体が変性する訳ではないのだ。文字通り耐える、我慢する、そういう力なのだ。

 例えば、分かり易い所で『打撃』で説明してみよう。相手の打撃で殴られる、ここまでが『行動』で、その『結果』として俺の身体に青あざが出来たり、酷ければ骨折させられるかもしれない。しかし、“Resist”はそれらの『結果』が俺の身体に現れないよう耐える、我慢するのである。因果崩壊の能力、と考えてもいいかもしれない。しかし『斬撃』の場合、斬られるというのは『行動』と同時に『結果』である。“Resist”は『結果』を変えられても『行動』は変えられない。逆説的に、斬るという『行動』を変えられないのなら、斬られたという『結果』を変えることは出来ないのである。『行動』と『結果』がイコールで結ばれる限りにおいて、“Resist”は無効化されるのだ。

 とはいっても、痛みは軽減できるし、完全に無意味ってワケじゃない。……いや、これは“Resist”の効果とは別物かもしれないけど。それに……いや、自分で「制限」を設けてる以上言っても仕方ないことだが、俺本来の(・・・)『異質性』ならこの欠点も無いのだし……いや、本当意味無いな。

「殺気……殺気、ね」

 ふーむ。“Ripple”を封じてる影響でそういうのの察知はホント鈍いんだが、そういうのに異常なほど鋭いヤツがあの場にいたような。

 ……おおう、思い出しただけで背筋が冷えた。あの辺の記憶はとりあえず隅に除けといて。

 そういや、夕飯のときも変なカンジだったっけ、あいつ。そわそわしてるというか、上の空というか……実にあいつらしくない。昼の間何してたかって話題になったときにも妙に口が重くなってたのと関係があるのだろうか。

「……まあ、だからどうしたってこともないけど」

 風呂のことも、あいつのことも俺が気にすることじゃあない。関わる気が無いのにこれ以上考えてても無駄なことだ。少なくとも今のところは(・・・・・・)

 夕飯といえば、サフィエルと藤田が意気投合してたのにはみんな驚いてたっけ。変人同士気が合ったのかね。……いや、今回一緒に来てるヤツ、どいつもこいつも大概変人だが。あと、どうも輝燐はまだ機嫌が治ってないらしい。俺への視線がキツイままなのは流石にわかった。残りの面子は概ねいつもどおりで。

 何が言いたいかといえば、もうすぐ寝て明日には帰る、という今の段階に至っても連れて来られた目的が見えてこない。

『本当に?』

「……いや」

 一応、可能性程度なら思いついている。それを確認しようという気が起きないだけで。それもまた、踏み込むことの一種には違いないし。

「ん」

 でも、そんな俺でもときには踏み込まなきゃいけないこともあるわけで。

 今、窓の外に見えた、あの後姿は……


「こんな時間に散歩か? わざわざ浴衣から着替えて」

 後ろから声を掛けるとそいつはビクッと肩を震わせる。恐る恐る振り返るその顔は。

 褐色の肌にルビーの瞳。

「コーリ……? コーリこそドウシたの」

「何がどうってことはないんだが……まず訊きたいんだがなんでわざわざ街灯の下を避けて歩いてるんだ?」

 星明りが出てるからいいものの、遠くからじゃ互いの顔もわからない暗闇の中をわざわざ、だ。とても挙動不審で、何か後ろ暗いことをしようとしてるようにしか見えなかった。

「……メイドハ陰に隠レて主人をお支えスるモノだかラ」

「いや、理由になってねえ。ていうか、そのゴシュジンサマは何処にいるんだよ」

「……コーリハ、オネーサマヲ見かケなかッタ?」

「いや。てことは要するに……」

 おっと。そういえば輝燐のときにも考えたことだが。

「サフィエル。名前、そう呼べばいいか?」

「ア……。エエト……差し出がまシいお願イでハアリまスが、サフィ、と呼ンでくれたラ……」

「ん? 別にいいけど」

 「お姉さま」とかふざけた呼び名じゃなけりゃ別に構いやしない。

「ア、ありがトウございマス!!」

 手を合わせてパアッと顔を輝かせる。なんか、いきなり飛びついてきたことといい、オーバーリアクションだよなこいつ。

「んで、サフィは」

「アア……」

「…………名前呼んだだけで陶酔すんじゃねえよ」

 やる気とか気力とかそういうものがごっそり抜けて回れ右したくなってくる。

「……ハッ! モ、申し訳ありまセ――」

「で、要するに」

 遮る。こいつの大仰な仕草に付き合ってるといつまで経っても話が進まない。

「サフィは獅子堂を探してたのか?」

「ウン。旅館の中ニはイらっしゃらなかッタのデ」

「ふうん」

 あの尻尾の振り様からこいつが獅子堂をわざわざ寒空の下に出てまで探してても疑問は無いが、こんな夜中に獅子堂が出歩いている事に違和感がある。もっとも、違和感というなら獅子堂がこの旅行に参加してる事自体がすごい違和感なんだが。

「で……寒くないのかその格好」

 ちろりとサフィの全身を眺めやる。旅館の中からでも暗闇の中の人物を断定できたのは、こいつの格好が珍奇だからだった。

「問題ナイ。コノメイド服は寒冷地仕様トなってルンだゾ」

 フフン、と自慢げに語り、一回転してスカートをたなびかせまでしてくれてるところ悪いが、いや別に悪いとも思ってないが、正直「ああそう」としか言いようが無い。

 そもそも、今までの会話全部ついでに訊いてみた事に過ぎない。まだ本題にすら入っていなかった。

「ネエ、コーリ」

 そして、そろそろ本題を切り出そうか、というタイミングで向こうから話を振ってきた。

「ん?」

「マサカ、とは思うけド……コーリ、サフィト話すたメにワザワザ出てきタ、ワケじゃナイ……よネ?」

「いや、そのつもりだが?」

「…………」

 そのまま俯いて沈黙。うーむ、普段ハイテンションな奴がおとなしいってのも、これはこれで調子狂うな。

「……話、トハ?」

「ああ、お前、俺と昔知り合いだったらしいけど、間違いないか?」

「……やっパり、コーリは覚えてナイんだネ」

 さらに声質が落ち込んだ。心なしかサフィが一回り小さくなったように感じる。うーむ、反応こそ異なれど、こういうのも地雷を踏むっていうのだろうか。

 けど、俺はこいつに話を聞かなきゃいけない。強いて状況を作る必要は感じないが、機会を見つけたのに何もせず逃がす……逃げるのは許されない。

「それは顔見知りという程度ではなく?」

 こくりと頷く。

「それは、俺とお前が出会ったのは、『あの事件』のほんの数日前の事か?」

 ……………………こくり、と、頷く。

 やっぱり、そういうことか。

「コーリは……ドのくらイ記憶がナイの……?」

「今言ったとおりだ。『あの事件』、それより数日前の間の記憶がすっぽり抜けてる」

 正確には事件当日の記憶は断片的に残ってるが、本当に微々たるものだ。

 微かに記憶の端に引っ掛かっている物。人型の炎、赤い世界、白い鎌、そして――

 自分の内側か外側かにいるレリを必死で止めようとする自分自身。

 次の記憶は病院のベッドの上。外に舞う桜の花びらを見ても、半年以上眠っていたなんて実感は沸かなかった。『事件』の事自体、全てが終わった後でようやく知ったくらいだ。

 それでも。新聞の写真に写った氷嵐の中心にうっすらと見える人影は――たとえ当時の記憶がなくても関係ない、この身体が覚えている――俺たちに間違いなかった。間違えようがなかった。

 街に未だ生々しく残っていた破壊の爪痕は、間違えることを許さなかった。両親が一度も病院に現れなかった理由も、すぐにわかってしまった。

 本当、これだけの事をしておいて、それが紛れもない事実であると理解して、目を逸らす事も出来なくて。かなりの衝撃を受けたことは自覚しているのに、一向に壊れる気配も見せなかった俺の精神(こころ)の頑丈さに辟易する。この時の俺は、本当に何もかもを失ってしまっていたというのに。

 そう。

 レリすら、いなくなってしまっていたというのに。

「ソ、ウカ……ソレじゃあ、仕方ナイ、ナ……」

「そうだな。俺が失った記憶で、俺とお前がどういう関係だったにせよ、今の俺にとってお前は他人――それも仕方ないことだと思ってくれ」

 仮に記憶があったとしても、幼馴染みのキョウに対してだって他人事だという感覚は拭えないんだから、結局記憶云々は関係ないかもしれないけど。

「ウン、わかル、わかってル、コーリ。コーリは、サフィたちなンかとは違うンだかラ。サフィごとキが余計な手間掛けさセるコトなど許され――」

「悪かったな」

「…………エ?」

 サフィが俯いていた顔を上げる。なんだ、その鳩が豆鉄砲喰らったみたいなカオは。何かおかしなこと言ったか。

「俺は、お前を知らない。それはただの事実であり、その点に関して訂正を入れる余地は無い」

「……ソ、ソウ! だから、コーリが悪イところなんテドコにも――」

「けど、俺とお前が過去に会ったことがあるというのもまた事実だ。だからそれを真っ向から否定していたことに関しては俺に非がある」

 そして、

「ごめん」

 軽く頭を下げた。

「………………なっ」

 絶句するサフィ。次の瞬間、

「な、な、な、ナニをヤってルのコーリ!! コーリが、コーリのようナ全生命の頂ニ立つオ方がサフィごとキ凡俗に頭ヲ下げルなど」

「うるさい」

「ムギュ」

 詰め寄ってきたサフィの両頬をつまんで黙らせる。まったく、どいつもこいつも当たり前の事を言わせんな。

「悪いことしたと思ったら謝る。そういうもんだろうが、『人間』ってのは」

「ア……」

 手を離し解放する。しかしサフィはそのまま呆然として、

「アハ……アハハ……」

 ――ぽろぽろ、と泣き出した。

 ……おい。またこの展開かよ。本当、どっかの誰かを彷彿とさせやがる。どうすりゃいいんだ、これ。まあ今回は笑ってるし、このまま放置しても構わな――


 ――ぎゅ、と服を掴んで。

 俺の胸に飛び込むような形で密着してきた。


「――は?」

 思考がフリーズした。その間にもサフィは俺の胸に顔を擦り付けてくる。

「コーリ……。コーリィ……」

 えーと……。何なんだこの展開? 何がどうしてこうなった? 猫みたいな仕草は確かに可愛いし、女の子の柔らかい身体が擦り付けられてるのも悪い気分はしないんだが、ああ、でも厚い生地のメイド服の所為でその感触が半減してるのが実に惜しいことではあるが、

 ……いや、いい加減落ち着け、俺。本当不意打ちってヤツは厄介だが、つい昨日もこいつに飛びつかれたばかりだ、いい加減慣れてきた。むしろいつもより早いくらい。

「コーリィ。…………チャン」

 そうしてこの状況をどうしたもんかなあ、と他人事のように考えていると、不意に耳に入った呼び名に眉を顰める。

 だからちゃん付けで呼ぶなって。くそ、そういえばキョウとも幼馴染みなんだっけ。これ以上その呼び名を使う奴が増殖しないよう忠告しようと思ったところで、

「周防? ……サフィエル?」

 不意に別方向から飛び込んで来た声に、サフィ共々硬直した。

 ブリキ人形のような軋んだ動きで二人して首を巡らす。そこには、声通りの人物。

 ショートカットに黒縁の眼鏡。ジャケットにジーンズと活動的な格好。

 ちょうどこのメイドさんお捜しの人物、獅子堂優姫のなんとも間の悪い登場だった。

「……ああ、うん」

 どうやら向こうも呆気に取られていたようで、一度二度頷いたかと思うと、

「すまない、邪魔をした」

「ま、ま、ま、ま、お待チ下さイオネーサマァッ!! 誤解デス早とちりデスサフィ一生のお願イデス行かないデェッ!!」

 目を明後日の方に向けて立ち去ろうとする獅子堂に物凄い反射速度で縋りつくサフィ。

 ……はあ。何このめんどくさい状況。獅子堂がどういう類の誤解をしているか、想像するのも嫌になるが、わざわざ労力掛けてそれを解くのもまた面倒だ。

 あ、そういえば輝燐のヤツ結局宿題終わったのかなー、とかとてもどうでもいい現実逃避をしてみたり。

「え、えーと、周防? 貴方、ウチのメイドを泣かせたりしたら……」

 お前はサフィの父親か、と突っ込もうとして。

 獅子堂が呼吸すら止めて、目を見開き俺を見ているのに気付いた。

 ――いや、俺じゃない。

 振り向く。そして。

 目が、合った。

 魚の、生首と。

 ……いや。魚じゃない。ついでに言えば、生首とも違う。

 地面から生えている、飛び出していると言った方が正しい。きっと、ここが水上なら頭の下に胴体が見えているはずだ。

 水上――言い得て妙だ。そいつは、水面から顔を出すように地面から頭を浮かび上がらせているのだ。

 風が、吹いた。

 気付いたときには俺を通り過ぎて、それに駆け寄るひとつの影。

 だが、その手が届く前に、それは地面の中へ引っ込む。

 影の手は空しく空を切る。そこに穴が開いていれば何の躊躇も無く手を突っ込んでいただろうと思わせるが、生憎そこは真っ平らな地面のままだった。

 そして、数メートル先で、それは地面から跳び出した。

 イルカの、ジャンプだった。

挿絵(By みてみん)

 イルカはすぐに頭から地面へ鋭角に飛び込む。水の中へダイブするように。まさにその通りに、わずかな波紋だけ残して土の中へ潜って行った。当然、穴なんてどこにも開いてない。

 さらに訂正。イルカでもない。

 ミスティだ。

 ……ふんむ。面倒な。

 ここで、勘違いされないように言っておこう。俺が面倒と考えたのは、あくまで今現れたミスティへの対応にであり、獅子堂がミスティを目撃したことにではない。こちらは面倒以前にどうでもいい。レリーフを見られた訳でなし、獅子堂がミスティの存在を知ろうが、目撃者に対して『ブリッジ』や『レオンハルト』がどんな動きを見せようが、全部他人事に過ぎないのだ。

 俺は現時点をもってあのミスティに関わることに決めた。その理由はただ一点、あのミスティが現れた理由に俺が関与している可能性がある為だ。今までもそうだった、これからもそうである。……まあ、他にやってくれる奴がいるなら任せるに文句は無いんだが、絶対動きゃしないだろうしなあいつら。

 という訳で、あのミスティが消えた場所で膝をついたままの獅子堂へ視線を向けたのは何ら意図のあることではなかったし、このタイミングで捜索の為“Ripple”を展開したのも偶然だった。


 押し寄せた津波に、精神を(さら)われかけた。


 ――歓喜。――歓喜。――歓喜。

 あまりに強すぎて、他に引っ掛かったはずの生物もいたはずなのにその一切が塗り潰される。数十人単位の感情という膨大な情報量を処理できる“Operation”がたった一人、たった一つの感情でエラーを起こした。錯覚と分かっていても波に足を取られ、精神の海に溺れかける――いや、これこそ有り得ない。俺に精神障害の類は一切効かない筈なのに。

 首を振って眩暈を払う。焦点が戻ってくる。()が、対象の横顔を捉える。

 ――見つけた。やっと。

 そいつの唇は、そう動いた直後。

 三日月形に、(まが)った。



 去っていくミスティとそれを見送るお三方。少々予定外の事態が含まれてしまいましたが、これで概ねのところは予定通りです。

 折角、楽しい旅行に参加させてあげた(・・・・・・)のですから。

「しっかり働いて下さいね、こーりん」

……イルカではありません。イルカっぽい生き物です。そういうことで納得してくださいお願いします(泣)。

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