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第8話 「二楽亭へようこそ!」第一章 鎌倉攻防戦 その19

「ぎゃっ」

狢の短い悲鳴が響き、狢とナドワの妖がはじき飛ばされる。

肩で大きく息をしながら、はき出すようにユダが呻く。

「――ぐうぅ…なんなんだこの気の大きさは…。

弾正尹と姿は変わらないというのに!

格が違うとでも言うのか!?」

ユダが気おされるもの無理はない。

私たち=人とあやかしの融合体は、

いままで感じたこともないほどの大きな気を放っている。

ユダの反応からすると、

私の姿は多分変わってない。

だけど私の中にねえさまたちがいるのが分かる。

そしてその気が不思議なほどたかまっている。

これほどの気だと、勘のするどい人なら

日本のどこにいても私たちの存在を感じ取れるレベルかも…。

「はっ……はは…は………。オレがずっと待ち望み

二千年ものあいだ画策したことはすべて無駄なのか…。

神の子さえ欺いたこの俺が、こんな極東で終焉を迎えるのか…」

気圧されうなだれるユダ--。

挿絵(By みてみん)

これまで逆らうものは力で押さえつけてきただけに、

逆の立場になった今、その絶望感は計り知れないものがあるんだろう。

「力の違いはあきらかだよ。もうあきらめて投降してっ!」

別にユダを消したいわけじゃない、ユダが投降してくれるのなら――

それは私たち4人の総意だった。

「………何をいまさら………。私にもう後はない――!! 

神になれないなら死ぬだけだっ!!」

そう叫んだユダは、特異点回廊の入り口で魔方陣を展開した。

『それは回廊解放の術式――!!』

静葉ねえさまの驚いた声は反射的に私を動かす。

でも、ユダに肉薄しようとした私たちは、その魔法陣に行く手を阻まれた。

『まさか! そんなことしたら地球が飲み込まれてしまうのです!!』

葛葉ねえさまの声にならない叫びが頭にひびき、

静葉ねえさまの思考が流れこんでくる。

『重力の井戸が解放される……』

重力の井戸って…私の疑問に瑞葉が、

『miniブラックホールなのです』

と教えてくれる。

え? miniブラックホール??

特異点を支えてる力の源ってブラックホールなの!?

『私たちのご先祖さまが作り出した、今は失われてしまった技術なのです』

ユダはそれを解き放とうとしてる…?

そんなことしたら地球が飲み込まれちゃうじゃない!?

「…もうすべてを終わりにしようではないか--」

特異点の入り口が黒くぽっかりと穴を開けたようになる。

「私の自由にならんこんな世界など私が壊してやる。

丸ごと飲み込まれてしまえばいいのだ」

そう叫び声を残してユダが回廊に飲み込まれていった。


その20につづく

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