第8話 「二楽亭へようこそ!」第一章 鎌倉攻防戦 その17
そう決意して妲己に向かってダッシュしようとした瞬間、
特異点が微妙に光り、そこから狢が私の前に転がり出てきた。
それに躓きそうになり、タタラをふんだそのとき、
そのあとつづいて、萌とネイティブアメリカの女の子、
毒蛇使いのワドナと見かけない蛇の妖が飛び出してきた。
「も…萌!」
驚く私を制すようにして、
「お話はあとでっ!」
そう言った萌は、持っていたハンドガンの安全装置をすばやく外し、
ユダに向かって撃ち始める。
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妖が苦手だというヒヒイロカネの弾丸を使用しているせいか、
ユダに大きな打撃を与えることはできないまでも、けん制することには成功している。
あっけに取られている私をよそに、
ふたたび特異点が光り、
そこから長い木槌を持った瑞葉が凄まじいスピードで出てきたかと思うと、
妲己の背後に肉薄し、その頭を思い切りひっぱたいた。
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「げ、玄翁………!?」
妲己は一言叫ぶと、呻き苦しみ出して、
”ぽーん”という音が聞こえた可と思うと
再び葛葉ねえさまと静葉ねえさまのふたりに分裂した。
「いたーい!」
ねえさまたちが頭を抑えてしゃがみ込んでいる。
妲己が消滅したのをいいことユダが特異点に近づこうとするのを、
大きくふくらんで風呂敷に変身した狢が包み込み、
その上から蛇のあやかしががんじがらめにする。
文字通りカラダを張って防いでいる格好の狢が叫んだ。
「あねさん、オレの力じゃ持って三分だ!
とっととなんとかしてくれ~~っ!」
そんな狢の叫びをよそに、
ねえさまたちは地べたに座り込み、瑞葉に説教されていた。
「まったく、ふたりで何をしているのでしょうか?
ふたりでいっしょになったら九本尻尾の妲己になるに決まっているのです。
私が向こうで和尚から玄翁を借りてこなっかったら大変なことになっていたのです」
小さな体で仁王立ちになった瑞葉ががみがみと怒る。
「そんなに怒らないで欲しいのです~。
とはいえ瑞葉ちゃん、助かりました~」
「まさかあのふたりが手を組むなんて想像してませんでしたわ…」
「---でも、こうなるともう方法が………」
と口々に訴えるふたりに瑞葉がこともなげに言い放った。
「おばかな姉上たちですね。
ふたりでダメなら、4人で合体すればいいのです!」
え!? 4人って…ねえさまふたりと瑞葉と、
あとひとりって誰?
その18につづく