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第8話 「二楽亭へようこそ!」第一章 鎌倉攻防戦 その9

「--そうだ、ひとつ思い出したことがある」

ピラトが不意にしゃべり始める。

「1200年前に葛葉殿の母君=玉藻の前殿と同じ船で日本に渡ったとき、

当然ユダもそのことは知っていたんだが、

九尾殿には手を出さずにいたのだ」

「……どういうこと?」

それが今の事態とどう関係するのか、私にはさっぱりわからない。

「普通なら、あやかしが近くにいれば、

殺すか力ずくでも手下にするかするはずなのだ。

なので、少し不思議に思ったものだが、

これは、今思うと母君の力を恐れたということではないだろうか?」

「! それが本当なら、

葛葉ねえさまと静葉ねえさまが力を合われば…」

ひとすじの希望を見つけた思いでピラトに聞き返すと、

私の横で葛葉ねえさまが沈んだ声でつぶやいた。

「--ふたりが危ないのです…」

「えっ!? でも、幽冥世では援軍が…」

どういうこと!? だって向こうの援軍といっしょに

特異点回廊の出口で迎え討つって言ってたのに…。

「--ごめんなさい、幽冥世のあやかしたちは、

結界をはるために力を使っているので、殆ど戦力にならないの…。

鑑真…ユダを確実に葬るためには…j

「――どうするつもりだったの…?」

そう口に出したものの、答えは分かり切ってる。

音音と静葉ねえさまは、

自分たちを犠牲にして私たちを逃がそうとしたんだ。

「…でも、じゃあ早く特異点へ行かないとっ!」

「そうなのです!」

そう言うと、葛葉ねえさまは手を差し出す。

挿絵(By みてみん)

その手を取りながら、

「鬼裂! ここが落ち着いたら、兵をまとめて稲村ヶ崎高校でQちゃんの指示を待って。

あと三狼のことも--」

と言いかけたところで、

「僕も行く…」

と三狼が戻ってきた。

見ると、ぐったりしたタチアナが鬼兵たちに抱えられるようにして

和が江島の方へ戻っていくのが見えた。

「おいおい、私の件はどうなってるんだっ!」

と叫ぶピラトに、

「あなたのおっしゃったことが誠なら、

戻ってきてなんとかして差し上げるのです」

「勝てるかどうか、はっきりと分からんのに待てと言うのか!」

「せいぜいわたくしたちが勝つよう、あなたの神にでも祈るといいのです」

そう言うと、私ごと中空に浮き上がったねえさまは

特異点目指して飛び立った。

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