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第8話 「二楽亭へようこそ!」第一章 鎌倉攻防戦 その5

『--こちら宮本です。悪いニュースです』

インカムから聞こえるQちゃんの沈んだ声は、

状況の深刻さをうかがわせる。

『京都でも鬼化ウィルスがばら撒かれ、

こちらへの増援には………』

「ねえさま、京からの増援は来ないそうです。

最悪の状況ですわ」

こうなったら回廊に引きずり込んで…、

そう次善の策を巡らせているところへ、

ミニ狐メイドが敵の接近を知らせてくる。

そこに三浦按針を先頭に、

ラフカディオ・ハーン、

トーマス・グラバー、ニコライ2世といった

教会の司祭クラスの面々が突っ込んでくる。

司祭が先鋒とは、

十三部衆が相当頑張ってくれてる。

「私たちも頑張らねばなりませんね音音」

按針の切っ先をいなしながら、

静葉ねえさまが眷属をけしかける。

「ねえさま、特異点回廊へ」

『音音さま、鑑真が、鑑真が預言者に変身し…』

ザッ…というノイズが二狼の声を掻き消すと、

そこに周りを護衛に囲まれた

長髪でヒゲを蓄えた細面の男がこちらに近づいてくる。

その姿はまるで…。

「ほう、弾正尹はいないようだね。

まあいいでしょう。

弾正忠、そこをどきなさい」

「どきなさいって言われてどければ

わたくしも苦労がないのですが、

そうもまいりませんわ」

この男は誰?

この風貌と雰囲気は、

まるで紀元30年にゴルゴダで磔刑たっけいにされた預言者……。

「私は争いを好まない」

「化野! 教主さま、いや、神の子であらせられる

このお方の温情がわからんのかっ!」

ラフカディオがわめく。

『………』

この男が鑑真だっていうの?

間違いない、髪とヒゲは長いけど、

顔認証システムは

和が江島のモニターに映ってた鑑真と同一だと告げている。

「言うに事かいて神の子とは笑止なっ!

神の子であれば昇天しているはずであろ?」

挿絵(By みてみん)

そう語気を荒げる静葉ねえさまに、

男は遠い目をして答える。

「--磔刑と復活か…。

あれは酷い裏切りだった…。

以来私は第二教団に追われ、

中央アジアから中国を転々とし、

鑑真と偽ってこの国に来て早1200年--。

私もそろそろ天上へ戻りたいのですよ。

そのためにはどうしても幽冥世に渡り、

天璽てんじ』を手に入れねばならない」

そう言ってゆっくりと目を開けていく。

開かれた目は金色に輝き、

辺りは光に包まれて、目が開けていられない…。

てん…じ…てんじ!?……天璽って、

その力で地上を支配できるっていうあの…?

それを使って天界に帰りたいって――

まさか、アイツは本当に神の子なのっ!?

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