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「凍結する西御門 襲来! 第二契約者」第2章 その4

あとには狢がごろごろと転がりながら泣き叫んでいた。

「うううう、お、お助け~~っ! 

い、いったいあんたらは…」

「だから、ここは鎌倉府で

あやかし関係の事件は、弾正府の管轄なのっ!」

私がそう怒鳴りつけると、

狢がガクガクと震え始める。

「じゃ、じゃ、じゃ、じゃあ、

あなたさまは、もしかして…」

「うん、私は弾正尹だんじょうのかみ那須野結繪。

こっちは弾正忠だんじょうのちゅう化野音音。

よっく見知りおけ」

「はっ、はは---っ」

地面に頭を擦りつけ平身低頭する狢。

いばり返るつもりはないけど、

これだけのことをしでかした狢には

罪の重さをちゃんと実感してもらわないといけない--と、思ってたら、

静葉ねえさまが、

「まぁまぁ結繪ちゃん、

狢さんも反省してるし、

その位で勘弁してあげてもいいんじゃない?」

と助け船を出してきた。

「その代わり、

狢さんにはちょっと

お願いしたいことがあるのですよー」

と葛葉ねえさま。

「そ、それはもう…」

「じゃあ、ご飯おごって▽」

「なんだ、そんなことですかい。お安いご用だ」

と言って狢は得意げに小判数枚を取り出した。


狢に生気を吸い取られた連中を

駆けつけてきた救急隊員にお願いすると、

静葉ねえさまのリクエストで、

二の鳥居の側にあるウナギの名店

『浅場屋』に移動した私たち。

ここは、静岡県吉田町産の

大井川の伏流水で育てられたウナギを使っている。

狢の奢りだということで、

遠慮無くうな重と日本酒を頼んで、

葛葉ねえさまと静葉ねえさまはすっかりご満悦。

このふたり、

すごく頼りになるのはホントにありがたいんですけど、

ちょっと働いて貰うといろんなモノを大食するので、

経費もバカにならない。

とくに静葉ねえさまはうわばみなので、

飲み始めるとキリがないし…。

挿絵(By みてみん)

私と音音も1人前、

出血多量で貧血な三狼も2人前を戴く。

まあ、今回は、

狢が例の小判を古物商に売りさばいたお金で、

病院送りにした連中の入院費と

浅場屋の食事代は事足りそうで、

一応万事めでたし――。

と思った所へ、

さっきの古物商のオヤジが飛び込んで来た。

「この狢! 

葉っぱの小判を出すとはふてえ野郎だ」

「え、もうバレたの?」

「バレたって、

あんた最初から騙すつもりだったの?」

「いやあ、

こっちの世界くんの200年ぶりぐらいだから、

勝手が分からなくて…あ、はは…は…」

アホな顔してへらへら笑ってる狢は無視して、

店の厨房の方へ向かって叫ぶ。

「すみませ~ん! 

なんか狢吊るすのにいい棒ないですか?」

それを聞いて真っ青になった狢は、

「ま、まさかあっしを狢汁に……」

と言いながら私の足にすがってくる。

「仕方がないでしょ。

お代はカラダで払ってもらわないと」

身に危険を感じ、冷や汗をだらだらと流す狢に、

そこにいた全員がほほえみながら近づいていった。


結局、文無しだった狢は、

西御門学園の雑用を

4ヶ月ほど無賃で働くことになりましたとさ。


第3章 その1につづく。

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