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第7話 「決戦前夜」第一章 飛鳥中納言 その1

第1章「飛鳥中納言」


”asuka.ltd”と言えば、

重工業、エレクトロニクス、エンターテインメント、金融など、

世界中の多くの企業を傘下に持つ

アスカホールディングスの中核企業。

その”asuka.ltd”の株を100%押さえている飛鳥家は、

検非違使別当けびいしべっとうを拝命した飛鳥薫子の実家だ。

挿絵(By みてみん)

身長165センチ48キロ、腰の少し上まである長い髪、

アホ毛がトレードマークな

稲村ガ崎高校の生徒会長を務める2年生だが、

父親から既に会社の支配権を受け継ぎ、

忠実で有能なスタッフとともに経営に当たっている。



相模湾に面した稲村ガ崎から見る景色は

本当に綺麗だと思う。

よく晴れた日の朝に西を見れば

江ノ島はもちろん、富士山までくっきりと見渡せる。

そんな鎌倉の入り口、稲村ガ崎に立てられた

県立稲村ガ崎高等学校は、

私、飛鳥薫子が通う高校として実にふさわしい。

土曜の11時を回った今、

その生徒会執務室に

生徒会執行部=検非違使の面々が揃い、

先日起こった第二契約者たちによる、

富士火山帯および湘南火山帯への

活動誘発行為についての会議が開かれていた。

俗に怪奇現象と神霊現象とか呼ばれる事柄は

すべて西御門にある弾正府が仕切っているが、

人間や実態のあるものが起こす事件で

警察の手に余るものはすべて検非違使が

引き受けることになっている。

線引きが難しいのが、

この前のような、

三浦安針とかヤン・ヨーステンといった、

すでに”死んだはずの人間”が

現実に被害を与える場合だ。

お互い自分の管轄だという話を始めると

後手に回ってしまい利敵行為といえる。

もともと公家が置いた弾正府を監視する目的で

設置されたのがこの検非違使庁だ。

本来は朝廷の組織だが、

前世紀の世界大戦後に

GHQと武家政権の主導でここ

稲村ガ崎高校内に密かに組織された。

別当は一応朝臣が就任することになっているものの、

かなり形だけに近かった。

そんな状態をうれいた曽祖父が

鎌倉府の隣り、藤沢市の柏尾川沿いの田園地帯に

asukaの企業城下町を形成して、

その子弟を稲村ガ崎高校内に送りこんでいた。

一方、曽祖父より事業を引き継いだ

祖父の経営手腕によりコングロマリッドとして成長した

asukaグループは、

その勢力を伸ばす一方でGHQの息のかかった武家たちと衝突するようになった。

祖父は闘争する愚を避け、面従背反を選択した結果、

国内の有力企業が多く加盟する

日本経済団体連盟の常任理事となるなど、

武家政権内にも大きな発言力を持つようになっていた。

結果、現在稲村ガ崎高校の生徒の殆どは

asukaの子弟が占めることに成功し、

今期私が率いる検非違使庁は

asukaグループとの完全な連携を果たしていた。

ただ検非違使庁では、

陰陽寮や弾正府の管轄になる怪異については、

まるで畑違いで戦力にならない。

ところが最近は”鬼”の度重なる出現や、

第二契約者の異端、オーソドクス教会による侵略行為が頻発するようになっていた。


第1章 その2に続く

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