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第6話「-暗闘-青木ヶ原樹海」第3章 その2

慣性の法則にしたがい、

悲鳴とともに多くの生徒がイスから転がり落ちた。

私も音音はさっと立ち上がると周囲を確認する。

すると、

バスの前にひとりの男が照らし出されていた。

(あ、バカ殿みたいなチョンまげ…ってことは…)

と思っている私の考えを読んだみたいに、

「茶せん髷に日本刀の外国人--

どう考えても極東オーソドクス教会の方ですわね…」

と音音が呟く。

突然飛び出されて、一瞬放心していたドライバーが我に返り、

怒って出て行こうドアを開けたのを見て、

「外に出ちゃダメ!」

と叫びながら、愛刀・子狐丸を掴んだ私。

バスから飛び出すと、音音と三狼もついてくる。

抜刀しようする私と三狼を音音が制すと、

何時の間にか取り出した拡声器で喋り始める。

挿絵(By みてみん)

『わたくし、

弾正府のセカンド・弾正忠化野音音あだしのねねと申します。

貴公はヤン=ヨーステン殿とお見受けしますが…』

「お初にお目にかかる。いかにも拙者、

ヤン=ヨーステン・ファン・ローデンスタインと申す」

と拡声器に負けない大声で答えてきた。

(うわー、また知らない人………ん? 

でもなんだかちょっと聞いたことあるかも)

と悩んでいると、私の表情から察したのか、

「今から400年ほど前に、

按針あんじんのバカといっしょに日本に漂着したオランダ人で、

東京駅の八重洲の地名の由来になった人ですわ」

と音音が耳元で囁いて教えてくれた。

そいえばこの前歴史の授業で教わった気がするけど、

年号と外国の人の名前って憶えられないんだよね…><

音音は、ヤンの方へ向き直ると、

『何のご用か存じませんが、

わたくし、今日の富士登山を楽しみにしておりますの。

このまま大人しく退いていただけると

助かるのですけれど…』

と愛刀・狐ガ崎の柄に利き手とは逆の

左手を載せ攻撃の意志のないことを示しながら言った。

でもでも、これで引き下がってくれるほど

甘い相手じゃないでしょ?

「悪いがここから先へ通すことはできぬ」

ほらぁ、やっぱり……。

まあ、この会話のあいだに、

生徒たちが乗っているバスを後退させられたし…。

「では、実力行使といくしかないようですわね」

そう言って音音が指をぱちんと鳴らすと、

いつの間にか左右から回り込んでいた

音音の護衛=化野家の河童たちが、

おのおのの得物を手にヤンに襲いかかった。

私も気付かない間に配置をすませるなんて、

いつになく本気度が高いぞ、音音。

それだけ富士山に登りたいということなんだろうけど。

だけど、そんな音音の思惑とは関係なく、

ヤンは抜く手も見せず

剣圧だけで河童たちを吹き飛ばしてしまった。


第3章 その3につづく

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