表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/127

第4話「付喪神といっしょに」 その2

「ボクは烏部司うべのつかさ熊野小太郎…」

うべ? って言われて検非違使庁で目を通した資料を思い出す。

カラス部って書いて”うべ”、

司って…その部門の一番偉い人だ!

「わ、私は稲村ガ崎の桂木少尉ですっ」

と慌てて自己紹介する。

「ふーん、イナムラの検非違使の人なんだ。

――今、執行部は会議中だよ。用ならうけたまわるけど?」

そう言われて、はっと我に返る。

あの荷物、

さっきびっくりした拍子に投げ出しちゃったんだっけ!

慌てて荷物を探して辺りを見回すと、

廊下の端に転がっていた包みを見つけて拾いあげた。

すると、お札が貼ってあった包みが破けていて、

中から女の子のフィギュアが落っこちた。

その刹那、そのフィギュアがガチャガチャという音をさせながら、

まるで吊り糸で操られているように立ち上がり、

こちらを向くとにっこり笑い、階段を下りて逃げ去ってしまった。

へなへなとその場に座り込んで

ボーゼンと見送る私の横で熊野さんがつぶやいた。

挿絵(By みてみん)

「あれあれぇ~、中身は付喪神だったのか?」

「つくもがみ?」

「長年人に使われたモノに、強い思念や霊が宿っちゃった

ものだよ。アレの処分が今回のお使いの目的?」

「は、はい」

「じゃ、さっそく退治といきますか」

そう言うと熊野さんはスタスタと歩いてふっと姿を消してしまった。

「えっ!? ちょっと--」

あの人退治するって言ってたけど、

どうするんだろう?

さっきは突然のことで吃驚びっくりしちゃったけど、

あのフィギュアからは

不思議と怖いという感じを受けなかった。

(あの子、悪い霊なんかじゃないんじゃ…?

退治されちゃう前に確かめなきゃ――)

そう思った私は、

階下に降りようと立ち上がった。


その3につづく

ときどき更新します。

元版はそねぶろにあります→ https://niraku.blog.ss-blog.jp/2010-03-02

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ