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第4話「付喪神といっしょに」 その1

「これ、うち(検非違使庁)じゃ扱えないモノだから、

西御門にしみかどへ持ってちゃって」

私・桂木萌の通う神奈川県立稲村ヶ崎高校の生徒会長こと

検非違使別当の飛鳥薫子さんは、

そう言いながら紙の手提げ袋を渡してきた。

(西御門っていったら神霊関係を扱う弾正府ですよね…)

そう思いながら、

中を開けてみると箱が入っていて、

案の定、漫画で見るような御札が貼ってある。

「うわっ……ってことは、これってやっぱり曰く付きの

何かなんですよね??」

「まあ、その悪霊封じの霊符・鎮押なんとか符が

貼ってあるからなんの問題もないのだよ」

鎮押凶房怪符ちんおうきょうぼうかいふとでも読むのでしょうか?」

挿絵(By みてみん)

「た、たぶんそうであろ。

別に怖いというわけではないんだが

手元に置いておくのもなんだしな」

薫子さんがそう言った途端、

ピシッ! という空気が震えるような音が部屋に響いた。

「!?」

その音にビクンと反応した薫子さんは、

「そ、そう言ったモノは西御門の専門だからのう。

ま、向こうにはよしなに言うておくれ」

と言うと、生徒会長室から脱兎のように出て行ってしまった

あ、さっきの音ってもしかしてラップ音なのかな……。


「あ~ん、やだなぁ…」

仕方なく鎌倉府立西御門にしみかど学園にある

弾正府へ向かう私。

江ノ電を鎌倉駅で降り、

そこから鶴ヶ岡八幡宮の参道段葛だんかずらを通り

八幡宮の源氏池の横を抜けて歩くこと25分。

西御門学園に着いたときにはもう辺りは薄暗くなり始めていた。

ここって山のすぐ手前にあるから、

もともと少し暗くてジメジメしてるんだよね…。

今みたいに夕方にくると、

山の陰が迫ってくるような感じがしてちょっと怖い。

更に私が持っている荷物には、

悪霊封じの霊符・鎮押凶房怪符等いわくありげな護符が

べたべた貼ってあるっていうシロモノだし…。

早く用を済まして帰ろうと、

正門から入って学園のずっと奥にある

4階建ての武道棟連合の建物を目指す。

その4階にある

弾正府本営と大きく縦書きされた看板のある扉の前で、

「ごめんください~…」

と声をかけたものの返事がない。

誰か生徒さんに聞こうにも、

こんな日に限って誰にも会わないし…。

人気のない学校の中にいるのって、

なんか出てきそうでやだなぁ……もうだいぶ黄昏れてきたし…。

この時間って、人が魔物やあやかしに会いやすい時間、

逢魔が時って言うんだよね…と思った瞬間

肩にぽんっと手を置かれた私。

「●×▽××--!!!」

あまりの怖さにびっくりした私は、包みを放り出して

その場にへたり込んでしまう。

「あ、ごめんごめん、脅かすつもりは少ししか無かった

んだけど、そんなにびっくりした?」

そう言って覗き込んできたのは、

私と同じ歳ぐらいの男の子だった。


その2につづく

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