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第2話「酒 虫」その3

「酒~、酒飲ませてくれ~」

うめくオッサンを無視して音音が続ける。

「夕べから仕込んでおいたので、そろそろですわ」

「で、音音これで、いったいいくら貰うの?」

「うはっ! な…何をおっしゃいますの! 

わたくし、こう見えましても名門化野あだしの家の跡取りですわ。

お金なんて1円もいただきませんわ」

「ふーん…」

准公務員扱いの弾正府としては、

妖異を退治したからと言って、対価を貰うことはない。

でもまあ、ここでのご飯代ぐらいないら大目に見ようかな。

「で…では、さっそくかかりますわ…」

ちょっとあせりながら、

音音はバッグから取り出したシャンパンの栓を勢いよく飛ばした。

ポン、シュワー…! 

という音とともに泡があふれ出して床を濡らすのを見た

静葉ねえさまと葛葉ねえさまのふたりは、

「きゃー!

ドンペリをこぼしちゃダメです~」

「もったいないですわ~」

と口々に叫ぶと、

どこからかmy杯を取り出して、

流れる出るお酒を受けて飲み始める。

「う~~ん、やっぱりドンペリ、おいしいですわ~」

「甘露なのです~」

と嬉しそうなふたりの声を聞いて我慢できなくなったのか、

「ぐええぇぇ! ぐぉおおっ!」

とオッサンが妙な呻き方をしはじめている。

あ、もしかしてこれ、酒虫が出て来る前触れかな?

身構える一同が見守る中、

オッサンの胃の辺りがモゾモゾして、

そのモゾモゾがノドのアタリまで来たと思ったら

急に静かになった。

身構えて5分、音音と顔を合わせると、

「三狼、見てきてっ!」

と三狼の背中を後ろから押す。

これぜったいトラップだもん。

三狼がおっさんの口をのぞき込んだ途端、

「ぐはぁああっ!」

というオッサンの呻きとイッショに、

口から芋虫のようなモノがモゾモゾと出てくる。

うわー、なんのホラー映画??

気持ち悪すぎて思わず目をそらすと、

ねえさま方もがっくりと膝を着いて口を押さえていた。

音音だけは、用意していたお酒を少し入れたビンの口を開け、

タイミングを計っている。

いい加減三狼に絡みついたところで、酒虫にビンを向けると、

そいつは自分からそのビンに入っていく。

フタを閉めると、モザイクなしには見れない物体が

ビンの中でウニョウニョしている……。

挿絵(By みてみん)

「That all、一丁あがりですわ」


酒虫 その4につづく


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