表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/127

「凍結する西御門 襲来! 第二契約者」第6章 その4

「ニコライ殿、おしゃべりはその辺で…」

そう言いながら、

ヒュースケンを抱えるようにして結界牢から出て来たのは、

茶筅髷を結った侍姿の外国人だった。

「葛葉どの、お久しゅうござる」

「貴方は…三浦按針――貴方まで出張っているなんて…。

…そこまでディアボロの秘密は重大なのですか…」

そう言った刹那、ふたりを追いかけるようにして、

よろよろと出てきたのは二狼にいさま!

無事だった!

無事でいてくれた!!

「き…貴様の相手は俺だ! こっちを向け!」

六尺の斬馬刀を引きずり、頭と片腕から血を流し、

立っているのもやっとという痛々しい二狼にいさまがそこにいた。

「にいさま、ここは私がっ!」

言いさま、小狐丸の鯉口を切り、構える。

挿絵(By みてみん)

「結繪ちゃん! ダメです、

貴女がどうこうできる相手ではないのです!」

葛葉ねえさまの言うことはわかる。

でも今ここで私が引いたら…。

「拙者とて、婦女子を斬るのは気が乗らん。

用件もすんだことだし、今日の所はこれにて御免!」

そう言うと、そこから侵入してきたという穴へ、

ニコライと共に消えていく。

後を追おうとする石田を葛葉ねえさまが引き留める。

「それよりも、けが人の手当を急ぐのです」

そう言うあいだに、穴の中で爆発があり、

岩や土砂が崩落する音が響き渡る。

その音で、はっと我に返った私は、

慌てて二狼にいさまのそばに駆け寄ろうとするが、

その間に二狼にいさまが床へと崩れおちる。

「にいさまっ! しっかりしてください!!」

「二狼さん!」

「…葛葉様、

やはり、三狼の方が資質は上のようです。

結繪様、これを三狼に――」

そう言うと六尺斬馬刀を私に渡し、

目をつぶり、苦しそうにあえいだ。

葛葉ねえさまの足下が光り、

方陣が浮きだし、癒しの呪文が詠唱される。

でも、二狼にいさまの傷はなかなかふさがらない。

しばらくじりじりとした時間がながれ――、

やっと傷が少しふさがって来た! 

そう思った瞬間、

二狼にいさまの身体は筋肉が盛り上がって…。

これってにいさまも!?

「うそ……」

「ディアボロ!? 

按針の刀にウィルスを塗布とふしていたに違いありません。

こ、これでは……」

葛葉ねえさまが呻くように呟いた……。

「そ、そんな、二狼にいさま! 

イヤです! にいさまっ!!」

私の悲鳴が地下室にむなしく吸い込まれる…。


第7章につづく

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ