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「凍結する西御門 襲来! 第二契約者」第6章 その1

ふたりが沈黙した一瞬の静けさのあと、

その静寂をやぶるかのように、

武道棟全体に警報音が鳴り響く。

『全館に警報! 敵襲です。

うしとら大平山おおひらやま方面よりコードネーム出雲進行中。

従四位相当、ラフカディオ・ハーン。日本名小泉八雲。

蜂部ほうぶ・虎部は小隊単位でただちに出撃してください。

非戦闘員は至急……』

出撃を促すアナウンスが急を告げる。

小泉八雲? 

今度はさすがに知ってる。

日本に帰化して『耳なし芳一』とか書いた人だ。

教科書で見た写真は割りと優しそうな感じの人だったけど…。

なんて考えてたら、

二楽亭の2階から文字通り飛び出してきた葛葉ねえさまが、

こちらに向かって文字通り飛んできた。

「結繪さん、大物の来襲なのです! 

飛びますから、掴まるのです!」

「は、はい! あ、でもその前に服を…」

挿絵(By みてみん)

(さすがにこの人魚のコスプレで出撃するのは恥ずかしすぎるよ~っ!)

「あ、そうですね」

そう言って葛葉ねえさまは

さっきと同じように私を扇で扇ぐと

一瞬ひかりに包まれて、元の制服姿にもどった。

「では参ります」

「三狼、遅れないでっ!」

言いながら葛葉ねえさまの腕を掴む。

するとまるで体重などないかのように、

ふわりと空中に浮かび上がる。

音音と静葉様も合流してきた。

「結繪さん、今日は白と黄色のシマシマですのね」

「えっ!?」

後ろにいる静葉様にそう言われて、

パンツが見えちゃってることに気がついた私。

慌ててスカートを押さえても、

片手だとバタバタが上手く押さえられない~~~。

はっ、として下を向くと、飛んでいる私たちの下を、

木のてっぺんを飛ぶようにしてついてくる三狼が、

鼻血をハンカチで押さえている。

「!?///////わ、バカ、三狼上見るなっ!」

「あらあらww、三狼さん鼻血ですか?」

静葉ねえさまが笑いをこらえながら茶化す。

「結繪ちゃん、暴れちゃダメなのです~!」 

葛葉ねえさまがバランスを崩す中、

途中で着けたインカムから情報が入ってくる。

蜂部ほうぶ前衛が出雲と接触します』

「こちらも間もなく接触します。

蜂部・虎部は一撃して市営テニスコートまで後退、

鹿部ろくぶと合流し防衛線を構築してください」

音音は、そう指示を出した後、

こちらを向いて、インカム越しに戦略予想を言ってくる。

『結繪ちゃん、定石なら裏鬼門・未申ひるじさるから、

別働隊が侵入してくる可能性が大きいです』

「さすが音音!」

「軍略は音音さんの好きにしてもらっていいと思うのです」

音音は、こちらに目配せしてうなずくと、

『出雲は”囮”の可能性が高いです。

狼部は現状維持でヒュースケンを護衛。

鷲部・牛部は国大付属小学校陸上トラックに展開。

狸部・兎部は第二運動場にて迎撃用法陣を組んでください』

と指示を出していく。

その最中、森の中から殷々(いんいん)と声が響いてくる。


第6章 その2につづく

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