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「凍結する西御門 襲来! 第二契約者」第4章 その1

鎌倉府のもっとも重要な霊的方角は、

鶴ヶ岡八幡宮のうしとらにあたる西御門にしみかど

その艮=鬼門に府立西御門学園は立っている。

校舎のすぐ裏が山になっているので、

体育館の裏などは、うっそうとしていて、

昼間でも薄暗くて不気味な感じがする。

そんな体育館裏の道を、

長い髪を、リボンで後ろにまとめた

高等部2年・那須野結繪が歩いている。


その細い腰には、

ホルスターのようなベルトに、

大刀と小刀を帯刀たいとうしている。

結絵が体育館の角に近づくと、

その前方を、3人の男子生徒がふさいだ。


どんな学校にも『不良』と呼ばれる類は存在するけど、

私の通う西御門学園は違うと思ってた。

でも、今、私の目の前にいるのは、

この禁煙主流のご時世に、

この若さでタバコふかしている、

いかにも頭の悪そうな男子生徒3人。

これはどう見てもステレオタイプの不良男子生徒だよ…。

「高校って、

別に義務教育じゃないんですから、

そんなアピールしてまで、

学校に来る必要なんかないんじゃないですか…」

「なんだとっ!?」

「ここが近道なので、通りたいだけです。

ただ…私の通り道で、タバコを吸って欲しくないなぁ。

――臭いから」

「それは俺たちにどこかへ行けってことか?」

「はい▽」

「なんだとっ!」

満面のほほえみで答えて上げたのに、

頭から湯気が出そうなほど怒ってる。

まあ、当然の反応かな。

「だいたいあなたたち、

ホントはウチの生徒じゃないでしょ?」

なんて言ったら、更に怒ったみたいで、

みるみるうちに変身していく。

筋肉が盛り上がり、

爪が伸びて、角が2本生えてきて……はい、鬼のできあがり♪

「やっぱり鬼化ウィルスのキャリアかぁ…」

日本人は、もともとこのウィルスの感染者が多いんだけど、

キャリア当人が思い切り落ち込んで、

更に陰の気を持ったあやかしに取り憑かれないと発現しない。

だいたい普通は、

発現すると言っても、

第1期では、キレたり、無差別殺人に走るだけで、

鬼に変身するケースなどほとんどない。

ところがこのウィルスに遺伝子操作して、

ちょっとキレるだけでも鬼に変身するよう細工したヤツらがいる。

今、ウチの生徒会や体育会文化部連合が、

必死で犯人捜しをしてる最中。

あ、ウチの高校、ちょっと特殊で、

異界=幽冥界との接点になってる鎌倉府を守護する弾正府を兼ねてるの。

だから、生徒の3/4ぐらいが、

ずーと昔から、

あやかしとの契約関係を持つ家の出身者とその家来筋で占めてる。

そして、そんな生徒すべてが、

天狐・葛葉ねえさまと契約している私、

弾正尹だんじょうのかみ・那須野結繪の配下になってる。

それ以外の一般生徒は、

文武のどちらかに優れた成績優秀な人しか入れないハズで、

こんな不良がここに居るはずがないんだよね。

「剣術は習ってるけど、

鬼相手に手加減出来るほどの腕前じゃないので、

あばらの2、3本は覚悟してね」

そう言いながら、

体勢を低くして愛刀小狐丸に手を掛ける。

挿絵(By みてみん)


第4章 その2につづく



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