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「凍結する西御門 襲来! 第二契約者」第3章 その5

…恐る恐る振り返ると、

そこにはいつも通りの三狼が立っていた。

「さ…ぶ…ろう…、

角は……第3期だって聞いてたのに…

大丈夫…なの…?」

「うん、いつもより調子いいくらい」

「――よかった…」

思わず三狼に抱きつくと、

「わー、結繪ちゃん、ダメ、抱きついたらボク…」

と言うと三狼が慌てて私を引き離す。

でもつぎの刹那、三狼の体から、気がわき上がり、

右の額から角が生え始め、制服が破れていく。

上背は二メートルは超えているだろう。

腕も太もものように太くなっている。

三狼は完全に鬼になっていた…。

なに? いったい何が?

三狼と一緒に来ていた医部・鹿苑寺ろくおんじ配下の

ミニスカ看護師さんが、

こんな状況にもかかわらず、妙落ち着いていて、

「鹿苑寺先生の話だと、

興奮すると、生き残ったナチュラル鬼化ウィルスが

通常の三倍頑張っちゃって、

鬼化しちゃうそうです。

鬼化した体は、

完全に三狼さんの意識制御下にあるので、

問題はないそうです」

と説明してくれた。

挿絵(By みてみん)

「――なんだって。

だから結繪ちゃん、

もう、急に抱きついちゃダメだよ」

や――っ!! 

三狼のカワイイ声で、

いかつい鬼がしゃべってる~~っ!

あっ! 興奮すると鬼になっちゃうってことは…。

「…って三狼、私に抱きつかれれて、

何コーフンしてるわけ? 

このむっつりスケベっ!!」

そう言って向こうずねを蹴飛ばした途端、

鬼三狼は、

プシューっという音を立てて縮み始める。

「興奮状態から醒めると鬼化も解けます」

とミニスカ看護師。

「変な所で鬼化しないように気を付けないと、

大騒ぎになっちゃうよね」

あはは、と笑いながら言う三狼。

元に戻ったのはいいんだけど、

服は破けてびりびりで、

ほぼ全裸状態だった。

そこに何も知らない音音がやってきて挨拶した…。

「みなさま、おはようございます。

今日も良い天気ですわね。

清々しい朝は、清々しい一日の…」

股間に揺れるアレも、

そのまま全部見えてる状態の三狼を目撃した音音…。

「きゃあぁっっ――!! 何なに!? 何なの!? 

三狼っ、あなた、何で全裸なのです?

さっさとその変な物をおしまいなさいっ!!!」

と絶叫しながらその場にへたりこんで失神した。

おお、化野家の一人娘にふさわしいお嬢様っぽい反応!


医部から報告では、

三狼は冷凍処置後に異常な発熱をして、

その際、

遺伝子操作されたウィルスは壊滅したらしい。

三狼の体温は一時43度にまで達したというのだ。

発熱の間、完全鬼体化したものの、

凍結処置を施すために体温を低下させると、

熱が下がるにつれ鬼化が退行し、

人間の姿に戻り、意識を取り戻したのだという。

今三狼の体内に残っているウィルスは、

遺伝子操作されていない通常のものばかりらしい。

このプロセスが解明されれば、

一気にウィルスを壊滅できるかと思った私だけど、

通常の人では、

ウィルスが死滅する43度という体温に耐えられないらしい。

人の発熱の限度は42度。

それ以上は脳のタンパク質が焼けてしまうんだとか…。

そうなると、やっぱりこのウィルスをばらまいている連中を

捕まえるしかない。

このウィルスを扱えるということは、

当然ワクチンを完成させているはずだから――。

医部はこの遺伝子操作されたウィルスを

悪魔=「ディアボロ」と名づけた--。


(とりあえず、三狼が無事でよかった。

でも、三狼、ああ見えて、鬼化してなくても結構筋肉質で…///。

や--っ、あんな映像は記憶から消去しなきゃっ!)

「あ…男なんて…不気味な…」

そんな私の自問自答を邪魔するみたいに呻く音音は未だに目が覚めない。

音音の額の上のタオルを取り替えながら、

とにかくディアボロのワクチン作りを急がせなきゃと思った。


第4章へつづく

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