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二楽亭へようこそ! 外伝「ふたりの母」その1

「あら…あの子、

女の子ではないのですね?」

中等部に上がったばかりの音音が、

学園の廊下ですれ違った着物姿の子供をとすれ違い、

一瞬振り返って、

「長い髪が白い着物に映えて

すご――くかわいいですのに。

女の子ならお友達になれたでしょうに、殿方だなんて残念…」

と護衛のキザクラに感想を漏らした。

挿絵(By みてみん)

西御門学園の廊下ですれ違った5歳ぐらいの子は、

見た目にはかわいい女の子にしか見えなかった。

それが聞こえたのか、言われた側の男の子は顔を赤くして、

しばらく音音たちの後ろ姿を追っていたが、

校舎の奥へと走っていった。



4年後--。

「さささ、さむーいっですわわわっ…!」

結繪といっしょに

教室に入ってきた音音が叫んだ。

「き…き…き…今日は暖かくなるって

天気予報で言ってませんでした?」

相当寒いらしく、

音音は歯の根が合わず、

しゃべりながら歯のガチガチ言う音が混じる。

「東京は暖かいみたいだけど…」

結繪がスマホの天気予報を見ながら言ううちに、

窓の外の風景が雪交じりになりはじめた。

「わー雪だー!」

喜ぶ結繪をあざ笑うかのように、

その雪が見る間に横殴りの吹雪に変わっていく。

「寒いとはいえ、

さっきまで晴れていましたのに…」

「すごーいっ! 

こんないっぱいの雪初めて!」

雪というと、

もの凄く降っても、

せいぜい10センチという鎌倉育ちの結繪は、

大量の雪があっという間に積もっていくのが楽しいらしく、

自分の席でじっと外を見ていた

幼馴染みの三峯三狼みつみねさぶろうに、

「サブちゃん、雪合戦しよう!」

と言うと、

腕を掴んで校庭に連れだそうとする。

「ゆ、結繪ちゃん--こ、これ、

普通の雪じゃないですわわわわわわ…」

ガチガチと歯を馴らしながら音音が呟くと同時に、

ピンポーンと緊急放送を告げるチャイムが鳴った。

『那須野結繪さん、化野音音さん、

至急生徒会室までおいでください』

「ややや、やっぱりあやかし絡みですわわわ…」

鎌倉府の妖怪関連事件を取り締まる弾正台のTOPを務める弾正結繪と、

それ補佐する弾正忠だんじょうのちゅう音音が

生徒会に呼び出されたということは、

間違いなく妖がらみで面倒が起こっているとみて間違いない。


つづく

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