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第3章 ③ 「白いアネモネを探しに」

「私、実は記憶障害を患っているんだ、、、」

彼女からのその言葉を聞いた瞬間、僕はひどく驚いてしてしまう。まさか、本当に記憶障害だとは思ってもなかったから。彼女はそんな僕を見ながら話を続ける。

「解離性健忘の系統的健忘って言う記憶障害でね。特定の出来事または人物を忘れてしまうってものなんだ、、、」

そう彼女は悲しそうに話していた。「特定の出来事または人物」その言葉の中に僕は入ってしまったのだろう。僕は思わず彼女に問う。

「な、なんでそれを僕に打ち明けたの?」

ふと気になったからだ。彼女は目を見開き驚いたと思ったら、話し出す。

「それは、これ以上誤魔化すことが難しいなと思ったし、それに君には知っておいて欲しいなと思ったからだよ。」

彼女はまっすぐな目をしてそう言い切った。

「どうして僕には知って欲しいと、、、?」

「なんとなくかな、、、君はずっと気掛かりだったでしょ?なぜ覚えてないかなんて、」

「まぁ、そうだけど、、、」

「私もね、モヤモヤしてたんだけど、やっぱり君には教えてもいいかなと、私は君のことを信頼してるし、、、」

「し、信頼、、、?」

「うん、君は記憶障害のことを知っても誰にも言いふらしたりしないでしょ?それとも言いふらしたりする?」

「しないよ、絶対に、、、」

「だよね〜、わかってた、、、」

彼女は作り笑いを浮かべながら返答した。

そんな彼女を見ながら考える。

なぜ作り笑いを浮かべたのか僕にはわからない。彼女とは対照的に僕は彼女のことがわからない。何も知らない。

いいや、

わかっても無駄だった。知っても何もない。

今更思い出してしまった、、、

彼女の秘密を知ってしまうことで、、、

知ってはいけなかったと、僕は彼女にいろいろと聞いてしまったことに後悔した。無意識に唇を噛み締めた。それを見て読み取ったのか彼女が空気を変えてとんでもないことを言い出す。

「ここでね。君に双葉くんにお願いがあるの!

私は特定の記憶が散っていくの、花びらみたいに、、、だからその花びらを集めるのを手伝って欲しいの!」

「、、、え、」

「今は君と出会ったときのことがわからない、そしてこれからも度々散っていってしまうかもしれない。そんな時に思い出せるように手伝って欲しい。」

思いがけない提案に言葉を失う。何か言わないといけないと思い、なんとか言葉を絞り出す。

「、、、だ、だからって、なんで僕、、、?東雲さんとか田辺くんとかいるじゃん、、、」

彼女はそれを聞いて目を見開いたかと思うと目を少し細め優しい顔をする。

「勇くんはこのことを知らないの、そして美夢ちゃんにはこれまでも今もたくさん助けてもらってて、これ以上負担や心配をなるべくかけさせたくないの、、、本当に自分勝手なことだとは思ってる、、、だけどお願い。」

彼女はそう言いながら手を合わせた。

僕にはその役目は無理だ、、、やりたくない、、、これ以上人と親しく関わりたくないんだ、、、

「、、、ぼ、僕には無理だ、、、その役目は、、、」

「な、なんて、、、」

「僕は手伝えないって言ってんだよ!!」

あまりにも自分勝手な内容で僕はつい声を荒げてしまった。それを見て彼女は目を見開いて驚き、少し怖くなったのか一歩後ずさる。そしてしばらく沈黙が続いた。先に沈黙を解いたのは彼女だった。

「、、、ご、ごめんね。こんなお願いをしてしまって、、、」

「こ、こっちも怒鳴ってごめん、、、」

「いいよ、、、変なお願いをしたのは私の方だから、、、だけどねこれだけは言わせて、、、」

「え、、、」

「私には君が必要なんだよ、、、だからもし気が向いたらこのお願い受けてくれないかな、、、もちろんなんらかの対価は用意しておくから。」

彼女は堂々と勇気を出してそう言った。

きっとどうしても僕じゃないといけない理由があるのだろう。だから必死になっている。僕にはそう読み取れた。ここで断ってしまうと彼女に失礼だと思い、僕は前向きに検討するとだけ伝え、中身の入った弁当箱を持って教室に戻った。教室に戻る頃には昼休憩は残り5分ぐらいで弁当を食べる時間はなかった。しばらくすると後から彼女、北山さんが教室に入ってきた。

「ちょっとはるかーどこ行ってたのよーもう昼休憩終わるよ!」

「あははは、ごめんごめん、先生のとこ行ってたら案外長引いちゃって、えへへ」

「えへへ、じゃ無いでしょうに、、、」

そんな会話を他所に周りを見て見ると所々で男子が北山さんのことを見ていることがわかった。たしかに彼女はすごく顔が整っていて美人だ。色んな人からモテるのも頷ける。そんな彼女から他人に任せれない、僕だけへのお願い。僕みたいな根暗な奴がこんなお願いをされるなんてもう一生ないのだろう。だからといって今の僕には受ける気はないし資格もない。あんな感じで断ってしまったし、それに僕には誰にも言えない秘密がある。そのこともあるため受ける気は無かった。

この時は、、、


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