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第2章 ① 「二つのイヌホオズキ」

北山春花に出会って数日後

4月9日(火)今日は和佐かずさ高校の入学式。僕は母と父に車で送られて和佐高校の門をくぐり抜けた。母は一足先に体育館に入っていき、僕は校舎の下駄箱に行き靴を履き替え、教室へ向かおうとする。昇降口に貼られている1組から6組のクラス表を見て、絶句してしまう。

「あるじゃないか、彼女の名前が、、、」

僕は1年3組、その同じクラスの欄に

[北山きたやま 春花]はるか

同じクラスだった。お礼を言うのに探す手間が省けるが、この前の名前の呼び方とかあの雰囲気じゃ自意識過剰かもしれないがダル絡みされる未来が見える。

(なんともないことを願うしかない。)

そのようなことを願いながら僕は自分の教室に向かう。扉に貼ってある座席表を見て、緊張しながら教室に入る。僕の席は真ん中の列の一番後ろ。そこから右に一列挟んだ斜め前に彼女の席がある。そこには数人の輪ができている。その輪の真ん中に彼女、北山春花がいた。そしてこの前彼女といた東雲美夢もいる。すごく話が盛り上がっていて二人とも僕がいることには気づいてない様子だ。僕はひとまずホッとした。にしても予想通り彼女は、ザ・陽キャという感じだ。僕には無縁の世界。話す人もいないし、無理に話しかけてこないように僕はいつも通り本を取り出して読み始める。すると視界の端にいた隣の席のメガネをかけた男子がソワソワしながら話しかけてきた。

「あ、あの、ちょっとごめんね。ぼ、僕、田辺たなべ 勇太ゆうたって言うんだ!これから隣同士だし、よ、よろしくね!」

話しかけて来るなんて予想だにしてなかったため少し驚く。しかしせっかく話しかけてくれたんだし、その気持ちを無下にはしてはいけない。そう思い、僕も言葉を返す。

「よろしく。双葉 樹です。」

彼は嬉しそうに笑って

「うん!ねね、なんの本読んでるの?」

「バカのバカ返しって小説。」

「え、僕も見てる!面白いよね!」

彼は興奮しているのか声が少し大きくなる。

周りはそれを見てクスクス笑っている。少し居心地が悪く感じた。

「うん。」

「他にもどういうの読んでる?」

「うーん。アニメにもなったあの日見た水平線とか。」

「それも見てる!アニメとか見るの?」

「うん。いろいろと見るよ。」

「そうなんだ!」

彼はとても楽しそうに話している。僕も少し楽しく感じた。その後も話は盛り上がった。そして気づけば、入学式が始まる時間になり、廊下に並ぶようになった。彼とは一旦別れ、みんなが並び出した見て自分の場所に行くとたまたま彼女、北山と隣になった。

気まずい、数日前のこともあるし、でも両親に言われたように彼女にしっかりお礼をしないといけない。彼女が助けてくれなかったら僕は、今ここにいないかもしれなかったのだから。ウジウジしても仕方がないと思い、勇気を出して自分から彼女に声をかける。

「あの、僕のこと覚えてる?」

「え、?」

「数日前に助けてもらった、双葉樹です。この前は本当にありがとう。あの時助けてもらわなかったら、、、」

すると彼女が話を遮って、

「ご、ごめんなさい。たぶん人違いじゃないかな?わ、私、君と会ったことないし、助けた記憶ないよ?」

それを聞いて思わず絶句する。

「え、?」

すると急に後ろにいた東雲美夢が割って入ってきた。

「春花ごめん。これ私が持ってたわ。」

そうして彼女に手に持っているリボンを渡した。

「これ、なくてもいいんじゃなかった?ネクタイつけていればいいって?」

「そ、そうだよ!けど私が間違えて持ってたから!今返す〜!」

「後でもよかったのに〜」

「すまん、すまん」

そんなやりとりをしていると、

「コラ、そこ列に戻れ、もう体育館に入場するぞー」

「はーい、すいません。戻りま〜す。じゃ、後でね春花」

「うん!じゃー」

そうして東雲は戻って行った。僕はそんな会話を聞きながら、すごく気まずく、顔を赤らめてショックを受けていた。

(人違い?いやなんで?彼女だろ、助けてもらったのは、、、違うのか?いやでも彼女だよな、でも記憶にないって、一体どういうことなんだ?)

そんなことを考えながら、体育祭へ歩いていく。結局どういうことなのか分からなかった。

そこから先は気まずさや恥ずかしさなど色んな感情が入り混じり、入学式がどうなったのか覚えてないが、無事何事もなく終わった。終わった後教室に戻り、担任の先生からいろいろ話を聞くが、僕の方は話そっちのけでさっきのことを考えていた。しかし結局、わけがわからないまま、その日は終わった。それからというものなぜ北山が僕のことがわからなかったのか確認もできず時間は過ぎていく。一方で前から変わったことがあった。それは入学式の時話した田辺くんが毎日のように話しかけてくることだ。僕は今もこれからもあまり人付き合いをしないでいきたかったが、彼はいつも楽しそうに話してくれる。結果的にそっけなく冷たい返しをする。少し申し訳ないがこれも今後のためだ。そんな感じで彼とはそれなりに話す仲となった。その後の数日間目立った出来事もなく出来るだけ平穏に過ごすことができた。だがしかし、そんな平穏も長くは続かない。学校生活とはトラブルがつきものだ。特に人間関係。


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