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年賀状がつなぐ約束

作者: Liew
掲載日:2025/12/01

『第7回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』の投稿作品です

クリスマスイブの夜、あたしは握りしめながら、窓ガラスに張りつく雪を見つめていた。サンタさんに絶対読んでもらわなきゃ。枕の下に隠して、毛布にもぐり込んだ。


 暖炉からパチッと音がして目が覚めた。まだ燻ってる炭の間で何かが動いてる。膝で這って近づくと、金色の包み紙に包まれた箱があった。


 破いて開けたら、古い本が出てきた。不思議な文字がぐるぐる動いて、読めるようになった——『願いの本』。


 最初のページを開いた瞬間、文字が飛び出してきて、気づいたらあたしは空を飛んでた。雪に覆われた家の屋根が、ずっと下に小さく見える。


 背の高いおじいさんが隣に現れて、笑ってた。


「サンタさん?」


 おじいさんは頷いた。声が頭の中に響いた——唇は動いてないのに。


「お前の想いが、わしのもとに届いたのじゃ。さあ、何を望む?」


 あたしはベッドで寝たきりのおばあちゃんを思い出した。ポケットに手を突っ込むと、枕の下に置いたはずの手紙があった。くしゃくしゃの紙を差し出した。


「おばあちゃんが元気になってほしいの……病気が治ってほしい……」


 サンタさんは手紙を受け取って、あたしを見た。


「自分のためには何も欲しくないのか?」


「おばあちゃんが元気になってくれればいいの……年賀状を出せば、サンタさんが助けてくれるって聞いたから」


 サンタさんは丸い眼鏡を直して笑った。


「本当はクリスマスカードを送るべきだったんだけど……」あたし、ちょっと恥ずかしくなった。「年賀状の方が特別かなって……」


 手紙を両手で包むように持って、サンタさんは頷いた。


「わしは年賀状も読むのじゃよ。毎年、いろんな願いが届く。普通のプレゼントもたくさんあるが……自分のためじゃなく、誰かのために願う子供の想いは、違う形でわしの手元に届くのじゃ。だからこうして、会いに来た」


 心臓がドキドキして。


「おばあちゃんを助けられるの?」


「わしがいつもこの季節にしていることをしよう」


 手紙に優しく息を吹きかけると、紙が小さな光の粒になって、ホタルみたいにふわふわ浮かんだ。


「おばあちゃんのところへ戻りなさい」サンタさんの声が、遠くなっていく。「目が覚めたら手を握って、新しい年には良い知らせが来るって伝えるんだ。時には、ただ願うだけで十分なこともあるからな」


最後にウインクして——全部消えた。急いで立ち上がって、おばあちゃんの部屋に戻らなきゃ。あの光が消える前に。

はじめまして。私はブラジル人の作家と申します。

この作品を読んでいただき、ありがとうございます。

気に入っていただけたら嬉しいです。

よろしければ、ご意見・ご感想をお聞かせいただけると幸いです。

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