個人企画「朝起きたら零細出版社の編集者になっていた・・。因みに社員は私だけらしい」
本日でしいな ここみさんプレゼンツ『朝起きたら企画』は終了です。
でも次は『夜寝たら企画』が始まる・・事はないな。うん、夜は寝なくちゃ。
朝起きたら俺は零細出版社の編集者になっていた・・。因みに社員は私だけらしい。
なんでだよっ!どうせなるなら『過度皮』か『衆栄社』にしてくれよっ!なんで名前も聞いた事がないような零細出版社の編集者なんだよっ!
とまぁ、出社早々俺は社長に文句を言ったのだが
「お前の代わりなどいくらでもいるんだ。辞めるならとっとと辞めろ。」
と言われてしまった・・。
いえ、すいません。ちょっと調子に乗りました。がんばりますから働かせて下さいっ!
そう、実は俺ってネットの投資話でコケて3千万円程の借金があるのだ。なのでブラックな職場ながら一応無制限で残業代が支払われるこの職場を辞める訳にはいかないのである。
もっともそうは言っても業績を上げなければ会社自体が立ち行かなくなる。なんせ社員は俺一人だからな。社長は単に資金と場を提供するだけの資本家でしかないし。
つまり俺はサラリーマンではあるがやっている事は個人自営業者のようなものなのだ。だから先ほどの残業代の件も売り上げが上がらなければ空手形になるのだ。
とは言え、今は出版業界冬の時代である。なのでコストは極力抑えたい。と言うか売れない作家などには原稿料など払いたくもない。
と言う事で、今日も俺は素人投稿サイトで目ぼしい作品がないか探していた。そして目に付いたのが『夜寝たら・・』という個人企画である。
この企画に参加している素人たちは主にエッセイジャンルを根城にしているようだが、無名素人のエッセイなど政権が交代しても売れやしない。
だがこの企画に投稿された作品の殆どはエッセイ以外のジャンルだった。なので俺はこれらの作品をアンソロジーとして出版すれば、少なくとも企画参加者とその家族と親友と企画参加者の隣近所のやつらは本を買うと踏んだ。
つまり44人x5冊は確実に捌けるはずだ。いや、家族ならば2冊は買ってくれるかもしれない。友達だってひとりとは限らないからな。というか普通は100人くらいいるよな?まぁ、俺はいないけど。
となると少なく見積もっても1千冊近くは確定出来るだろう。いや、いっその事素人作者たちに各人100冊売って来いっ!とノルマを課せば5千冊は固い。
うん、5千冊売れれば十分利益は出る。よしっ、決まったっ!書籍化作家という勲章を餌にこいつらに金を出させようっ!
その後、話はとんとん拍子に進み、晴れて書籍が書店の平台に並べられる事となった。その本のタイトルは
『朝起きたら書籍化作家になっていたっ!アンソロジー集』である。
うん、さすがに『夜寝たら』では縁起が悪いと感じて書き換えたのだ。と言うか俺は睡眠時間を削って本を出版しようとがんばっているんだから『寝たら』なんて言葉はタブーなんだよっ!
で、売り上げの方だが聞いて驚け初版の3千部が3日ではけて重版が決定したのだっ!
もっともこれにはトリックがあって、アンソロジーに作品を無償拠出させたとあるひとりが高速道路で多重事故に巻き込まれたのだが、その際にノルマ用に送っておいた書籍が盾となってかすり傷ひとつ負わなかった事がネットで拡散され、幸運のお守りとして本が爆売れしたらしい。
そう、この本を買った人たちは誰一人として内容は読んでいないらしいが、まぁ、出版業界では売れれば正義である。
更にどこから流出したのか、作品を無償拠出させた素人作家の内のひとりの著者近影が『ほっかわけいこ』に激似していると話題になり、なんと『朝起きたら書籍化作家になっていたっ!アンソロジー集』は10万部を越えるベストセラーとなった。
なので俺は調子に乗ってこの素人作家の写真集も企画したのだが、何故か先方からは断られてしまった。
まぁ、写真集は水物だからな。鳴り物入りで出版しても大コケする場合もあるらしいので手を出さない方が無難だろう。
かくして『朝起きたら書籍化作家になっていたっ!アンソロジー集』のヒットによって俺は結構な額の特別賞与を手に入れた。
とは言ってもそれは全部借金の返済に充てるので手元には一銭も残らない。なので俺は二匹目のドジョウを探して今日も素人投稿サイトの海を彷徨うのであった。
と言うか、俺って朝起きたら編集者になっていたんだよな?そのオチはどうなったんだ?
えっ、もしかしてずっとこのまま?えーっ、元に戻れないの?と言うか、編集者になる前の俺って何をしている人だったんだろう?
むーっ、まっ、いいかっ!人生何事も前向きだっ!
-お後がよろしいようで。-
実は私って『ほっかわけいこ』さんの事を、元横綱『貴乃花関』の奥さんの事だとばかり思っていた・・。
うん、『けいこさん』違いでした。いや~、思い込みってすごいよね。




