言い伝え 「天災 改訂版」
今から三百年前のこと、ゼウスが災いの種を蒔く前までは天界に住む全てのものにはそれなりの武具と食べ物が用意されており、武具に関してはそれより下のものは全くと言っていいほど存在せず、それよりも上のものは他の世界から攻められても対処できるように、世界樹というとても大きな木の中にある騎士団本部のものが装備し、他のものはその中にある保管庫に保管していたのだそうだ。
この驚くほど平等な世界のおかげで、ここに住むものは魔物に襲われても自分で対処でき、食べ物がなくなって飢えてしまうことはまずなかったのだそうだ。
しかし、災いの種が蒔かれてからはその世界は一変した。
その種は今までなかった負の感情と、欲望を生み出すものだったのだ。
この種のせいで騎士団本部のものたちは保管庫にある武具と、これから配布されるであろう食べ物を私物化するようになった。そして騎士団本部のものたちは自分たちのことを豪族や貴族などといい、この食べ物と武具が欲しければ自分のために働けと言い始めるようになった。
最初はまだ家事などであったが、それがますます酷くなっていき、美人のものは身体を自分にささげさせ、子供たちは他の世界に売るようになった。
ひどいものでは子供の身体を自分に捧げさせたのだそうだ。
この酷い世界はいつになれば終わるのだろうか。