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邂逅

遠真は、現れた女性たちに対し、自然体で対応した。


「俺は柊 遠真。この辺りの人間じゃねぇから、何があるかわからん。とりあえず、陽も傾いてきたから、寝れる場所を探している。」


 遠真の言葉を聞いた女性たちは、とりあえず剣を収めてくれたが、警戒を解いてはいないようだった。


「私は、このエリアの主、サラナだ。このエリアに誰かが入ってきたみたいだったので様子を見に来たんだが。」


 サラナと名乗った女性は、自分たちの事情を話してくれた。


「そうか。ところで、先ほど盗賊らしい二人組の男に襲われたんだが、あんたらは仲間じゃないよな?」


「盗賊だと?もしかして、ザランのとこの奴らか?そいつらは、赤いバンダナをしてなかったか?」


 遠真の言葉に、サラナは大きく食いつく。


「ああ、確かしてたな。小汚い格好だったから、異様に目立ってたよ。」


 遠真は、思い出しながら言う。それを聞いたサラナはより表情を真剣なものにして、


「まずいな。仲間が殺されたとなったら、奴らはまずここを疑うだろう。」


 そして、ぶつぶつと独り言を言い始める。


「なぁ、とりあえず、あんたらに俺を害する気はないってことでいいのか?俺としても、きれいな女性に剣を向けるのは極力避けたいんだが...」


 そんなサラナに、遠真は質問をする。が、後に続けた言葉がいけなかったらしく、


「...って、え!?はぁ!!私がきれいだと!バカも休み休みに言え。」


 と顔を赤くして慌てふためいているようだった。遠真に背を向け、何やらぶつぶつ呟いている。


「?とりあえず、害はないんだな。なら、俺としても敵対するつもりはない。それより、俺の話を聞いてくれないか?」


「む?なんだ?私たちに害がないなら、聞いてやってもいいが。」


 遠真の言葉で、何かつぶやいていたサラナも元に戻り、彼の言葉を聞く姿勢を整えた。


「いや、特に難しいことではないが、俺は今日、寝る場所がない。あんたたちさえよければ、寝る場所を提供してくれないか?もちろん、相応の礼はする。それに、今のあんたの会話の中に、いくつか気になるワードもあったしな。」


 遠真がそういうと、サラナは困った顔をして、


「確かに、そちらに害がなければ、私たちとしてもお前を害するつもりはない。しかし、私たちのところは、その、女所帯でな。男は一人もおらん。だから、お前に対する警戒心はぬぐえんだろう。」


 と、眼をそらしながら説明した。その表情を見た遠真は、


「あぁ、すまん。確かに、それはあんまりよろしくないな。悪かった。しかし、俺としても、折角会ったまともな人間との繋がりを断つのは些か気が引ける。だから、もしよければ、俺の自由を奪ってくれて構わない。」


「は?」


 遠真の言葉に、サラナは目を丸くした。


「...お前は...変態だったのか?」


 そして、さげすむような眼で遠真を見る。が、


「おいまて、お前はどんなことを想像してる。俺が言いたいのは、手を縛って武器を使えなくしたり、脚を縛って動けないままにしておくってことだ。いや、それも十分いかがわしいことかもしれんが、お前たちの信頼を勝ち取れるなら悪くはない手だと思っている。

 あんたらとの出会いは、俺にとっては死活問題だったからな。とにかく今は情報がほしい。俺はこの辺りのことは全くと言っていいほど知識がないからな。」


 と、必死そうな顔で弁明した。そんな様子を見ていたサラナは、


「...ふ、ははは、わかったわかった。とりあえずはお前を信じよう。まぁ、一応手は縛らせてもらうがな。おい、だれかこいつを案内してやれ。」


 サラナは、おかしそうに笑うと、周りを経過しているうちの一人を呼び、遠真の手をひもで軽く縛らせ、彼を連れて彼女たちの拠点に戻っていった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「よしついたぞ。ここが私たちの暮らしている場所だ。」


 サラナたちに案内され、遠真がやってきたところは、


「え、なにこれ、遺跡か何か?」


 といいたくなるような、廃墟のようなところだった。


「し、仕方ないだろっ!私たちだって好きでこんなところに住んでるわけじゃないんだ。」


 遠真がつぶやいた一言に、彼を案内していた女性が反応した。


「ああ、悪い悪い。だが、これも、俺が気になったことに追加されたな。サラナさんだったか。さっそくで悪いが、話を聞かせてくれないか。」


 遠真は、女性たちに指示を出しているサラナに声をかける。


「ああ、わかった。では、このエリアの幹部たちを集める。少し待っていてくれ。」


サラナは、女性達に指示をだし、また、幹部達を召集し、遠真をつれて、全員が座れるくらいの広場に案内してくれた。


「さて、皆に集まってもらったのは、この男の処遇を考えるためだ。彼は遠真。どうやら、ザランの一味の下っ端を殺したらしい。また、行く当てがないからここにおいてほしいとも言ってきた。相応の礼をしてくれるらしい。遠真よ、一応自己紹介してもらえるか?」


 サラナに振られて、遠真は姿勢を正し、


「では、改めて。俺は柊 遠真。この世界とは違う世界から、いきなり転移してきたんだ。おかげで、この世界のことはほとんど知らない。だから、この世界に来て、まともに話が出来た貴女達と、できれば仲良くしていきたいと思っている。それに、何か訳ありみたいだし、失礼かもしれないが物資も足りていないだろう。俺ならそれをある程度は改善させることができる。だから、ギブ&テイクの関係になれると思う。よろしく頼む。」


 と、締めた。そこで、幹部の一人が挙手し、遠真に質問する。


「失礼。私はこのエリアで食料の管理を任されているセウンと申します。今、あなたは私たちの状況をある程度改善できるといわれましたが、具体的にはどのようなことをしてもらえるのでしょうか?」


 セウンの言葉に、遠真は少し考えてから、


「確かに、いくら改善できると言葉ではいっても、受け入れるのは難しいよな。

 セウンさん、今、何か欲しいものはないでしょうか?」


 と、セウンに問いかける。セウンは、


「今、私が一番欲しいのは、このエリアの住人たちが満腹になるだけの食糧だ。もし、それをある程度提供できるなら、私はあなたがここにとどまることに何の反対もない。」


 という。その顔は、やれるものならやってみろ、という考えが露骨に浮かんでいた。


「...なるほど、了解した。サラナさん。このエリアで生活している住人は全員で何人いるんだ?」


 遠真は、サラナに質問を振る。


「現在、このエリアで生活しているのは、ここにいるものも含めて30人だ。」


「ほう。それなら何の問題もないな。ただ、セウンさん。俺がずっと供給し続けるというのは、ある意味ではこのエリアの滅亡の手伝いをすることにもなると思うが。」


「...それは一体どういうことだ?」


「いや、完全に食料を俺に依存してしまえば、俺がいなくなった後、食料を入手できなくなるということだ。もちろん、今までのやり方があるからしばらくは大丈夫だと思うが、俺がいる間に、このエリアでの生活力を向上させるほうが、将来的な意味でもいいと思うんだ。もちろん、そういった物資も提供できる。」


 と、遠真は一度言葉を切り、全員の顔を見渡す。どの顔にも、不安と疑惑の感情が浮かんでいた。


「といっても、言葉だけでは信頼も得られないだろう。今から、食料を出すから見ててくれ。」


 と、遠真はまず代償召喚リストを開き、大きなバスケットを4つ召喚する。いきなり目の前にバスケットが現れたのを、遠真以外のすべての幹部たちが驚いていたが、


「おい、こんなもの食べれないぞ。」


 幹部の一人が口をはさむが、そんなことは遠真もわかっている。


「当たり前だ。これは食料の入れ物として出したんだよ。こっちが本命だ。」


 遠真はそう言うと、再び召喚リストを開き、


「なぁ、あんたらの中で、パンと言ったらどんなものだ?」


 と周りに質問する。すると、サラナが代表して、


「そうだな、ほとんどが黒パンという、硬くて味のしないパンだ。あとは、たまに手に入る白パンなんかは、このエリアではすごく高価なものになっているな。」


 と教えてくれた。それを聞いた遠真は何か申し訳ないような顔をして、


「そうか、わかった。じゃ、とりあえずこのバスケットいっぱいに白パンを出すから。」


 といって、代償召喚リストから白パンを選択し、各バスケットにそれぞれ30個を召喚した。


「ははは、遠真は冗談がうまいな。白パンなんて高価なものをそんなに...って、なにこれ!!?」


 彼の言葉を聞いたサラナが、苦笑いをしながら言う途中、バスケットからあふれそうなくらいに現れた白パンを見て驚いていた。ほかの幹部たちも驚いているようだった。


「それぞれのバスケットに30個ずつ出したぞ。どうだ?これならセウンさんの要望を叶えられるんじゃないか?」


 と、いい、幹部たちは開いた口が塞がらないまま、首を縦に振るのだった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


「ははは、驚かしてすまなかったな。まぁ、一応俺のスキルってことで。」


 幹部たちが落ち着いたところで、遠真は話を再スタートする。


「一人4つずつ出したが足りるか?まだまだ余裕はあるから追加がいるなら出すぞ?」


 といったところで、サラナが恐る恐る尋ねる。


「なぁ、遠真。お前、何者なんだ?」


「は?何者って、なんだ?」


 遠真は彼女の質問の意図がわからなかった。


「いや、おかしいだろ!お前、このパンもバスケットもどこから出した!?収納系スキルを持っているなら、元からバスケットに入っているだろうし、それを別々に出す理由がない。しかも、どうして貴族たちが食べるような白パンをこんなに持ってる!?」


 と、大声でまくしたてる。


「ああ、そういうことね。仕方ない、先にこっちのカードを切らせてもらうか。

 俺のスキルで出したんだが、『代償召喚』で、俺のステータスから数値をコストに出した。バスケットが1つ300ポイント、白パンが30ポイントだから、全部で4800ポイントか。結構使ったな。」


 と、自分のスキルを説明する。


「...遠真、お前、今日会った私たちのために、自分のステータスを削ったというのか。しかも、4800ものステータス。そんな数値、どうやったら手に入るんだ?」


 どうやら、サラナは遠真が自分のステータスを削って、自分たちに食料を与えてくれたと思っている。それは半分正解だが、半分外れなのだ。


「まぁ、ある意味では削ったというのかな。だが、俺はもう一つのスキルで『ウォークメーター』というスキルを持っている。これは、10歩歩くごとに、WPを1ポイント獲得できる。そのWPはステータスに表示されるから、俺は歩くだけで代償召喚のコストを得ることができるってわけ。だから、そんなに重くとらえなくていいぞ?」


 遠真はさらにカードを切る。これにより、遠真はほぼ永久的に様々なものを召喚できるということを教えた。それを聞いたサラナと幹部たちは、あからさまにほっとして、


「何だ、そうだったのか。いや、でもすごく助かる。私としては、遠真をこのエリアにおいてもかまわないと思っているが、皆はどうだ?」


 サラナは、遠真がとどまることに賛成した。そして、先ほど質問をしていたセウンも、


「はい、現金かもしれませんが、私も遠真さんがいてくれることに賛成です。」


 と、賛成の意を示してくれた。それに合わせて、ほかの幹部の者たちも次々に賛成の意を示していった。


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