僕は所謂、社畜と呼ばれるタイプの人間だと思われる
僕は所謂、社畜と呼ばれるタイプの人間だと思われる。
職業はプログラマー。
朝の八時から夜の十一時の勤務時間に通勤時間も合わせると、ほぼ自分の時間はない。睡眠時間すら不足している。おまけにここのところ、休日出勤も続いている。
こうなって来ると、ニュースを確認している暇もなく、社会の情勢からどんどん遠ざかっていく。自分が一般社会から隔絶されてしまっているように感じる。
そんなある日、友達からスマフォにメールが入った。
『お前、確かプログラマーだったよな? だったら気を付けろ。知っていると思うが、国の動きが怪しいんだ。捕まるかもしれないぞ?』
捕まる?
何の事なのか分からなかった。イタズラじゃなければ、本当に重要な事なのかもしれない。
けど、僕の生活にそれを気にしている余裕なんてなかった。仕事をこなすだけで手いっぱいなんだ。
これがいけなかった。
いや、気にしていても同じだったかもしれないが。
僕は突然、捕まってしまった。
容疑はなんだかよく分からないけど、政府に批判的な書き込みをしたとかそういった内容で、身に覚えはまるでなかった。
恐らくはでっち上げだろう。
僕はろくな裁判も行われないまま、刑務所に入れられた。特殊技能囚人として。もちろん、僕の場合、特殊技能といったらプログラミング技術だ。
よく分からないが、国が主導するプロジェクトがあり、そこで人手が足りないらしい。だから手っ取り早く労働力を確保する為に、国は技術者を狙っていたのだという。
友達のあのメールはこの事を言っていたのだろう。
なんてこった!
酷い労働環境で必死にがんばっていたのに、それがまったく報われないどころか、刑務所にまで入れられるなんて!
これが僕ら社会の底辺階級の境遇なのか!
僕はそれからは刑務所でプログラミングをするようになった。
朝の九時から夜の十時の勤務時間。長時間労働だ。通勤は必要ないから、睡眠時間は確保できるのが救いと言えば救いか。また、休日は刑務官が休みたいからか、休みの場合の方が多かった………
……あれ?
会社より、刑務所の方がマシじゃね?