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犬耳の神官っ子

作者: 夜朝

 茶色の肩までの髪と同じくらい艶やかな毛並みをした茶色の犬耳が頭の両サイドから長く垂れている。垂れ耳、垂れ目の瞳も髪と同じ茶色。白いローブを床に引きずりそうなほど長めに着込んで、その子は右側と左側の壁に祭壇が設えられている部屋の中央をゆっくりと横切った。

 半人半獣。いや、人の部分のほうがだいぶ多い。見た目からは性別が分からない。中性的というよりは、まだ成長途中で、特徴が身体に現れていない。そんな感じだ。

 その子はローブの裾からのぞいている茶色い尻尾の先を左右に揺らして、祭壇の上に数個並んでいる珠を見比べた。ミルク色、バナナ色。カステラ色にチョコ色。静かな所作で、右側に二つ据えてあったチョコ色の珠を両方とも取り上げて、手にしていた袋の中に収めていく。次に左側の祭壇に歩み寄ると、そこからも珠を取り上げて、一つ一つ丁寧に袋にしまっていく。ミルク色、カステラ色、二つ目のミルク色……残りが二つになったところで、動きを止める。首を右、左、右、また左……たっぷりの時間、悩みに悩んだ後で、次に収められるはずだった最後のミルク色を持ち上げて、丁寧に磨いた後、右側の祭壇に移す。

 置いてからも、しばらくは迷いの中にいるようで、手を伸ばして、その珠に触れて、持ち上げて、袋へ近付けてーーやはり思い直して祭壇に置き直し。祭壇の前に屈み込んでうんうん唸った後、ぱっと立ち上がって左の祭壇へ戻っていった。そこに一つだけ残っているバナナ色の珠をまた丁寧に磨いてから、目の前の祭壇に置き戻す。袋の口を結んで、祭壇の間での用事が済んでからも、その子はしばらくの間そこに、左の祭壇の横に立って、右の祭壇をじっと見つめていた。どれほどそうしていただろうか。その子の手はそばにある祭壇をそっと撫でてから、左の壁にあるドアを開けて、大きくはない身をくぐらせた。

 後は、明日、祭壇に残した珠が光を宿したかどうか確認してから、珠についての説明の書面を書きつけて……後任に送らなければ。この一年、目まぐるしい変化の中でよく働いた。書くべきことはたくさんあって、時間は足りなくて。それでも次の休みには発送できるだろうか。

 あれこれ思いながら、尻尾を揺らす人影は静かにドアを閉めた。

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