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63話 『黒銀』と呼ばれる所以

これで、黒銀編は完結です!

次の章は少し時間かかりますが、気長に待っていただけると幸いです!

作者の急死、もしくは世界が滅ぶ以外は絶対にエタらないので、まぁ、とりあえずのんびり待っててくださいよ(語彙力)。

「────という訳だ」


 そんな、昨日の体験から大事な部分を切り取り、手短に話し終えた俺。

 その話を聞き、二人は言葉が出ないようだ。


「…………てっきり、本当にトナカイさんが全滅させたのかと思ってましたが」

「実際、最初はそのつもりだったさ。そこに書いてあることそのまんまやろうとしたんだが、思わぬ客が来てな」




「まぁ多少端折ったとはいえ、全部事実だ。現に俺はこうして金も貰ってるしな」

「…………あれ。そのお金は貰ったものなのに、指名手配されてるって、なんだかおかしくないですか?」


 そう言って、ましろはジト目で見てくる。


「……もしかして、強情な職員さんを脅して、無理矢理五十万手に入れたんじゃないですか?」

「いや、ルール上は間違ってないから、一応快く渡してくれた。ただ、一人に渡すには巨額過ぎたせいか微妙な顔はしてたがな」

「それなら尚更、指名手配される理由がないじゃないですか?」

「エリアボス含め、魔物の素材は全て持ってかれたから、割と元は取れているはずだ。それでも五十万取り返したいのなら、完全にあちら側の傲慢だろうな」


 たった一人に多額の賞金を全て持っていかれるのが嫌で、それを取り戻すためにこんなことをしてるのだとしたら、先にルールを破ったのはあちらだ。

 こちらが抵抗する権利も、存在するだろうな。

 もし他の可能性だとしても、追手相手に俺が躊躇する理由はない。


「…………もし職員側も関与しているのなら、の話だがな」

「…………え?」

「多分これは、兵士プレイヤーの独断によるそれだ。それも、俺によるエセ被害者たちによる、な」

「エセ被害者……ですか?」

「まず写真が、俺の写真じゃない。これはエリアボスの写真だ」


 そう、この


「つまり、これを仕組んだ本人は、エリアボスと俺の見分けがついていない……エリアボスの襲来そのものを知らない可能性が高い」

「…………あ、なるほど! 職員さんはトナカイさんの風貌を見ているはずですし、何より目の前で写真を撮るチャンスもあったはずだから……!」

「ああ。万が一にも、この写真を使う必要はないんだよな。勿論工作の可能性もあるから、一概には言えないだろうが……」


 俺は少し考えて、言う。


「どちらにせよ、追ってくる奴には本気で抵抗しても問題ないはずだ。幸いなのは先程も言った通り、俺の情報が誤解して広まっていることくらいか。俺は手から光線も出せないし、黒い軍服なんか着ちゃいない」

「…………でも、なんで黒い軍服なんてデマが広がったんですかね? 『模造天使アーティエル』でしたっけ、そのエリアボスは、全身銀色だったんですよね」

「……そこも少し疑問なんだよな。俺は左翼襲撃時は暗闇にいたから、影のせいで黒なんて断定できないはず──」

「やっと見つけたゾ」


 突如、頭をむんずと掴まれる。

 その独特な、ガスマスクによってくぐもって聞こえるその声を聴き、後ろの女が誰なのか察した。


「…………ホムラかよ」

「昨日振りだナ、トナカイ?」

「……まぁいい、俺を捕まえに来たのか?」


 俺は軽い疑問を流しつつ、ナイフを相手の首筋に当てつつ、呟く。


「言っておくが、こちらもそこそこ本気で抵抗させてもらうぞ?」

「まぁ待てヨ。確かにその話題を話しにきたガ、何もオマエを害そうとしている訳じゃなイ」

「そうなると、お前が主導している訳じゃないのか」

「もしオレだったら、もっと良い写真が撮れてただろうしナ」

「そりゃ、そうでしたね」

「わかったらそのナイフを下げろヨ。別に戦闘地域でも死ぬことはないだろうガ、周りの注意を惹くだけだロ?」

「お前のその格好の時点で、人の目を惹くには十分だと思うがな」

「それは違いないナ」


 ホムラが俺の頭を放すのと確認し、俺はナイフを静かに下ろす。


「あの、貴方がお話に出てきた『ホムラさん』ですか……?」


 明らかに異様な出で立ちのホムラに、おっかなびっくりといった様子で話しかけるましろ。

 話を振られた彼女は少し考えつつ、俺の方を指差す。


「『ホムラ』はオレだが……もしかして、コイツの知り合いか?」

「知り合いも何も、チームメンバーだ馬鹿野郎。そこにいるウォータムも含め、普段は三人で行動してる」

「あ、わたしはましろです、初めまして」

「お、俺はウォータムだ」

「……なんダ、存外まともな奴らじゃないカ。こんな奴の仲間だったら、てっきり自己紹介もまともにできないのかと思っタ」

「ほっとけ」


 初対面時自己紹介しなかったのは、こういう状況になった時、名前で足がつくのを避けるためだ。

 しようと思えばできるんだよ、しようと思えば!


「……へェ」


 恐らく目を細め、じっとウォータムを見つめるホムラ。


「な、なんだよ?」

「ほらホムラ、ウォータムが怯えてるから、ガンつけるのはその辺に」

「び、ビビッてねーよ!?」

「オレも別に何もするつもりはないゾ!? ただ、少し気になったことがあっただけダ」


 そんな予想に反し、何かを気にするような素振りを見せるホムラ。


「なんだ? 言ってみろよ」

「……ここでは少し、言い辛いことだからナ」

「…………はぁ、わかった。ましろとウォータムはそこで待っててくれ」

「はーい」

「おう」


 なんとなく見当はつきつつも、言われるがまま彼女に付いていく俺。

 声が聞こえないであろう距離まで遠ざかったところで、わざとらしく呟く。


「……それで? 誰が秋人だって?」

「…………って、やっぱり! やっぱり秋人くんなんだ! ほんとに? ほんとにほんと? 嘘じゃないよね?」

「うるさいな、本当に決まってるだろ。俺は無駄な嘘は吐かない」

「ほんとなんだぁ……運命感じちゃうなぁ……」

「俺も最初は驚いたな……まさかましろが秋人だなんて」

「いい加減ぶち殺すわよ?」

「やれるものならやってみろよ」


 暫しの間睨み合いを続けていたが、諦めたかのようにホムラが視線を外し、溜め息を吐く。


「……言っとくけど、これは借りを返しただけなんだから。エリアボスを倒し、街を救ってくれたことに対する、ね」

「この程度で借りを返されちゃ、損失しかないんだが……」

「あんたはたくさん報酬を貰ってるでしょ。むしろ火炎放射器のタンクを予備のそれごと全部破壊されて、それなのに何も貰えなかったわたしの立場にもなってみなさいよ」

「うぐぅ……」

「別にあんたをとっ捕まえて、役所に突き出してもいいのよ?」

「…………はぁ、俺を脅すなんて良い御身分になったもんだな」

「あんたが上から目線過ぎるのよ。さっさと降りて来なさい」

「……はいはい」




「で、俺はウォータムに黙ってればいいのか?」

「…………あ」


 聡明なホムラは、すぐにその意味に気づいたようだ。



「冗談だ。秋人にバラしても俺にはメリットはないし、何よりお前を敵に回す気もない」

「……なら、いいんだけど。……今はまだ、少し恥ずかしいから」

「……惚気は俺のいない所でやってくれよ。つい爆破したくなるから」

「…………ハイハイ」

「後、そろそろ口調を戻せ。見た目との乖離が凄くて脳が混乱する」

「……見た目での差異は、ガスマスクを着けただけ、なんだがナ」

「それが一番の問題なんだっつの、分かれ」


 誰もそれ以外の服装の話なんてしてないだろうが。

 ガスマスクを外すか、違和感も突き抜けて自信に満ちた喋りをするかどっちかにしてくれ。



「…………ア?」



 ふとホムラが、向かい合う俺をまじまじと見つめてくる。


「なんだよ?」

「オマエ、もしかして着替えたのカ? 確か戦闘時、黒い軍服を着ていたはずダ」

「いや、それはお前の錯覚だ。俺はずっと、この緑の軍服を着ていた」

「じゃあ、オレの見間違いカ……?」

「…………さぁな」


 俺はつい先ほど抱いた『仮説』を、心の中で反芻する。


 緑は青と黄色の光を反射し、それ以外を吸収するから、反射した光を網膜が捉えることで初めて、人間は緑と認識できる。

 …………じゃあそもそも、その場に青と黄色の光が少なければ、どうなるんだろうな。

 そう、例えば、火の海の真っ只中とか、な。

 ……まぁ銀色のコートが目立ちやすく、更にその影になったのも要因なんだろうが。


 どちらにせよ、言ったところで、といった感じはあるしな。

 話を切ってどや顔で説明したところで、俺が何を得る訳でもない。

 更に言えば、コイツに一々口で説明するのは面倒だ。


 俺は咳払いをし、話を戻す。


「……それで、なんで俺を探していたんだよ?」

「……そりゃァ、あの後の顛末を話そうと思ってナ」

「あの後って……俺が金を受け取って、街が非戦闘地域に戻った後か」

「そうダ。概ね予測はできてるんだろうガ、一応ナ。アイツらに聞かせなくても、良いのカ?」

「後で軽く説明しとくさ」

「そうカ」



 そう言って、ホムラは話し始めた。





 あの後、ホムラとその他の参加プレイヤーは全員泉周辺に強制転移させられ、暫く状況把握を行っていたのだと。

 そして全員揃っていることがわかり、じゃあなんで街が救われているのか考えている最中にホムラが、


「オレ以外にも、最後まで生き残っていたプレイヤーがいたんダ。恐らくソイツが、全額持って行ったんだろうナ」


 と漏らしやがって、そこでピンときた奴らが、


「つまり、もう1人参加プレイヤーがいた……そいつの風貌を、ホムラさんは見たのかい?」

「ああ、見タ。というか、あの会議中退野郎が、黒い軍服(・・・・)の上に銀色のコートを羽織って来やがったんダ。それも遅れて、ナ」


 その言葉を聞いた途端、勘付いた外野が騒ぎ始める。


「もしかしてアイツ、最初っから俺達を全員殺して、全額持っていくために…………!」

「そうだ、ホムラさんの言う通り、僕は光線で殺される直前、銀色の人型を見た! きっとアイツが!」

「俺も俺も! 銀色と黒みがかった人影に、何かされて死んだ!」

「おれもだ!」

「わたしも!」

「やっぱりそうなのか! みんなアイツを目撃していたのか」

「……おイ、ちょっと待テ、オマエラ何か勘違い──」

「つまり、あのプレイヤーが俺達を全滅させ、全員生き残ったはずの俺達の利益を全て持って行ったと、そういう訳か」

「なら早速、役所にそのことを報告しようぜ! もしかしたら協力してくれるかもしれねぇ!」

「ああ、あの態度の悪いガキを、賞金を全て奪ったあの悪魔を、今こそ粛清するときだ!」

『うぉおおおおおおおおおおおお!!!』

「絶対アイツを捕まえ、金……じゃない、罪を償わせるんだ!!」

『うぉおおおおおおおおおおおお!!!!!』

「もうダメだァ……こんなの宗教同然だロ……」


 そうして彼らは集団で市役所に駆け込み、被害者多数ということで仕方なく役所が彼らの言う通り『手配書』を作成し、各々の勝手なイメージのせいでエリアボスの情報が混入し、デマばかりのそれが完成したと、そういう訳らしい。




「…………おい、結局お前が無駄に話をややこしくしてるだけじゃないか」

「それは本当にすまなかっタ。……だが、オマエ自身も悪いんだゾ? 作戦会議の場であんな無礼な態度を取るかラ、皆の疑念が加速し、オレも止められなくなったんダ」

「あー、それを言われると何も言い返せないわ、すまん。というか、計画通りに行動できていればどの道こうなってただろうしな」

「……計画? 何のことダ?」

「……いや、なんでもない。今のは忘れてくれ」


 そういやこいつ、全員エリアボスが殺したと思っているんだったか。

 危ない危ない。

 左翼を俺が全滅させたことと、あまつさえ全員殺す気だったことを知ったら、コイツは一体どんな顔をするんだろうか。

 ……少し面白そうではあるが、止めとくべきだろうな。


「ともかく、それは仕方ないの一言で終いだ。他に言いたいことはあるのか?」

「……とりあえず、オレ以外の参加プレイヤーはオマエを目の敵にしてるだろうから、気をつけろってことを言いたかっただけだナ」

「了解。お前が敵に回らないってだけでもありがたい情報だったわ」

「…………そうカ」

「敵の数は、少ない方がいいに決まってるからな」

「オマエぶっ殺すゾ?」

「なんでだよ!?」


 脈絡のないホムラの言葉に釈然としない思いを覚えつつも、俺は自身の黒髪を触る。

 ……キャラメイクをなぜかスルーしたために生まれた、現実そっくりのアバター、『トナカイ』。

 顔立ちはありふれたものだろうし、現実で特定される可能性はないに等しいが、ゲームでは別だ。

 この黒髪はゲーム内では珍しいらしく、このままでは特定も時間の問題だろう。


「……俺もガスマスクを買えば、なんとかなったりしないかね」

「オレのはあくまで顔面を覆うタイプの奴ダ、オマエが買うなら、その黒髪を隠せるフルフェイスのが賢明だろうナ」

「冗談だっての。俺はお前みたいにセンスが絶望的な訳じゃないからな」

「それはお互い様ダ」


 まるでガスマスク野郎と同等に見えるように聞こえるが、まさかそんな訳ないよな?

 ……そうでないと、思いたい。


「と、オレはこんな無駄話ができるほど、暇ではないんだっタ」

「じゃあさっさとどっか行け、俺も暇じゃないんだ」

「言ってロ」


 そんな俺を尻目に、ホムラは後ろに振り返りながら、手をひらひらと振る。


「またナ」

「……ああ、そうだちょっと待て」

「……なんダ? どこか行って欲しいんじゃなかったのカ?」

「ほらよ、情報代だ」


 俺は所持金の一部を投げ渡してトレード。

 その額を確認したホムラは、目を見開く。


「十万って、オマエ……」

「何も言うな。これはただの情報代だ」

「…………そうカ、なら何も言わず受け取っとくゾ」

「その代わりと言っては何だがな」


 俺は無表情で、ホムラの顔、黒いガスマスクを見つめる。


「これで、全部チャラな」

「…………」

「言っておくが、拒否権はない。返品不可だ」

「…………何が、したイ?」


 ホムラの言葉を無視し、俺は話を続ける。



「今俺とお前の間には、何のわだかまりもない状態だ」


「だが、俺にはお前を倒す理由がある」


「その理由は、お前には高尚過ぎてわからんだろうな」


「それで、いい」


「別にそんなこと、考える必要もない。お前はただ、お前のしたいようにすればいい」

「…………」

「それがどうであれ、な」


 銀色に光る帽子を被り直しながら、俺は言い放つ。



「ともかく次会った時は、手加減なんてしないからな。全力でぶっ潰してやるよ」

「…………ハッ、成る程ナ」



 くつくつと、どこかおかしそうに笑う彼女は、少し明るい声色で言う。



「オレは、オマエが嫌いだヨ。大っ嫌いダ」

「奇遇だな。俺も、だ」

「…………だかラ」


 ガスマスクの下に笑みを湛え、彼女ははっきりと言い放った。



「絶対に勝ってやるかラ、覚悟しておけヨ、小虫」



 歩き去る戦士を見ながら、俺もまた、うっすらと表情を緩める。



「上等だ。いつでもかかって来いよ、デカ女」




 ────




 数日後、職員室前の廊下に貼りだされた、中間考査の順位。

 その前に立つわたしは、なぜだか微笑を浮かべていた。


『1位 半井悠莉 800点』

『2位 夕木茜  787点』



「……いつか絶対、勝ってやるんだから」








※長文警報、長文警報。

どうせ今の所次の話はないので、めんどいの読みたくなきゃスルーでええよー。

それでも読みたいような奇特な方は、どうぞお読みください。






突然だが、この空白期間を利用して、とある企画をやってやるぞぃ!!

ウォオオオオオオ!!!!


そんなイカレタ企画の名前を発表するぜ!!

題して!!





【『一言でも良いから、感想欲しいなぁ。作者のモチベアップにもなるし、お願いだぉ』




って書いたら、どれぐらいの方が感想を書いてくれるのか作戦!!!】



……言っておきますが、三連ビックリマークまでが企画名ですからね。

後、作戦じゃなくて企画ですからね。

ただの感想乞食じゃないですよ?

ほんとですよ?




……良いじゃないですかぁ、欲しいんですよぉ、ここに載せてる理由がぁ。

ポイントは別にどうでもいい(割と気になる)けど、読者さんがどう思ってるか聞きたいんですよぉ。

後、一回こういうのしてみたかったんですよぉ。

これで追加感想がゼロだと虚しいですが、そこまで気にしませんからぁ。

なんだかんだ二十五万文字超えてますし、ちょっとくらいは良いでしょぉ?


と、いう訳で。

皆さんご意見よろしくお願いします(`・ω・´)ゞ




(……最悪追加感想がゼロでも、初期のころ貰った感想一つあるから誤魔化せるぜぐふふ)

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