42話 街ポンプ
少し、短めですm(__)m
「……やっぱりか……」
役所で表示された、自分のサブスキル(取得スキル)一覧を見て、俺は頷いた。
それは、俺のスキル一覧に、とあるスキルが追加されていたからである。
『料理』Lv1。
……これは、面白いことになりそうだ。
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疑問に思う人も、いたのではないだろうか。
魔物の素材。
それは本来加工できないはずなのに、どうして高い値段で売れるのか。
1つは、街自体の政策。
魔物をできる限り減らすために、使えない素材を街が金を出して高めに買うのだ。
そうすると、外に出て戦う人も増え、その分魔物も減る。
そしてその儲けた分の金を、兵士は武器を買うことに費やす。
その武器は街主導で造り、販売をして、その分の補填を行っているのだ。
所謂マッチポンプである。
といっても、随分良心的であるのは確かなのだが。
それだけ、魔物を根絶したいのだろうな。
1つは、金持ちの道楽。
この街も街である以上、貧富の差というのは存在する。
そしてその富……大抵は元兵士やらなんやらなのだが(NPCにも一応兵士はいる)、彼らは魔物の素材を買い取って飾り、権力の象徴としているのだ。
特にボスのような珍しい素材は、一部のマニアに売れる売れる。
最後の1つは、肉や魚肉、一部の植物は料理に使われること。
この街では、小規模で食料の生産が行われている。
しかしそれだけでは到底賄えないので、一般的には魔物の素材が使われる。
肉などの、軍事転用が実用性において難しい部分は、例外的に加工可能なのだ。
味は勿論生産されたものの方が美味しいに決まっているが、絶対数が足りないため、実質金持ち専用である。
故に魔物の可食部は、庶民の食事として需要があるのだ。
それらの理由から、魔物の素材は一定の値で売却が可能なのだ。
俺は前半の2つで十分だと思っていたのだが、どうやら違ったらしい。
まあつまり、何が言いたいかというと。
NPCが料理できるんなら、俺達もできるんじゃね? ってことだ。
そしてその予想は、見事に当たったのだった。
……いや、NPCと一緒にさっきまで料理してたんだがな。
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予想通りの結果に満足しつつ仕切りから外に出ると、2人は既にいた。
そこには、少し意外な光景が広がっていた。
「お、トナカイ戻ったか」
「……あ、おかえりなさい」
ましろは俯き、声にも心なしかハリがなかった。
ウォータムもどこか悲しげだ。
流石にここで気づかないほど鈍感ではないつもりなので、俺は聞いてみる。
「ましろ、どうした?」
彼女は少しの間、沈黙を保った。
その間はまるで、ましろの思いの大きさを表しているように見えた。
「……私、料理スキルがなかったんです。お兄ちゃんはあったのに」
「………………あ」
心当たりは……ある。
『馬のしっぽ亭』騒動において、ましろには一度も厨房に立たせてはいない。
……恐らくそこで料理をすることが、取得のトリガーとなっているのだろう。
それをせず、ひたすら接客に勤しんでいたましろは、スキルを取得できなかった。
そういうことなのだろう。
「……ましろ、料理をしたいのか?」
俺は一応、そう聞いてみる。
気持ちはなんとなくわかっていたが、言葉として聞きたかった。
料理なんてどうせ、ウォータムにテキトーに任せておけば良いものを。
というか、ましろに料理をさせる時が、なんとなく思い浮かばない。
いや、そりゃ飲食店バイトで慣れてきたら、任せることもあるだろう。
だがその時のために、そこまで熱心に料理スキルレベルを上げる必要性はあるのだろうか。
どうせ俺達のゲーム内の食事も、『馬のしっぽ亭』に一任することになりそうだし。
そんなことを思いつつも、俺はましろの意向はできる限り汲もう、と考えていた。
ウォータムは、結構どうでもいい。
「……はい、できればしたいです」
「……そうか」
そもそも、スキルがなくとも料理自体は可能だろう。
投擲スキルの傾向から考えても、きっと料理時にDexとかAgiとかが上昇する、みたいな効果だろうし。
それならある程度Dexに振っているましろなら、なくても良さそうなものだが。
そうは思ったものの、ましろの決意に満ちた表情を見ていると、なぜか揺れる俺の心。
俺は少し考え、言った。
「じゃあ、明日一緒に練習しようか」
深くは考えずに放ったその一言に、ましろは目を輝かせた。
「……え、トナカイさんも一緒にやってくださるんですか!?」
ましろがなぜか、期待した瞳で見てくる。
思わず目をそらした。
それはちょっとなぁ……俺のメインスキルは全て必須級スキルだからな……。
遠投、投擲は勿論のこと、所持制限解除も外すときっと、手榴弾を床に死ぬほどぶちまけることになりかねないし……。
銀狼戦前ならともかく、現在は結構な量がアイテム欄に入れこまれているから。
一度変更すると24時間変更できないのは、こういう時不便だ。
……というか、自分が変更するようなことがすぐに起こるとは、微塵も思っていなかったが。
狩りもしたいし、できれば遠慮しときたいんだが……。
「あー……俺は見学したいな、なんて……」
ましろの寂しそうな視線と、ウォータムの殺意の視線が俺にぶっ刺さる。
……はぁ、わかった、今回だけだからな。
「あーもう。明日は平日だし、狩りは休むけどそれでいいか?」
「はい! 明日はよろしくお願いします!」
「さっすがトナカイ! ちょろいぜ!」
「……おっけ、とりあえずウォータムは後で殴る」
「理不尽!?」
「理不尽じゃないだろ、この野郎」
とりあえず変更だけ済ませて、ショップで可食部っぽいアイテム以外を売るか。
そして、フィリト達に借金の返済をしないと。




