39話 効率
4/27:はいなんかバグってるー。
文が途中で途切れてるー。
……誰も何も言ってくれないなんて、ぼく、悲しい☆
……まぁ、たとえ誰も読んでくれなくとも書き続けるから安心してね☆
「……そんなことのために、俺を脅したのかよ」
「普通の人は善意で受けてくれるんだけどね……あんたみたいな人が偶にいるから」
「そうか、それはすまんな、捻くれてて」
……まるで今まで何人も採用してきたような口ぶりだな……。
兵卒のアルバイトなんて、そう何度も活用できるものじゃないのに。
人材不足とはいえ、そこまでするかね。
「だが、俺は兵士だ、恒久的には無理だぞ? 勿論俺の仲間も同様にな」
「それはわかってる。だから」
彼女は俺に、折りたたまれた服を手渡した。
……どうやら、ここの制服のようだ。
彼女のとは少しデザインが違うが、それは俺が男だからだろう。
「時雇いでいいわ。これあげるから暇になったら働きに来てくれない? 万年人手不足だからさ」
時雇い。
……それは、日雇いの時間バージョンだろうか。
1時間毎に続けるか止めるか選択可能で、その分に応じた給料がすぐに支払われる。
プレイヤーとしては有り難いが、いくらなんでも破格すぎやしないだろうか。
……まぁ、ゲームだからな。
これくらいじゃないとできる人が限られてしまうだろうし。
「……随分と緩い条件だな……給料は?」
「なし……と言いたいところだけど、それじゃもう来ないでしょ? 最低限は渡すわ。」
「最低限……具体的には?」
告げられた額は、今までのペースはおろか、普通に魔物を狩った時のペースに比べても見劣りする額だった。
「……それが最大限だとわかってはいるんだが……やっぱり探索に比べると見劣りするな」
「そりゃそうでしょ、これは安全な仕事なんだから」
「……それもそうだな」
NPCは普通に死ぬから、そういった仕事につきにくい。
そういう意味では、魔物を駆逐する兵士の時給が高いのは、ある意味必然か。
更に言えば、アルバイトだしな、これは。
「少なくとも今から1時間は働いてもらうから、よろしくね」
「了解、その1時間が終わってから、今後の方針を決めるわ」
「りょーかい、私は外出とくから、着替え終わったら出て来てね」
そう言って彼女は、そそくさと部屋を出て行ってしまった。
────
個室のドアを開けると、そこは廊下だった。
すぐ近くから人々の声が聞こえる。
案の定、茶髪少女もそちらに歩を進める。
俺も付いて行き、扉の先に足を踏み入れた。
そこは、よくある洋風レストランといった風貌だった。
白塗りの清潔感のある壁、木製の、靴を擦ればキュッキュと鳴るであろうつやつやの床。
そんな壁は、一部がレンガ造りとなっており、雰囲気は十分だ。
そこそこ数のある席は、空席がぽつぽつと見える。
だからか、どこかゆったりとした空気が流れている。
「あ、トナカイさーん! 遅いですよ~」
「やっと来たか……この遅刻魔」
制服を着込んだ2人が、大体同じ内容で声をかけてきた。
確かに最初も遅刻したが、流石にそこまで言わなくてもなぁ。
まぁ、良いか。
彼らはもう既に仕事を始めているらしい。
接客か。
「はーい、2人とも集合、少しこっちに来て~」
「はーい!」
「すぐ行くっす」
茶髪少女……いや、茶髪店員が手をぱんぱんと叩いて招集をかける。
2人がこちらへと駆け足で来た。
……客が少し残念そうな顔をしているのは、多分気のせいだろう。
てかウォータム、その口調は狙ってやってるのか?
正直笑い転げそうだ。
新人が3人、集まってきたことを確認し、彼女は話し始めた。
「2人には少し説明したけど、改めて仕事内容を話していくわよ」
そういって彼女は、直後に信じられないことを口走りやがった。
「まずそこの男2人には、接客を頼みたいと思っているわ」
「……え、全員じゃなくて?」
「……正直、接客だけいきなり3人も増えても、ただの給料泥棒にしかならないのよね。厨房の負担は全く軽減されないし、非効率だわ」
「「「……」」」
いきなり辛辣だが……それはそうだ。
料理がまだできていないのに、接客だけ充実させたところでな。
処理速度がそこまで変わらない分、給料の無駄だ。
じゃあなんで俺達を助けたのか小1時間問い詰めたいところだが……まぁいい。
「それで、私は何の仕事をすればいいのでしょうか?」
「厨房で、簡単な調理を任せようと思っているわ」
「……え、私あまり料理したことはないのですが……」
「安心して、誰でもできるような内容だから」
ふぅん?
つまり、ましろには誰にでもできるような厨房の手伝いをさせ、俺達には接客をやらせる、と。
……ほう?
「接客の内容は、注文の伝達と料理の運搬。何かあったら私や他の従業員に言って。それと厨房では、基本的に言われたことをやればいいから」
「「はい!」」
そうぶっきらぼうに言い終わると、彼女は、
「さぁ、何か質問があれば言ってね」
俺は手を挙げ、自分は質問があるとアピールする。
「……3つほど、質問良いですかね?」
「……何かしら?」
「じゃあ早速。ここの客層は?」
「……20~30代の男性が多めね」
「へえ、じゃああんたの仕事は?」
「……厨房の手伝いと、偶に接客ね」
「最後に。いつもあのくらいの客の入りなのか?」
「………………そうよ、悪い?」
……やっぱりか。
見えたぞ。
この店の弱点と、その改善方法がな。
「ましろ、ウォータム。少し頼みがあるんだが……」
「なんだ?」
「はい、なんでしょうか、トナカイさん?」
俺は2人に、少し無茶な頼みごとをした。
……ある程度の期間で良いとはいえ、時間を縛るのは気が引けるが、果たして受けてくれるだろうか。
「……はい、私は全然良いですよ!」
「俺も大丈夫だが……珍しいなお前、慈善事業に目覚めたのか?」
「いや、そんなんじゃないが……強いて言うなれば、気分かな」
……少し、癪に障ったからな。
お返しをしたいとは、ずっと思っていたんだよ。
これなら穏便に、こちらの思惑を満たせる。
思わず、口の端がにやついてしまうな。
「よしじゃあ2人とも、言われた通りに働いてきてくれ」
「「はーい!」」
……さて、邪魔者はもういなくなったな。
これからは、俺のターンだ。
「……先輩店員さん? 1つ、提案をしてもよろしいでしょうか?」
「……何かしら?」
俺は目の前の端正な顔を指さし、渾身の言葉のアッパーを叩き込んだ。
「それこそ非効率なんだよ、この効率主義者が」
────
「八つ当たりなら、他を当たってくれない?」
予想通り、猛反発を食らった。
恐らく、先程のお返しとでも思ってるのかもしれないが、それは違う。
……その気持ちもなくもないが、いやむしろボコボコにディスりたい気分だが、それは違う。
「……これはあくまで、改善案だ。聞きたくなけりゃ、聞かなければいいさ」
「……いい度胸ね、言ってみなさいよ。どうせ私より効率的な案なんて、出せないとは思うけどね」
彼女は殊勝な態度をとり続けている。
……よろしい、俺がその常識、正論で真っ向から叩き潰してやるよ。
「……それは、否定しない。俺にはあんたほど、効率的な案は出せないからな」
「!?」
俺の発言に、またも場が騒然となる。
「だ、だって、あんた、さっき私は非効率だって……!?」
「ああ、じゃあ、わかりやすく言ってやるよ」
「あんたの配役は、確かに効率的だ。だがな──」
「──効率的に、過ぎるんだよ」




