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41/65

39話 効率

4/27:はいなんかバグってるー。

文が途中で途切れてるー。

……誰も何も言ってくれないなんて、ぼく、悲しい☆

……まぁ、たとえ誰も読んでくれなくとも書き続けるから安心してね☆

「……そんなことのために、俺を脅したのかよ」

「普通の人は善意で受けてくれるんだけどね……あんたみたいな人が偶にいるから」

「そうか、それはすまんな、捻くれてて」


 ……まるで今まで何人も採用してきたような口ぶりだな……。

 兵卒のアルバイトなんて、そう何度も活用できるものじゃないのに。

 人材不足とはいえ、そこまでするかね。


「だが、俺は兵士プレイヤーだ、恒久的には無理だぞ? 勿論俺の仲間も同様にな」

「それはわかってる。だから」


 彼女は俺に、折りたたまれた服を手渡した。

 ……どうやら、ここの制服のようだ。

 彼女のとは少しデザインが違うが、それは俺が男だからだろう。


「時雇いでいいわ。これあげるから暇になったら働きに来てくれない? 万年人手不足だからさ」


 時雇い。

 ……それは、日雇いの時間バージョンだろうか。

 1時間毎に続けるか止めるか選択可能で、その分に応じた給料がすぐに支払われる。


 プレイヤーとしては有り難いが、いくらなんでも破格すぎやしないだろうか。

 ……まぁ、ゲームだからな。

 これくらいじゃないとできる人が限られてしまうだろうし。


「……随分と緩い条件だな……給料は?」

「なし……と言いたいところだけど、それじゃもう来ないでしょ? 最低限は渡すわ。」

「最低限……具体的には?」


 告げられた額は、今までのペースはおろか、普通に魔物を狩った時のペースに比べても見劣りする額だった。


「……それが最大限だとわかってはいるんだが……やっぱり探索に比べると見劣りするな」

「そりゃそうでしょ、これは安全な仕事なんだから」

「……それもそうだな」


 NPCは普通に死ぬから、そういった仕事につきにくい。

 そういう意味では、魔物を駆逐する兵士の時給が高いのは、ある意味必然か。

 更に言えば、アルバイトだしな、これは。


「少なくとも今から1時間は働いてもらうから、よろしくね」

「了解、その1時間が終わってから、今後の方針を決めるわ」

「りょーかい、私は外出とくから、着替え終わったら出て来てね」


 そう言って彼女は、そそくさと部屋を出て行ってしまった。



 ────



 個室のドアを開けると、そこは廊下だった。

 すぐ近くから人々の声が聞こえる。

 案の定、茶髪少女もそちらに歩を進める。

 俺も付いて行き、扉の先に足を踏み入れた。


 そこは、よくある洋風レストランといった風貌だった。

 白塗りの清潔感のある壁、木製の、靴を擦ればキュッキュと鳴るであろうつやつやの床。

 そんな壁は、一部がレンガ造りとなっており、雰囲気は十分だ。

 そこそこ数のある席は、空席がぽつぽつと見える。

 だからか、どこかゆったりとした空気が流れている。


「あ、トナカイさーん! 遅いですよ~」

「やっと来たか……この遅刻魔」


 制服を着込んだ2人が、大体同じ内容で声をかけてきた。

 確かに最初も遅刻したが、流石にそこまで言わなくてもなぁ。

 まぁ、良いか。

 彼らはもう既に仕事を始めているらしい。

 接客か。


「はーい、2人とも集合、少しこっちに来て~」

「はーい!」

「すぐ行くっす」


 茶髪少女……いや、茶髪店員が手をぱんぱんと叩いて招集をかける。

 2人がこちらへと駆け足で来た。

 ……客が少し残念そうな顔をしているのは、多分気のせいだろう。


 てかウォータム、その口調は狙ってやってるのか?

 正直笑い転げそうだ。


 新人が3人、集まってきたことを確認し、彼女は話し始めた。


「2人には少し説明したけど、改めて仕事内容を話していくわよ」


 そういって彼女は、直後に信じられないことを口走りやがった。


「まずそこの男2人には、接客を頼みたいと思っているわ」

「……え、全員じゃなくて?」

「……正直、接客だけいきなり3人も増えても、ただの給料泥棒にしかならないのよね。厨房の負担は全く軽減されないし、非効率だわ」

「「「……」」」


 いきなり辛辣だが……それはそうだ。

 料理がまだできていないのに、接客だけ充実させたところでな。

 処理速度がそこまで変わらない分、給料の無駄だ。

 じゃあなんで俺達を助けたのか小1時間問い詰めたいところだが……まぁいい。


「それで、私は何の仕事をすればいいのでしょうか?」

「厨房で、簡単な調理を任せようと思っているわ」

「……え、私あまり料理したことはないのですが……」

「安心して、誰でもできるような内容だから」


 ふぅん?

 つまり、ましろには誰にでもできるような厨房の手伝いをさせ、俺達には接客をやらせる、と。

 ……ほう?


「接客の内容は、注文の伝達と料理の運搬。何かあったら私や他の従業員に言って。それと厨房では、基本的に言われたことをやればいいから」

「「はい!」」


 そうぶっきらぼうに言い終わると、彼女は、


「さぁ、何か質問があれば言ってね」


 俺は手を挙げ、自分は質問があるとアピールする。


「……3つほど、質問良いですかね?」

「……何かしら?」

「じゃあ早速。ここの客層は?」

「……20~30代の男性が多めね」

「へえ、じゃああんたの仕事は?」

「……厨房の手伝いと、偶に接客ね」

「最後に。いつもあのくらいの客の入りなのか?」

「………………そうよ、悪い?」


 ……やっぱりか。

 見えたぞ。


 この店の弱点と、その改善方法がな。


「ましろ、ウォータム。少し頼みがあるんだが……」

「なんだ?」

「はい、なんでしょうか、トナカイさん?」


 俺は2人に、少し無茶な頼みごとをした。

 ……ある程度の期間で良いとはいえ、時間を縛るのは気が引けるが、果たして受けてくれるだろうか。


「……はい、私は全然良いですよ!」

「俺も大丈夫だが……珍しいなお前、慈善事業に目覚めたのか?」

「いや、そんなんじゃないが……強いて言うなれば、気分かな」


 ……少し、癪に障ったからな。

 お返しをしたいとは、ずっと思っていたんだよ。

 これなら穏便に、こちらの思惑を満たせる。


 思わず、口の端がにやついてしまうな。


「よしじゃあ2人とも、言われた通りに働いてきてくれ」

「「はーい!」」


 ……さて、邪魔者はもういなくなったな。

 これからは、俺のターンだ。


「……先輩店員さん? 1つ、提案をしてもよろしいでしょうか?」

「……何かしら?」


 俺は目の前の端正な顔を指さし、渾身の言葉のアッパーを叩き込んだ。



「それこそ非効率なんだよ、この効率主義者が」



 ────



「八つ当たりなら、他を当たってくれない?」


 予想通り、猛反発を食らった。

 恐らく、先程のお返しとでも思ってるのかもしれないが、それは違う。

 ……その気持ちもなくもないが、いやむしろボコボコにディスりたい気分だが、それは違う。


「……これはあくまで、改善案だ。聞きたくなけりゃ、聞かなければいいさ」

「……いい度胸ね、言ってみなさいよ。どうせ私より効率的な案なんて、出せないとは思うけどね」


 彼女は殊勝な態度をとり続けている。

 ……よろしい、俺がその常識、正論で真っ向から叩き潰してやるよ。


「……それは、否定しない。俺にはあんたほど、効率的な案は出せないからな」

「!?」


 俺の発言に、またも場が騒然となる。


「だ、だって、あんた、さっき私は非効率だって……!?」

「ああ、じゃあ、わかりやすく言ってやるよ」


「あんたの配役は、確かに効率的だ。だがな──」





「──効率的に、過ぎるんだよ」

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