37話 異変
4/23:銃についての説明を強化。
見た目についてもこれからは触れていきますぅ! byましろ
俺達は学業の合間を縫いつつ、時間を見つけては『CWO』にログインしていた。
あの後、平日の狩りは今までが嘘だったかのように、平和な狩りが続いた。
PKに襲撃されることもなく、またエリアボスに会うこともなく。
そんなこんなで一週間の時が経ち、今日は日曜日。
俺達は3度目の休日、つまりは自由な1日を謳歌していた。
ウォータムもましろも暇人らしく、今日はずっと暇であるという。
午前中も何の危険もない、安全な狩りをして、昼ご飯休憩を挟んだ。
そうしてまた集合した俺達は、何とはなしに『兵糧通り』、つまりは味覚を楽しみつつ、また一時的なエンチャントも付くかもしれないという、良いことずくめの場所に向かっていた。
……もしかしたら俺は、少し油断していたのかもしれない。
自分達ならば、今まで一回も死んでいない俺達ならば、どんな危機でもなんやかんやで回避できると。
そう考えて、街での注意を怠っていたのかもしれない。
……忘れては、いけない。
このゲームは謎のゲームであり、親切心の欠片もない、ということを。
説明書に書かれていることが全てじゃない、ということを。
その、限定的な情報を妄信していると、いつか痛い目を見ると。
そのことを、一週間の安息の中で、俺達は忘れていた。
そのせいで俺達は、街中で死にかけるという、稀有な体験をすることになってしまうのだった。
────
俺達は街の中を散策していると、ふと店のたくさん並ぶ大通りに来ていた。
それも、ただの店じゃない。
まるでここだけが過去の世界──つまり現代──をカット&ペーストしたかのように、普通の洋食店や和食店、果てには弁当屋までがある。
有り体に言えば……少し、異様だ。
「……お、ここって兵糧通りじゃないか?」
「そうっぽいな……そういえば、この辺って来たの初めてだっけか」
「ですね。あ、良い匂いがしてきますよ! なんだかお腹が減ってきますね」
「そうだな……俺も腹減ってきちまったぜ」
ましろが右側の店を指さしながら言う。
そこはどうやら、洋食を主に扱っている飲食店のようだ。
って、おかしいだろ。
「……って、お前ら昼食食って来たばかりだろうが」
「……そういや、そうだったな」
「……そう、ですね」
ウォータムが少し、腑に落ちないような顔で腹を押さえつつ、空返事をする。
その様子は、どこかおかしい。
「まぁ、偶にはここで食べていくのもいいかもしれないな」
「……ああ」
「…………」
「…………ましろ、どうした?」
──それは、俺が気付いた時にはもう、遅かった──
俺は何気なくましろの方を向いて、ぎょっとした。
そこにいたましろは、明らかに正常な様子ではなかった。
真っ青な顔で、まるで俺達のことなど見えていないかのように、独り言を漏らしていたのだ。
「……あ、れ……? でも今、ものすごく──」
それを言い終わる前に、ましろがぶっ倒れた。
それに続くように、ウォータムも前のめりに、そして無防備に倒れこんだ。
────
何だ?
何が起こっている?
なぜ2人は……え?
俺は唐突に倒れた2人を前に、全く状況を把握できていなかった。
未だ立ち上がる気配のない彼らを見て、最初は悪質な冗談かとも思ったのだが、どうやら違うようだ。
ウォータムが、何よりましろが、こんな意味のないことをするはずがない。
じゃあ彼らは本当に、動けないような状況、危機的状況に置かれていることに他ならない。
……じゃあ、何が?
なんで、彼らは倒れている?
さっきまでは昨日と同じように振舞っていたと思う。
それが、兵糧通りを通りかかった途端、2人は突然様子がおかしくなった。
……じゃあ原因は、兵糧通り?
美味しそうな匂いに紛れ、毒でも散布されていた?
……いや、それはないな。
それなら周囲の人間や俺が、多少巻き込まれているはずだからだ。
だったらなんで?
……これはもしかしたら、兵糧通りが直接の原因ではないのかもしれない。
むしろ倒れた、ウォータムやましろに原因があると考えた方が納得がいく。
……だが、彼らが倒れて俺が倒れない理由が見つからない。
殆ど俺達は、一緒に行動していたはずだ。
2人が逸脱した行動をとったということも、ないはず。
そして俺だけが別行動をした、ということも。
……待てよ、一度だけあった。
銀狼戦、確かに俺は2人とは別行動をしていた。
その際に何かあったというのならば納得はいくが……少し腑に落ちない。
そこが一番怪しいということは分かっているのだが、何か納得がいかない。
彼らは何も言ってこなかった。
何か違和感があればきっと、言ってくるはずなのに。
更に、一度ログアウトを挟んでいるという点からも、それは否定するべきだ。
街中でログアウトすれば、HPはリセットされるはずだから、他の値もある程度はリセットされていて然るべきだ。
……じゃぁ、一体何なんだ?
……もしかしたら、時間によるものかもしれない。
時間が経つごとに何かが蓄積していき、それが今、表面化した?
それも、ログアウトしてもリセットされないような、何かが?
偶然、兵糧通りの前で?
……待てよ。
何故このゲームには、兵糧通りがある?
食べると偶に、ステータスに強化効果がつくらしいから、俺はてっきりそれが理由だと思っていたが。
もしかして兵糧には、別の意味がある?
……本来兵糧は、なんのために?
──もしかして、これは──
俺の頭がぐらりと揺れ、思わず膝を着いた。
その瞬間俺は、自身の予想が真実であると確信した。
……まずい。
こんな簡単なことにも気づかなかった自分に叱責を加えたいのはやまやまだが、それどころじゃない。
このままじゃ、俺も──
それを最後に、俺の意識はすっぱりと途切れた。
すみません。
実は……
1~2日に一回投稿になりそうですてへぺろ(今更すぎ笑)




