21話 また、失敗した
4/13:また、失敗したよ作者さんよぉ。
……なんで投稿する瞬間に気づいたのに、そのまま投稿するんだばかめ。
4/20:スキルについて修正。
『応急処置』持ち狙撃手って、立場被りすぎだと今更気づいた(笑)
また、失敗した。
……折角、あの人たちに助けて貰ったのに……。
これじゃ、何の意味も無いじゃないか。
……何をやってんだろう、俺達は。
大学で友達だった俺達4人全員に謎のゲームが届いたときは、奇跡かと思った。
勿論最初は疑ったりもしていたのだが……心の中では、信じていたと思う。
そしていざゲームがはじまり、俺達はトッププレイヤー……は流石に無理でも、一般的なプレイヤーより上にいける、そう思っていた。
この道はきっと、希望に満ち溢れているのだろうと、勝手に思い込んでいた。
……だが、それは違った。
この世界は、文字通り血も涙もない、残酷な世界だったのだ。
ことの始まりは、荒野でPKに殺されてしまったことだった。
荒野は見通しもよく、魔物も発見しやすいと思って、俺達はそこを初陣の場所として選んだ。
……だがそれは、完全なる間違いだった。
見通しが良いということは、PKもまた、俺達を見つけやすいと言うこと。
このゲームは、PKが主流と言うことはわかってはいたが、俺達は、そのことを本当の意味では分かっていなかったのだ。
案の定、俺達はボロボロにされ、リスポーン。
……後から知ったのだが、普通はショップで買い物をしてからフィールドに向かうという。
言われてみれば、そうに決まっている。
初心者セットなんてものがあるから、俺達は勝手になんとかなる、と思っていた。
だが、そう甘くはなかった。
殺されたことで所持金の半分がロストし、買い物も満足にできない。
更にデスペナルティで、ステータスも一定時間低下している。
俺達はまさに、失意のどん底にいた。
詰んだ。
俺達は、最初の一歩を、踏み間違えたのだ。
俺達はさながら、お通夜のような雰囲気だったことだろう。
……それを助けてくれたのが、彼らだ。
「皆さん、聞いてください! 今からPKにやられてしまい、失意の底にいる人皆に、お金を配りに来ました! このお金を使って、ショップでしっかりと準備をしてから、またフィールドに向かってくださると私は嬉しいです!」
それを聞いた最初は、懐疑的に思った。
それはそうだ、いくら可愛い女の子とはいえ、そんな都合のいいことが、そう簡単に信じられるはずもない。
ましてや俺達は、つい先程人の悪意を知ったばかりなのだ。
……そんなの、信じ、られるか。
何人いると思っているんだ。
俺より若い彼らが、ここにいる全ての人に配れるくらい、お金を持っているなんて。
このゲームは、少なくとも今現在は課金なんてできない。
だから彼らは、スタート時点からインしていたとしても、6時間も経っていない。
そんな状況で、彼らはお金を稼いだと言うのか?
嘘だ、信じられない。
「……んじゃあ、俺にお金をくれないか」
「はい、喜んで!」
白い女の子は、まるで天使のような微笑みを浮かべ、大柄の男にトレードを実行した。
「うぉぉ、助かった! ありがとう!!」
「いえいえ、頑張ってくださいね」
そこからは、皆がこぞって金を恵んでもらっていた。
俺達も列に並び、自分の番を今か今かと待っていた。
……だが、次が俺の番というところで、2人組の男が横から押し入ってきた。
彼らはあくまでPKに殺されたと言い張り、少女からお金を毟り取ろうとしていた。
見た目からして気弱そうな彼女は、お金を渡そうと震える手で――
「すみません、この子は今少し体調が優れない様でして……この子の代わりに、俺が担当します」
隣にいた黒髪の少年が、庇うように立ち塞がった。
そしてそこから、逆転劇が始まった。
男達の言い分を悉く言い負かし、最終的に手榴弾を口に叩き込んで気絶させた。
……正直どうかと思ったし、その少年が少し怖くも見えたのだが、同時に少し、かっこいいなと思った。
果たして俺は、そんな行動ができただろうか。
……いや、無理だったろう。
俺は素直に、彼と彼女が、凄いと思った。
先程の大柄の男も彼らのグルだったらしく、気絶した2人をどこかに運んでいった。
そして、少年は、何事もなかったかのように配るのを続けたのだ。
そして俺達も、それぞれ200Gを貰った。
締めて、800G。
これだけあれば、最低限揃えることは、できる。
……本当に、助かった。
何より、彼らの在り方に、心惹かれた。
それは俺以外の3人も同じだったようで、
「お礼を、言いに行こ」
「そうだな」
「うん、それがいいね」
「そうなれば、早く行かないとな」
意外と近くに、彼らはいた。
俺達は彼らに近づき、声をかけた。
そして、思い思いにお礼を言うと、黒髪の彼は、
「そうか…………頑張れよ」
その言葉が、堪らなく嬉しくて。
「はい、頑張ります!」
俺は、どんなに失敗しても諦めず、このゲームを続けていこうと思ったのだ。
――その結果が、これか――
自分なりに、最善を尽くしたつもりだった。
PKに見つかりづらい様に、視界の制限される森を選んだ。
回復薬や弾も、十分に買ったと思う。
……それでも、それは、結果的に失敗だった。
魔物の相手は、確かに余裕だった。
しかし森のなかでは方向感覚が狂い、迷ってしまった。
初心者セットの中に、コンパスはあったが……何故か針が狂いっぱなしだった。
そして延々とさ迷っている内に……出会ってしまったのだ。
白銀の大狼、森の中層のエリアボスに。
接近に気付けず、まず『アリサ』が重傷を負った。
死ななかったのは幸いだが、1人では薬すら使えない状態だった。
よって、必然的に近接戦に疎い『凪』が看病に回され、2人で戦うことを強要された。
大狼は、やはり強かった。
速度が速く、俺達の攻撃をかわしまくる。
更に当たっても、こちらの攻撃は殆ど効かない。
そしてその速さで、俺達に回復の隙を与えてくれない。
火力も高く、油断したらすぐに死ぬと、本能的に思った。
Vitに多めに振っていたからこそ、戦えているだけで。
そんな、極限状態だったからだろうか。
自分では考えていた以上に、動けていることを感じていた。
「はぁ……! 『+アルファ』、まだいけるか?」
「おうよ『フィリト』、俺はまだまだいけるさ」
「……そうだな、頑張らないとな……!」
僕達が死ねば、次に狙われるのは彼女たちだ。
……それだけは、絶対に避けなければ。
男、として。
その瞬間、大狼の爪がかすった。
それだけで、左腕が、抉れた。
その衝撃に思わず、銃を取り落としてしまった。
やばい。
「ぐぅあ……!!」
「フィリトぉぉお!」
そんな大きな隙を、賢い大狼が見逃すはずもない。
僕の目の前に、規則正しく並んだ乱杭歯が迫る。
……ここで、終わりなのか?
……いや、まだ諦めんな僕ぅ!!
「うぉああああああああ!!!」
残った腕を目の前に迫った喉に突っ込んで、強引にその顎を止めた。
そして、そのまま手榴弾を実体化。
僕の持てる手榴弾を全て、狼の喉に叩き込んだ。
……栓を抜けたら、もっと良かったのだが。
まぁ、贅沢は言えないか。
「ぐがああああああああああ」
初めて大狼が、声らしい声をあげた。
喉に異物が入ったことによる、反射だろうか。
僕の残った右腕すら、その乱杭歯に引き千切られた。
「うぐぅ……くそ、もう戦えないか」
赤いポリゴンが散り、HPが危険域に入ったことによる警鐘がなる。
これ以上戦えば、僕の死は免れない。
だが……いやまだ、僕には――
「……ふぅ。間に合って良かった」
そこには、見たことのある青年がいた。
彼は光剣を振るい、そいつの鼻っ面を切り裂いていた。
狼は、先程よりも大きな雄叫びをあげた。
「……うがああああああああ!!」
「……うぉぉぉおおおおおお!!」
それに負けないほどの声量で、彼も叫んだ。
その途端彼の体が、赤い靄のようなもので包まれた。
「……ここは俺達に任せ、怪我人を連れて逃げてくれ!」




